平成29年度予算審査特別委員会で菊地洋己議員が意見陳述

市民クラブを代表いたしまして、 平成29年度市原市一般会計及び特別・企業会計予算に関して、 総括的な見地から意見の陳述を行います。

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平成29年度予算については、本市の未来の鍵を握る総合計画のスタートとなる予算編成でありましたが、税収が依然として低迷しているとともに、社会保障関連経費の増大が見込まれる大変 厳しい環境での予算編成であったものと思います。

このような中で、平成29年度予算は、目指すべき都市像であ る「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」実現に向け、一層の歳入の確保と行財政改革の徹底による歳出の抑制な どにより、実行計画推進の原動力となる「ひとの活躍] を施策の中心とした3つの重点施策に財源をしっかりと配分されていることは、評価するところであります。

また、編成手法につきましても、大きく見直し、これまで乖離の見られた計画と予算が一体的に編成されたことで、より効果的・効率的に成果が上がる事業が厳選され、将来のまちづくりに つながる施策の着実な実施を大いに期待するところであります。それでは、各分野の予算について、具体的な意見を申し上げます。

はじめに、総務分野ですが、 企画部所管では、いちはらの魅力発信事業について、2020 年開催の東京オリンピック・パラリンピックまで連続する国際大会など、本市の魅カを広く発信していぐ絶好の機会があるなか、動画作成やラッピングを施した広報車両の導入などにより、効果的なプロモーションが展開できる環境が整い、多彩な手法で戦略的に広報活動が実施できることを大いに期待しております。

ラッピング広報車のデザインは「走る広告塔」として、ピーアール効果が高いと思いますので、そのデザインについては、デザイナーをはじめ様々な方から提案を募ったうえで、決定していただきたいと思います。

地域公共交通網形成計画推進事業について、路線バスが休止となった地域での新たな事業者の参入や代替の交通手段を地域とともに考え、地域間のネットワークを構築してください。

総務部所管では、庁舎強靭化対策事業について、低コストで最大の効果が得られるよう、減築改修と建替えの2案以外にも選択肢を広げ、市原市庁舎強靭化対策検討委員会並びに基本計画策定支援委託業者、執行部、議会等により十分検討し、基本方針を迅速に策定してください。

心の健康推進事業について、職員にメンタル不調者が増加している根本的な原因を把握し、メンタル不調者をなくすよう、職場環境の改善に向けた対応をお願いします。

財政部所管では、普通建設事業費について、本市における建設業は、地域経済や雇用を支える基幹産業であるとともに、インフラの整備や災害時の緊急復旧対応など、地域づくりの担い手とし て重要な役割を.果たしております。この地域の担い手である市内 業者を育成するため、適正な対価で受注できる仕組みを構築する とともに公共工事の積算設計に実勢価格を反映させるようお願い します。

また、委託に係る入札制度について最低制限価格を設定することを提案します。

公共資産マネジメントでは、このまま何もしなければ年110億円不足すると言われております。扶助費が天井しらずであるなどの現実的な財政状況のなかでは、公共資産マネジメントに係る費用が捻出できるのか、確信を持つことが困難であります。計画 と現実的な財政の連動こそが公共資産マネジメントに係る施策の実現につながるものと考えますので、両者を緊密に連動させるよ う努めてください。

消防局所管では、消防緊急情報指令システム更新事業について、 消防OAシステム更新と車両運用端末装置地図データの更新を図ることにより、発災時の活動においてマネジメントの強化につながるものと考えます。新人職員の技術能力の向上と中堅職員の指導力向上はもとより、これらのシステム更新により、さらなる消防力の強化を図ってください。

次に、教育民生分野ですが、 市民生活部の所管では、町会管理防犯街灯LED化事業につい て、市及び町会の管理経費の負担軽減や低炭素社会の構築に向けても効果的な事業であることから、早期の完了をお願いします。

また、協働によるまちづくりの推進に向け、町会活動や市民活動団体が行う市民公益活動を支援するとともに、市民ニーズを積 極的に取り入れ、町会活動の活性化を図ってください。

