1 入札・契約制度について
本市の建設業は、地域経済や雇用を支える重要な産業のひとつであり、かつ、災害応急業務や道路・水道などのインフラ整備の担い手として、
その役割は重要度を増している。
地域に精通し非常時には迅速かつ適切に対応できる市内業者を育成・確保する取組みが重要と考えるが、市では公共工事の発注にあたり市内業者の育成について、どのように取り組んでいるのか見解を伺います。
資産経営部長 本市の建設業は、道路や公園、上下水道などの社会資本整備の担い手であると同時に、災害時の対応など、本市の安心・安全の確保の担い手として、極めて重要な役割を果たしているものと認識しております。
このため、本市では、建設工事の入札にあたり、市内業者育成の視点から市内業者による施工が可能な工事であって、入札契約における透明性、公正性、必要かつ十分な競争性を確保できる場合には、入札参加資格の地域要件を市内業者に限定しております。
また、公共工事を施工する建設業者が適正な利益を確保できる取組みも重要なことであることから、本市では、適正な予定価格の設定はもちろんのこと、行き過ぎた価格競争を抑制するため、国に準じた最低制限価格制度や低入札価格調査制度を導入しております。
このほか、試行段階ではありますが、技術と地域貢献に優れた市内業者が業績を伸ばすことができる環境を整備するため、本市の災害や除雪時における貢献度と工事成績等を入札への参加資格とする評価型競争入札を取り入れております。
これらの取組の結果、平成29年度の建設工事における市内業者の受注状況は、入札件数179件のうち150件であり、その割合は約84%となっており、市内業者育成という点からは一定の成果につながっているものと考えております。
市内の建設業者育成には、公共工事の下請けが受注しやすい環境づくりが重要と考えるが、市ではどのような取組みをしているのか伺います。
資産経営部長 本市では、建設工事を受注した全ての事業者に対し、市内業者育成及び地域経済活性化の観点から、下請け工事を発注する場合には、市内業者を優先して選定すること、及び建設資材にあっては市内生産物を優先使用することを要請しております。
また、価格と価格以外の要素を一体的に評価する総合評価落札方式による建設工事においては、企業の地域貢献度として、市内業者への下請け実績を評価項目とすることで、更なる市内業者への下請け発注が進むよう取り組んでいるところでございます。
市では、本年4月から委託業務に最低制限価格制度の運用を始めたが、現在までの実施状況と効果について、見解を伺います。
資産経営部長 始めに、実施状況でありますが、本年4月から8月までの委託業務の平均落札率は、86.4%であり、これは昨年同期間と比較しますと、
2.7ポイントの上昇となっております。
次に、制度導入の効果でありますが、最低制限価格制度を導入した目的は、入札に当たっての行き過ぎた価格競争を抑制することで、業務の品質や安定した履行体制を確保し、更には、企業の健全経営や労働環境の向上につながることを期待してのものでございます。
こうした中で、制度導入後5ヵ月間の状況ではありますが、平均落札率が上昇しておりますことや最低制限価格を下回ったことにより、失格とした案件もありましたことから、行き過ぎた価格競争の抑制という点からは、一定の効果が現れているものと考えております。
2 産業支援センターについて
産業支援センターの設置目的について、お聞かせください。
経済部長 本市の中小企業は、市全体の事業所数の9割以上を占めており、市民の雇用をはじめ、地域の経済基盤を支える担い手となっております。
その一方で、経営的には決して安定しているとは言えない事業者もありますことから、資金融資制度を設け、資金面での支援を行うとともに、新たな設備投資に関する補助事業や、人材育成に関する専門家の派遣等により、中小企業への支援を行っているところであります。
この支援の一つである「中小企業サポート事業」では、市にコーディネーターを配置し、製造業を中心とした企業訪問や窓口相談等により、補助金等の公的支援施策の活用や資金融資に関するアドバイスなどのサポートを行ってまいりました。
また、市原商工会議所におきましても、中小企業相談所に経営指導員を配置し、中小企業者の経営改善等に係る各種相談に対応しておりました。
