平成28年12月定例会で菊岡多鶴子議員が個別質問

1 イノシシ対策について

(1)庁内の連携体制について

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有害鳥獣の増加により、人間の暮らしが脅かされている。
農作物被害の範疇を超えたイノシシ対策に全庁一丸となって、連携して対策を強化すべきと考えますが、所見を伺います。

経済部長 イノシシの生息区域は拡大しており、高齢農業者の離農とともに、耕作放棄地も増加するなど、有害獣被害は、本市農業の重要な課題になっております。

そのため、イノシシの被害対策につきましては、有害獣対策アドバイザーによる被害対策計画を策定するとともに、鳥獣被害対策実施隊を設置し、地元町会との協働による捕獲や、防護柵の設置など、地域ぐるみの対策を推進しているところでございます。

こうした中、イノシシによる被害につきましては、農作物にとどまらず、通学路や住宅地にもイノシシが出没し、市民に危害を及ぼすことが懸念されております。

このことから、平成26年度から有害獣に関する相談窓口を農林業振興課に一本化し、庁内の関係部局と情報の一元化を図るとともに、市民への安全対策に努めているところでございます。

また、イノシシの目撃情報や被害相談につきましては、市の環境部にも寄せられますことから、これらの情報を共有し、連携して捕獲や巡回にあたっております。今後とも、関係部局間の連携を一層強固にして、効果的なイノシシ対策を講じてまいりたいと考えております。

 

(2)環境整備について

鳥獣被害は野生動物問題ではなく農山村問題である。イノシシの侵入を防ぐには、集落内にエサ場をなくす環境整備が必要であると考える。イノシシ対策には、誤った情報も多いことから、市として、正しい情報を市民に伝えることが、行政の役割だと考えますが、所見を伺います。

経済部長 イノシシの被害を防止するためには、農作物の残渣や放棄された柿や栗など、イノシシの餌場を地域内につくらないことが重要な対策になると認識しております。

そのためには、イノシシの被害対策については、農家の方に限らず、非農家の方にもご理解いただき、地域が一体となった取り組みが必要です。

そこで市では、ウェブサイトや広報紙、現地での被害相談等で、被害対策の周知に努めており、特に被害が多い地域には、職員が出向き説明会などを実施しているところでございます。

また、地域ぐるみの対策を行っていただいている地域においても、住民の意識や捕獲技術に格差が生じており、十分な成果が上がらない地域もありますことから、今年度から、被害対策に知識と経験があり、積極的に被害防止活動に取り組んでいる方を鳥獣被害対策実施隊員に任命し、技術指導や正しい被害対策の普及啓発に取り組んでおります。

今後とも、市民一人ひとりができる対策をチラシなどにまとめ、町会回覧やウェブサイトなどによる周知を図り、イノシシ被害に対する正しい知識の啓発を行うとともに、非農家の方々にもご理解をいただきまして、地域ぐるみの対策の強化を図ってまいります。

市街地のごみステーションでは、カラスなどによる被害の苦情が発生していると聞いております。

これは、収集日以外のごみ出しが原因ではないかと思います。また、ごみのポイ捨て等のマナー違反なども、イノシシなどの野生動物を人の生活圏へ呼び込んでいるのと同様だと思います。

このような現状に対し、市は、どのように考え、市民に周知を図っていくのか伺います。

環境部長 ご指摘のとおり、野生動物の〝学習能力″には驚かされるところがございまして、これまでの経験をくつがえして街中へ出没などしてくることから、人の生活圏への侵入への対応を図っているところでございます。

これまで、イノシシなどの大型野生動物が、ごみステーションを荒らしたとの報告はございませんが、今後、ごみステーションやポイ捨て物をエサ場として〝学習″してしまった場合には、より深く人の生活圏に入ってくることで、人が接触してしまう危険も高まるものと思われます。

市としましては、市民の皆様へ、ごみ出し時間のルール遵守や、職員による清掃活動を通じて、清潔なごみステーションの保持やポイ捨ての防止を呼びかけてまいりましたが、これまでは、環境美化の視点からの啓発でございました。

今後は、清潔なごみステーションの保持などが、野生動物の予防につながることも、併せて啓発していくとともに、関係部署と連携を図りながら、イノシシによる被害への有効な防止策の一つとして、市民の皆様へ協力を一層呼びかけてまいります。

 

(3)被害を減少させる為の捕獲について

現在、市では町会との協働による檻罠での捕獲や猟友会への委託による一斉駆除にてイノシシの捕獲を実施しているが、現状の対策だけでは、繁殖率の高いイノシシの自然増加に捕獲が追いつかないのではないかと思いますが、今後どのような対応を考えているのか見解を伺います。

また、行政界を超えて行動するイノシシの被害対策には、他市との広域連携による対応が必要であると思いますが、市長は、どのような広域連携の取り組みをしているのか伺います。

 

経済部長 本市の有害獣対策としては、猟友会に駆除業務を委託し、「一斉駆除」や「わな」を使った捕獲を実施するほか、町会による「地域ぐるみ」の捕獲に、取り組んでおります。

地域ぐるみの捕獲に取り組む町会は、平成27年度は90町会となり、町会が捕獲したイノシシの止めさしを猟友会が代行するなど、猟友会、町会、市の連携により、イノシシの捕獲頭数は、平成26年度から倍増して、2106頭となり、成果が上がってきております。