保健福祉部の所管では、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を早期に図るとともに、子ども、高齢者、障がい者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高めあうことができる「地域共生社会」の実現に向けた取組みを推進してください。 また、少子化が進行する中、若い世代の出産や子育てへの希望を叶えるため、これまで行ってきた各種の子育て支援策に加え、新年度から新たに取り組む事業を着実に行い、子育てネウボラとしてこれらを一体的に推進することにより、未来を担う子どもたちへの支援の充実に努めるよう要望します。 子育て支援部の所管では、ファミリー・サポート・センター事業について、広域連携の大きな成果のーつでありますので、今後も引き続き積極的な取り組みをお願いします。

また、新市原市次世代育成支援行動計画に基づき、次世代育成支援対策を総合的かつ効果的に進めていただくため、子どもや保 護者、地域の意見を取り入れ、事業の実施に反映させてください。 教育委員会の所管では、市原市教育大綱に掲げる「未来へつなぐいちはらの教育」の基本理念の実現に向け、基礎学力と幼児教 育の向上を図り、グローバル化や情報化などの社会変化に対応した学びを推進してください。 学校規模適正化について、立地や地域性・区域分けの課題を精査し、適切な通学手段や学校規模の適正化が図れるよう、基本方針の策定に取り組んでください。 基礎学力定着推進事業について、子どもたちの状況を良く分析 し、子どもたちに寄り添い、学びの楽しさを教え、すべての子ど もたちの学力向.上を推進してください。

次に、経済環境分野ですが、 環境部の所管では、ゴミ減量化について、生活系ごみの中には、 資源となる物が多く含まれていることから、さらなる分別回収の徹底に取り組むよう、要望します。

埋立て事業場マッピングシステム導入事業について、不法投棄などの未然防止を図ることは喫緊の課題となっているなか、監視業務は非常に有効な対策であると考えております。このため、早 急に整備を完了し、早期に運用ができるよう対応してください。

経済部の所管では、新規就農者の確保及び市内農家の収益性の向上に向け、農業センターを有効に活用するとともに農業技師な ど専門職の人材の活用を図るなど、持続可能な農業の発展に努め るようお願いします。

観光客誘致に向け、SNSなどの通信ツールを活用し、本市の観光資源が世界へ発信できるよう、Wi-Fi環境の更なる充実を図ってください。

水道部の所管では、新井浄水場中央監視制御装置更新工事について、浄水場は安心安全な飲み水を供給するために欠くことがで きない施設でありますことから、トラブルがないよう綿密な工程 管理のもと、着実に工事を実施してください。

次に、建設分野ですが、 土木部の所管では、道路照明のLED化計画について、初期投資の軽減を図るためにリース契約を採用することは、評価いたします。設置やメンテナンスを含め、引き続き市内業者の育成に資 するよう、運用していただくようお願いします。

都市部の所管では、長期未整備都市計画道路の見直しについては、一律に決定するのではなく、新たな企業の進出等の社会環境 の変化を見据えたうえで再検討してください。

また、地元町会等、関係者へ丁寧な説明をお願いします。

県営水道料金と市下水道使用料の徴収一元化について、事務事業や費用の軽減が図られる取組みであり、評価いたします。導入開始までの準備段階から使用者に対して徴収の変更に係る十分な 周知、説明を行うよう要望します。

最後に、財政運営について、申し上げます。 平成29年度当初予算については、一般会計の予算規模は5年ぶりのマイナス予算であり、大型事業の完了などの減要因がある中で、その規模は過去最高であった平成28年度に次ぐ2番目の規模となりましたが、財政調整基金取り崩しの抑制や市債発行額の抑制により、将来負担を減少させるなど、施策推進と持続可能 な財政運営の両立が図られた予算であることは評価するところであります。

地方自治体を取り巻く環境は、なお一層厳しくなることが予想 されますので、行財政改革の推進については不断の努力を求める ものであり、将来負担に留意のうえ、市税などの自主財源や国・県支出金などの特定財源の確保に意を用い、市民の負託に的確にこたえられる持続可能な財政運営を求めるものであります。

以上、小出市長並びに執行部におかれましては、只今申し上げました事項に十分配慮の上、予算の執行に当たられ、人口減少克服への施策効果等を早期に実現させ、好循環を生むことを主眼に、全庁一丸となってスピード感を持って取り組まれるよう強く要望し、平成29年度市原市一般及び特別・企業各会計予算案に、市民クラブは賛成し、意見の陳述といたします。