しかしながら、事業者にとりましては、窓口が複数あり、どちらに相談して良いか分かりにくいという面もありましたことから、本市の地域経済を牽引している中小企業の更なる支援体制の強化を図るため、創業希望者なども含めた中小企業者の各種相談等にワンストップで対応できる窓口として、市と市原商工会議所の窓口を一元化した「市原市産業支援センター」を、平成29年4月に開設したところであります。
産業支援センターでは、コーディネーターを配置し、創業希望者には創業へつながるよう、また事業者には安定した経営等につながるよう、継続的に相談・助言する、いわゆる伴奏型支援を行っているところであり、中小企業の更なる経営基盤の強化を目指した効率的・効果的な支援体制が構築されたものと考えております。
開設から1年が経過した産業支援センターですが、昨年度の相談件数や支援状況の実績、併せて、産業支援センターの運営にあたり、この1年で明らかとなった課題などがあればお聞かせください。
経済部長 はじめに実績でございますが、昨年度の産業支援センターの新規相談件数は207件であり、その内、創業に関する相談は78件でありました。
この創業に関する相談のうち、25件が実際の創業につながっております。
また、相談を種別ごとに見ますと、経営全般に関する相談が119件と最も多く、次に金融に関する相談が37件、取引に関する相談が16件等となっております。
なお、弁護士などの専門的知識が必要な相談の場合には、その内容に適した専門家を派遣することとしており、昨年度は10回の派遣を行ったところです。
こうした取組により、中小企業者等の経営基盤の強化等に寄与しているものと考えております。
次に、1年を経過しての課題でございますが、昨年度は、「製造業系」のコーディネーター2名と「商業・サービス系」のコーディネーター1名を配置し、ローテーションにより対応する体制としておりました。
しかしながら、実際の相談者は、商業・サービス系が想定より多くありましたことから、この実態を踏まえたコーディネーターの配置を検討する必要が生じたところであります。
また、専門家派遣につきましても、想定した回数を上回る派遣が必要となったことなどが課題となったところでございます。
昨年度の実績や課題を踏まえ、今年度は具体的にどのような改善を行ったのかお伺いします。
経済部長 市といたしましては、今年度、配置するコーディネーターの種別を限定しないこととするとともに、専門家の派遣回数を15回以上とするなど、昨年度の課題を踏まえた改善を行いました。
これを受けて、市原商工会議所では、コーディネーターの配置を4名とし、基本的にはあらゆる業種の相談等にローテーションにより対応する体制としたところであります。
また、産業支援センターの運営を円滑に行うため、商工会議所内に「産業支援センター長」を置くなど、組織体制の見直しを行うとともに、ホームページをリニューアルし、利用の促進につながるよう、情報発信体制の強化を図ったところであります。
こうした改善により、昨年度以上に中小企業の支援体制が強化できたものと考えております。
今後とも、市原商工会議所との連携をさらに推進することにより、産業支援センターの充実を図り、市原市産業振興ビジョンで掲げる「持続的発展を遂げる産業都市いちはら」の実現を目指してまいります。
3 スポーツ振興について
健康長寿社会と共生社会を実現するためにも、運動、スポーツの効用を再認識すべきである。
また、スポーツには身体能力を向上させるだけでなく、人と人とを繋ぐ絆を構築する力があり、アスリートの姿は、人々に感動と勇気を与え、一体感をもたらし、ひいては地域力、地域愛につながるものと思っている。
今まさに、市民のスポーツへの関心を高め、さらなるスポーツ振興を図る絶好の機会が到来しているが、スポーツの効用及びスポーツ振興に対する市の考え方を伺いたい。
スポーツ国際交流部長 ただいま議員からもご紹介がありましたように、まず、スポーツを行う個人にとっては、体力向上や健康増進といった「からだ」に与える効果に加え、スポーツを行うことによって得られる爽快感や達成感、連帯感など「こころ」の健全育成を促すという効用が考えられます。
また、心身ともに健康な市民が増えることによって、医療費や介護給付費の抑制といった経済的効果や、青少年の健全育成、地域コミュニティの再生といった社会的効果など、多面的な効果が期待されるところであります。
