1 安心・安全なまちづくりについて
(1)地域防災力の強化について
昨年の一連の災害で被害を受けた道路、住宅について、それぞれの復旧状況を伺いたい。
■総務部長 はじめに、道路の被害状況ですが、国・県道が延べ22路線、市道では、延べ314路線が通行止めとなりました。
現在、応急復旧工事等により市道の20路線を除き、通行止めは解除されております。
次に、本年8月31日時点における罹災証明発行件数に基づき算定した、住宅の被害件数によると、全壊が88戸、大規模半壊が75戸、半壊が466戸、一部損壊が10,744戸となっております。
住宅被害のうち、居住宅地に堆積した「土砂混じりがれき」につきましては、撤去申請がありました47件全ての対応が完了しております。
また、半壊以上の損壊家屋の公費撤去及び費用助成につきましては、申請件数208件のうち、8月31日時点で137件の対応が完了しており、9月末までには概ね全ての対応が完了する見込みとなっております。
半壊や一部損壊の被害を受けた住宅の応急修理の支援につきましては、8月31日時点で、1,940件の申請があり、そのうち933件の修理が終了しております。
現在、これらの申請を行ったものの、まだ修理が完了した旨の届出のない方に対し、手紙等による状況確認調査を実施しているところです。
なお、これらの公的支援制度の利用に漏れがないよう、改めて周知を図ってまいります。
今後も、市民の方々が1日も早く平穏な生活を取り戻すことができるよう、引き続き災害復旧に努めてまいります。
昨年の災害対応で浮き彫りとなった「停電の問題」や「災害対策本部・現地連絡本部と町会との情報共有」の体制をどのように構築していくのか見解を伺う。
■総務部長 市では、昨年の災害の教訓を活かすため、「令和元年台風第15号等への災害検証報告書」を取りまとめ、現在、この検証報告で示された課題などに対応するため、「市原市地域防災計画」の修正作業を進めているところです。
修正計画では、「大規模停電対策」を重点項目に位置付け、非常用電源の整備や、電力会社などの電力供給者との連携、停電時における通信手段の確保、電力復旧に支障となる倒木撤去など、停電への備えの強化を定めてまいります。
次に、「災害対策本部・現地連絡本部と町会との情報共有」については、現地連絡本部の運営体制の強化として、現地連絡本部の役割を徹底するとともに、昨年の災害時に構築した町会と現地連絡本部の情報共有および情報収集の体制を確立してまいります。
なお、本年11月に予定している総合防災訓練において、中央会場及び全ての地区会場での現地連絡本部と町会との情報伝達訓練を実施いたします。
市では、災害検証で示された諸課題を克服し、地域防災力の更なる向上に取り組んでまいります。
「共助」の防災活動を推進させるため、平成30年度より地域の自発的な防災活動に関する計画である「地区防災計画」の策定を進めているが、今後、地区防災計画をどのように展開させていくのか見解を伺う。
■総務部長 自分たちの住む地区は、過去にどのような災害が起きているのか、地形やまちの形状を確認し、災害に備えることは大変重要であります。
このことから、市では広域で多様な地勢を有する本市の地域特性に応じた、実効性の高い防災対策を講じるため、身近な学区単位での地区防災計画の策定を推進しているところでございます。
このような中、明神小学校区と市東中学校区では地区防災計画が策定され、令和2年4月に市原市地域防災計画に位置付けを行いました。
また、市ではこの二地区の計画策定支援と並行し、地区防災計画の策定拡大に向け、広報いちはらや「市長と町会長で語る未来創生ミーティング」などを活用し、策定地区を募るとともに、計画策定後の地域の防災活動を支援する、地区計画活動支援補助金制度を創設いたしました。
これらに加え、二地区の取組事例の紹介や本市の地区防災計画アドバイザーによる勉強会を行うほか、策定を検討する各地区でのワークショップへの参画など積極的に地域の計画策定を支援しているところでございます。
今後も、これらの取組や支援を通じて、市内の身近な学区での地区防災計画の策定や策定後の活動支援に力を尽くしてまいります。
市民の「防災」への意識が高まっている中、職員の「防災」に対する意識を高めることが災害時における全庁一体となった活動に繋がると考えるが、職員の防災意識をどのように高めていくのか見解を伺う。
■総務部長 職員の防災意識を高めるためには、全ての職員が防災を自分ごととして捉える必要があることから、昨年の一連の災害を教訓に「全庁一丸」、「市民に寄り添った対応」これを災害対策本部の活動方針に掲げ、現在、災害対応に取り組んでいるところであります。
また、昨年の台風災害等において有効であった、1.疑わしいときは行動せよ、2.最悪の事態を想定して行動せよ、3.空振りは許されるが見逃しは許されない、という「プロアクティブの原則」を本市の災害対応における共通認識とし、大規模災害時等に、正確な情報が無い場合にも失敗を恐れずに積極的に行動することを確認いたしました。