しかしながら、イノシシの生息区域は未だ拡大傾向にあり、農作物被害も増加しておりますことから、今年度は、有害獣対策アドバイザーによる支援に加え、新たに鳥獣被害対策実施隊員を任命し、捕獲体制の強化を図ったところでございます。

今後は、有害獣対策アドバイザーによる集落診断をさらに進め、鳥獣被害対策実施隊員を増員するなど、地域の実情に応じた捕獲体制を一層強化するとともに、猟友会による一斉駆除を効果的に組み合わせることで、イノシシ被害の減少に努めてまいります。

次に、広域連携の取り組みについて、お答えいたします。

有害獣は行政区域を越えて行動しますことから、有害獣による農作物等への被害は、中山間部を抱える市町村の共通の課題となっております。

そのため、平成18年度に、本市を含め、県中南部地域の20市町村で対策会議を設置して、情報交換や協議を行うとともに、捕獲固体を処分する焼却施設の設置などについて、毎年、県に対して要望を行っているところでございます。

また、近隣の市や町との広域連携では、市長から有害獣被害対策についても共通課題として申し入れ、これを契機として、担当者間での情報共有や対策の検討を行うなど、連携が進んできております。

さらに、千葉県との連携では、「知事と市町村長との意見交換会」の場において、捕獲時の立会いにかかる規制緩和と移動式解体処理車の導入について、国に働きかけるよう要望したところでございます。

有害獣対策につきましては、生息区域の拡大を抑える広域的な管理が重要になりますので、今後とも県や近隣市・町と連携して、対策の強化に取り組んでまいります。

 

2 市立認定こども園について

(1)質の高い教育の推進について

教育長は、認定こども園での質の高い教育について、どのように捉え、認定こども園開設後もどのように教育委員会として関わっていくのか伺います。

教育長 幼児期は、身体感覚を伴う自発的な行動を通し、豊かな感性を養うとともに、生涯にわたる学習の基礎となる好奇心や探求心を培い、小学校以降における「学びの芽生え」これを育む重要な時期であります。

私は、市立認定こども園は、小学校での教育と一貫性を持った、質の高い教育・保育が行える場になるものと確信をしております。

このことから現在、認定こども園の開設に向けて、教育と保育共通の全体計画を策定しているところであります。

また、認定こども園開設後も、新しく小学校区合同研修会を開催し、意見交換や共通理解を図り、連携カリキュラムの活用や園児と児童の交流活動、合同研究の機会を設ける等の取組を通し、保育・幼児教育・小学校教育が一貫し、充実したものとなるよう、目指してまいります。

今後も更に、子育て支援部と連携を強く持ち、幼児期からの一貫した教育と感性豊かな心の教育を目指し、質の高い教育・保育の推進に取り組んでまいります。

市立幼稚園で使用していたピアノや絵本などの教材を園ごとに面積や子どもの人数等が異なる中、どのように整備していくのかその方向性について、市の見解を伺いたい。

子育て支援部長 幼稚園や保育所におきましては、これまでもピアノやオルガン、絵本などを活用し、遊びを通しながら、また、楽しみを持たせながら、幼児への教育・保育を行なってきたところであり、幼児期には欠かすことのできない備品の一つであると認識しております。

とりわけ、絵本につきましては、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う上でも充分な役割を果たすことができ、また、想像力や考える力をはぐくみ、相手の気持ちを思いやることを学ぶ上でも効果的なものであり、さらには、親に読んでもらうことで親子間のスキンシップが容易にできるなど、多くの好影響をもたらすものであると考えております。

このように、ピアノや絵本などは、子どもたちの情操教育や健やかな成長を支援する大切な備品であり、一方、新たに整えるには財政上の制約等がございますことから、今後、市立認定こども園等において、子どもたちへの質の高い教育を推進するためにも、閉園となる幼稚園、保育所にありますピアノや絵本等備品につきましては、子どもたちの教育・保育のスペース確保を優先しつつ、設置場所や維持管理経費等も工夫・考慮しながら引き続き検討を加え、可能な範囲で有効活用をしてまいりたいと考えております。

チーム皆がそれぞれにその担当部署でリーダーシップを発揮しながら協力し合って考える体制づくりをどのように進めていくのかお聞かせください。

子育て支援部長 リーダーシップにつきましては、新たな認定こども園では、保育所の保育士と幼稚園の教諭が、「同じ施設」で「同じ立場」で教育・保育にあたることから、これまで以上に、園長のリーダーシップが必要となるとともに、全職員がお互いに連携・協力して新たな施設を運営していかなければならないものと考えております。

そこで、これまでも、保育士、幼稚園教諭が相互に、それぞれの職場を体験する合同研修を実施するとともに、庁内に幼稚園教諭と保育士を中心としたプロジェクト会議を立ち上げ、全体計画やカリキュラムの策定にあたりましても、それぞれのスタッフが参画しながらお互いの得意分野を尊重しつつ、より質の高い教育・保育が提供できるよう議論を重ねるなど、連携・協力に向けた体制づくり、意識改革を図ってきたところでございます。

今後も、こうした取り組みを継続していくとともに、新たな施設のリーダーのもと全職員が、「すべての子どもに」という同じ方向を目指しながら、強い絆と自由闊達な意見交換ができる職場風土を確立させ、それぞれの子どもの特性、在園時間の違い等に応じたきめ細かな対応ができる職場づくりに取り組んでまいります。