次に、スポーツ振興に関する市の考え方でございますが、市総合計画の部門計画として、2017年に策定した「市原市スポーツ推進計画」において、3つの基本方針を掲げております。
一つ目が「ライフステージに応じたスポーツの推進」で、市民がそれぞれの体力や年齢、障がいの有無にかかわらず、スポーツに日常的に親しむことができるよう、身近なスポーツの機会や情報、施設の提供に取り組むこととしております。
二つ目が、「地域の力を活かしたスポーツの推進」で、本市の充実したスポーツ施設や日本一の数を誇るゴルフ場、自然豊かな里山、プロスポーツチームのホームタウンなどの地域資源や、「人の力」を活かしたスポーツ振興を図ることとしております。
三つ目が、「交流と連携によるスポーツの推進」で、国際的・全国的なスポーツ大会の誘致・開催や、2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしての取り組みを通じて、スポーツをまちづくりや地域づくりに活かして行こうとするものであります。
2020年まで連続する一連の国際スポーツ競技大会は、市民の皆様に、スポーツの効用等について理解を深めていただく絶好の機会となりますので、市といたしましては、これらの基本方針に基づき、さまざまな主体との連携により、スポーツ振興施策の具現化を進めてまいります。
現在、市議会ではスポーツ振興議員連盟を設立し、本市のスポーツ振興について、調査・研究を進めているが、議論を重ねる中で、スポーツ環境の整備に対する意見が多く出されており、市民との対話の中でも、スポーツ環境の整備に関する要望が多く寄せられている。
スポーツ施設について、市はどのような考えをお持ちか、伺いたい。
スポーツ国際交流部長 市民の誰もが、安心して体を動かし、スポーツに親しむことができる環境を提供することは、市が進めるスポーツ振興施策の基本的な取り組みの一つであります。
本市には、各地区の都市公園内にある野球場や球技場、プール、テニスコートなどに加え、地区運動広場や公民館、コミュニティーセンター、YOUホール、サンプラザ市原などの公共施設に、市民が日常的に利用できるスポーツ施設が整備されております。
また、本市の特徴的な施設といたしまして、市原スポレクパークやゼットエー武道場、スケートコート・オリプリランドなどがあり、市内外から多くの利用者が訪れております。
しかしながら、本市のスポーツ施設は、整備後30年を経過しているものも多くあり、長寿命化に向けた検討が必要となります。
また、市民の健康意識が高まるなか、そのニーズは多様となっておりますので、時代の要請に合った施設整備を進める必要がございます。
市といたしましては、ニーズの変化、人口減少の動向、また、市の財政状況などを踏まえ、より市民に幅広くスポーツ施設に親しんでいただけるよう、スポーツ施設の整備に取り組んでまいります。
地球温暖化が進み、年々、夏の暑さも厳しさを増していくものと危惧される。
この9月議会で審議された補正予算には、中央武道館の空調設備を整備する事業費が含まれていたが、「スポーツ健康都市宣言都市」として、市民のスポーツへの取組の推進と健康の増進を掲げるのであれば、スポーツ環境の整備は市の責務と考えるが、見解を伺いたい。
スポーツ国際交流部長 本市の代表的な屋内スポーツ施設である、ゼットエー武道場の大道場、また、臨海体育館には、現在、空調設備が備えられておりません。
このうち、ゼットエー武道場の大道場は、年間約7万人の利用があり、柔道、剣道をはじめ、数多くの大会が開催されており、利用者からは設備の改善を求める声が寄せられております。
先ほど議決いただきました、補正予算のなかで、設備改修にかかる設計委託費を計上させていただきましたが、この改修では、大道場への空調設備の設置と合わせまして、トイレの洋式化など、利用者のニーズに即した整備を行う予定であります。
今後、市民のスポーツへの関心が高まる2020年を見据え、これらの整備を行うことにより、年間を通して、市民が快適かつ安全にスポーツを行える環境が整うこと、また、夏季の大規模競技大会の誘致やスポーツ合宿の増加など、本市のスポーツ振興や交流人口の拡大に寄与することが期待されております。
施設整備にあたりましては、市民の健康づくりに資するスポーツ環境の提供ということを軸としながら、併せて、施設そのものの価値を高め、本市のまちづくりにも貢献できるよう、施設機能の向上を目指してまいりたいと考えております。