加えて、危機管理課及び各支所の職員19名が新たに防災士の資格を取得したほか、幹部職員の災害対応能力の向上を図る「自治体のリスクマネジメント」研修の実施、更には、災害対策本部設置訓練や避難所担当職員の避難所運営訓練を行い、職員の防災意識の向上を図ったところでございます。
今後とも、訓練や研修など、様々な機会を捉え、職員の防災意識の醸成に努め、市民の安心安全に繋げてまいります。
(2)災害弱者への対応について
災害の発生に備え、社会福祉協議会を中心に、地域住民や災害時要配慮者との関わりが深い関係機関、団体が平時から連携する共助の活動が更に必要であると考えるが、見解を伺いたい。
■保健福祉部長 災害発生時、市社会福祉協議会は、市地域防災計画において、災害ボランティアセンターを設置・運営する役割を担っております。
昨年の災害時には、市社会福祉協議会内に災害ボランティアセンターを設置するとともに、竜巻と推定された突風により甚大な被害が発生した市津地区には、サテライトセンターを設置し、地区社協、地区民生委員・児童委員協議会、小域福祉ネットワークといった地域の福祉団体の皆様に協力を得て被災者支援にあたってまいりました。
このように、災害発生時には、福祉分野の各団体をはじめ、多くの関係者・関係団体の皆様のご協力があればこそ、被災者や災害時要配慮者に速やかに対応できるものと実感しております。
一方、災害時要配慮者への対応という視点で申し上げますと、平時に行われる民生委員による訪問活動や、小域福祉ネットワークの見守り活動において、災害発生時に要配慮者となりうる方などの状況を予め把握しておくことが、迅速な支援活動につながるものと考えております。
市といたしましては、地域の福祉団体と日頃から顔の見える関係にあり、本市の地域福祉活動を中心的に推進している市社会福祉協議会と連携する中で、平時における見守り活動等の共助の取組をさらに促進し、災害に備えてまいります。
災害時、円滑に福祉避難所を開設できるように、市では、どのようなルールや体制の整備を行っているのか、伺いたい。
■保健福祉部長 福祉避難所につきましては、在宅避難や一般的な避難所での生活が困難な要配慮者を受入れ、適切な支援と保護をする目的で設置するもので、本市では市の福祉施設のほか、協定を締結している市原特別支援学校や民間の福祉施設など、合計30施設を指定しております。
災害時に福祉避難所を開設するためには、避難者の受入れスペースや人員の確保など、運営体制を事前に準備する必要があります。
本市では、昨年の台風被害の教訓を踏まえ、円滑に福祉避難所を開設できるよう、専門家の支援のもと、今年度末を目途に、各福祉施設に適した、福祉避難所の開設、運営マニュアルを作成する予定でおります。
今後、災害時に、要配慮者が安心して避難できるよう、感染症対策の視点もしっかりと取り入れながら、福祉避難所としてのルールや体制を整理し、それぞれの福祉施設に適したマニュアルを作成してまいります。
新型コロナウイルスの感染拡大のなか、市と福祉避難所の協定を結んでいる民間の福祉施設では災害時に要配慮者の受け入れは困難であると考えられる。災害時の福祉避難所の在り方を見直す必要があると考えるが、見解を伺いたい。
■保健福祉部長 福祉避難所につきましては、学校や公民館などの指定避難所に避難した要配慮者の状態や介助者の有無などを考慮し、福祉避難所への避難が必要となった場合に、福祉避難所として指定する福祉施設へご家族や交通事業者等のご協力を得て移動し、ご利用いただく仕組みとなっております。
市と福祉避難所の協定を結んでいる民間の社会福祉施設には、要介護者や障がい者の支援に精通した職員が勤務しており、要配慮者の避難先として大変有効でありますが、議員ご指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中にあっては、避難者の受け入れは大変困難な状況にあります。
そこで、現在のコロナ禍において災害が発生した場合には、民間の福祉施設ではなく、まずは市の福祉施設を福祉避難所として開設することを検討するとともに、市原特別支援学校と福祉避難所開設に向けた協議を進めております。
今後は、これら公共施設における福祉避難所開設の検討に加え、民間の社会福祉施設での感染症拡大時における福祉避難所の在り方につきまして、関係部や民間の社会福祉施設の関係者と協議してまいります。
(3)第2庁舎の安全性の確保について
「庁舎等整備基本計画策定支援業務委託」の取組の進捗状況について伺いたい。
■総務部長 本業務委託につきましては、新たな時代の庁舎像等の検討を行うにあたり、知識・技術・経験等を有する事業者の支援を受けるため、公募型プロポーザルにより「山下設計・三菱総合研究所共同企業体」を選定し、業務を開始したところでございます。
令和2年度につきましては、庁舎に必要な機能等の検討・整理を行うこととしており、現在、支援事業者による専門的な知見からの検討とともに、市民の皆様との対話を行うワークショップや広く意見を伺うアンケート、庁内若手職員との意見交換の場である専門部会の実施に向けた準備を進めているところでございます。
今後も本事業の進捗状況につきましては、定期的に市議会へ報告いたしまして、議会のご意見も踏まえながら、取組んでまいりたいと考えております。
庁舎強靭化対策については、非常に難しい舵取りを迫られていると思うが、今後の取組について、市長の見解を伺いたい。
■小出市長 新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会経済情勢や市民ニーズが大きく変化していることから、私は、庁舎強靭化対策の取組についても、新たな視点を持って進めていかなければならないと考えております。
一方、市長として市民の安心・安全を守るとともに、公共資産マネジメントにより持続可能な行政経営を担う私の使命を考えますと、庁舎の老朽化・耐震性能不足が抱えるリスクへの対応も重要な課題であると認識しております。
私は、庁舎等整備基本計画策定については、ウィズコロナと言われる今を変革の契機と捉え、単に老朽化・耐震性能不足の対策にとどまらず、新たな生活様式に対応し、アフターコロナを見据えた庁舎像を創る取組としてまいります。
そして、検討に当たりましては、市議会での議論はもとより、市民の皆様との対話を大切にして、整備時期に捉われること無く、取り組んでまいります。
(4)防犯対策の強化について
市原市情報配信メールにおいて、不審者情報の配信が見られるが、昨年度と今年度の不審者情報については、どのようなものが何件あるのか教えていただきたい。
■生涯学習部長 青少年指導センターに寄せられた不審者情報につきましては、情報内容を市原警察署と共有した上で、広く注意喚起すべき情報について、市原市情報配信メールを活用し、速やかに情報提供を行っているところです。
昨年度に配信いたしました不審者情報は23件あり、主な内訳としまして、「誘いかけ」が6件、「露出」が5件、「つけ回し」が4件となっております。
また、今年度につきましては、8月末時点で13件の配信を行っており、主な内訳としまして、「つけ回し」が4件、「痴漢」が2件、「誘いかけ」が2件となっております。
例年の傾向といたしましては、「つけ回し」と「誘いかけ」の割合が高く、昨年度は全体の約4割、今年度は全体の約5割を占めております。
今後も、情報配信を速やかに行うことで、市民の皆さまへの注意喚起を促すとともに、犯罪の未然防止につなげてまいります。
不審者情報では、結果が分からないことが多いように感じる。地域での見守り等の防犯活動をされている方のためにも、市民の方々が安心して暮らせるようにするためにも、結果が分かればお知らせすることはできないのか。
■生涯学習部長 不審者情報の配信後の経過や結果につきましては、警察の捜査上、また、個人情報への配慮等から、これまで公表しておりません。
しかしながら、議員ご指摘のように、不審者情報を配信し、その後の情報がありませんと、市民の不安を払拭できないこと、また、配信を受け、見回り等の防犯活動を行っていただいている場合、その対応等に支障をきたすことなどが考えられます。
そこで、今後、どのような形で情報提供ができるのか、警察とも協議の上、検討してまいります。
今後、こども110番の家は、どういう取組を進めていこうとしているのか教えていただきたい。
■生涯学習部長 「こども110番の家」は、子どもたちが登下校時などに、安心して避難できる場所として、民家や商店、事業所などを「こども110番の家」として登録する取組であり、本市では、平成12年4月から市原市青少年育成市民会議と協力し、実施しているものです。
令和2年7月末現在の登録件数は3,198件で、登録場所には「こども110番の家」と記載した黄色いステッカーを、出入口などの子どもたちにも分かりやすい位置へ掲示していただいております。
現在、登録していただいている事業者の中には、セブン&アイグループ6社との包括連携協定に基づく、セブンイレブンやデニーズが含まれております。
このほかに、市原市歯科医師会との連携協定による「こども110番のはいしゃさん」として、歯科医院のご協力もいただいているところです。
このように、地域で子どもを見守る意識が高まりつつあることから、今後は個人宅に加え、店舗や事業所等への登録の働きかけも行ってまいります。
また、学校と連携し、子どもたちが犯罪に巻き込まれそうなことがあった場合、速やかに避難できるよう、普段から通学路等に位置する「こども110番の家」を確認しておく取組の必要性などを、家庭に向けて訴えてまいります。
これからも、警察はもとより、地域住民や地域団体、学校などと互いに協力し合い、地域社会で子どもたちを見守り、子どもたちが安全に暮らせる環境づくりを推進してまいります。