令和2年第2回定例会で伊藤浩士議員が代表質問

2020.02_ito01

1 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)これまでの取組と暫定的な総括について
 本市においても様々な対応を図っていたと認識しておりますが、これまでの新型コロナウイルスの

対応について、市長は、どのような思いを持たれて対応にあたってこられたのか、伺いたい。

■小出市長 私は、市民の生命と健康を守り、また、市民生活と地域経済への影響を最小限に抑えるため、市対策本部の本部長として、強い危機感を持ち、これまで新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいりました。
 これまで10回開催した対策本部会議等におきましては、市民に寄り添った対応を基本として、市の対策を速やかに決定してまいりました。
 初めて経験する緊急事態の中にあって、漏れのない対策を立案していくためには、情報の迅速な集約と、広い視野で議論と的確な判断ができるフレキシブルでフットワークの良い体制が必要との思いから、対策本部内に、副市長をトップとしたプロジェクトチームを編成いたしました。
 このプロジェクトチームに、防災担当副参事や管理3部門の総括担当主幹に加え、経験豊富な秘書担当、総務担当の両アドバイザーを配置し、原則、毎日、市民の声や国・県等の膨大な情報の分析と必要な対策の総合的な調整を担わせたところであります。
 具体的な対策では、「市民の命と健康を守る感染防止対策」として、いち早くコールセンターを開設し市民の不安の声に応えたほか、私自らも、防災行政無線や動画配信により、外出自粛への協力を直接呼びかけてまいりました。
 「市民の暮らしを守る生活支援対策」として、県内で初となるひとり親家庭等に対する緊急支援給付金の支給を決定し、5月1日の段階で、対象となる世帯にすべて支給することができました。
 国の一人一律10万円を支給する特別定額給付金につきましては、市民の皆様に一日でも早く届けたいという思いから、私も申請書の発送作業に携わるとともに、庁内の各部局より多くの職員を動員し、昼夜を問わず、休日返上で事務を進めた結果、申請のあったものについてはすべて処理を終えております。
 なお、本日の段階で給付対象世帯のうち約92パーセントの給付が完了し、残り8パーセントは申請がない方等となっております。
 さらに、緊急経済対策では、「地域経済を守る」という強い決意のもと、持続化給付金申請サポート会場を県内で最初に設置したほか、市独自の中小企業等経営支援金の支給、市原商工会議所と連携した経営相談臨時窓口の開設、クラウドファンディング支援など、市内事業者に寄り添った様々な施策を実施してまいりました。
 今後は、ウィズコロナ・アフターコロナの中で、感染防止と市民生活及び地域経済の回復を両立するため、新しい生活様式への行動変容を推進するとともに、市民の皆様や事業者の皆様の声をしっかりと受け止め、引き続き、全力で取り組んでまいります。

(2)今後の備えについて
 現在でも首都圏において新型コロナウイルス感染症の陽性患者が報告され、感染拡大が懸念されます。これからも、新型コロナウイルスと対峙し、市民の生命と生活を守るための体制をどのように考え、対策をとっていかれるのか、今後の備えについて伺いたい。

■保健福祉部長 国の諮問機関である新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、「感染状況が落ち着いている今こそ、今後の新たな感染拡大を見据え、検査体制や、医療提供体制の強化等に取り組むべき」と指摘しております。
 これまで、本市では、県内における感染の拡大と、マスク等の物資の調達が困難となった状況を受け、福祉施設や医療機関など、高いレベルでの感染防止策が求められる現場へ、必要な物資を提供してまいりました。
 特に、医療現場で必要となる高機能マスクや防護服、ゴーグル等につきましては、市の備蓄をできる限り放出したところであり、さらには多くの市民の皆様や事業者の皆様からも、沢山のご厚意が寄せられ、医師会を通じて医療現場に提供させていただいたところであります。
 このような経験を踏まえまして、今後の感染拡大に備えるため、現在、マスクやアルコール等の確保を進めているとともに、PCR検査体制の整備にも有効となる緊急医療用テントの購入も進めております。
 また、緊急事態宣言は解除されたものの、千葉県を含む首都圏においては、引き続き感染者が確認されており、感染の再拡大が懸念されることから、本市においては、対策本部会議等の庁内体制を維持しており、公共施設の段階的再開や新たな生活様式への対応等の総合調整を行っている状況にあります。
 今後とも、対策本部会議等において、感染者の発生状況を注視しながら、市民ニーズを的確に捉えるとともに、国・県の動向を踏まえ、市原保健所や医師会等の関係機関と連携し、感染の再拡大に備えてまいります。

2 公共交通について
 (1)新型コロナウイルス感染症の影響について
 市では、新型コロナウイルス感染症に伴う鉄道・バスへの影響について、どのように把握しているのか伺いたい。

■都市戦略部長 市内の鉄道やバスなどの公共交通機関は、政府による緊急事態宣言発出後においても最低限の事業継続が要請されておりました。
 市内の交通事業者におきましても、JR及び京成千原線を除き、各交通事業者が休止や減便などの対応を図りながら、運行を継続してまいりました。
 具体的な減便等の状況につきましては、最大で小湊鐵道は通常ダイヤの3割程度、小湊バスにおいては休止や、平日のダイヤを土日のダイヤに変更する等の減便を実施しておりました。
 また、利用者数に関しましては、小湊鐵道が4月の前年同月比で約7割減、小湊バス等の路線バスが、4割から5割減にまで落ち込んだと把握しております。
 現在は、徐々に回復傾向にあるとのことですが、いまだに小湊鐵道が2割程度の減便を実施している状況でございます。
 なお、市では、引き続き減便やダイヤ変更等の運行状況の収集を行い、市ウェブサイトを通じ、利用者への情報提供に努めてまいります。

 (2)公共交通への財政支援について
 生活交通の確保維持が危機的状況の中、本市が目指す持続可能な公共交通ネットワークを確立するためには、交通事業者へ、より一層の支援が必要と考えるが、見解を伺いたい。

■都市戦略部長 本市の交通事業者に対する主な補助制度といたしましては、鉄道事業者が行う安全性の向上に資する設備の整備等に対する補助金と、路線バスの運行の維持に要する経費に対する補助金がございます。
 これらの補助金につきましては、それぞれの要綱に基づき、交通事業者から1年間の事業実績を報告していただき、鉄道の設備整備やバスの運行の維持に要する経費の一部を補助することとしており、これらの補助金交付に係る手続きは、例年、年度末に実施しております。
 しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、交通事業者の経営がひっ迫しており、鉄道の安全輸送や、バス路線の維持に重大な支障を生じかねない状況を鑑み、事業の継続を支えるため、補助金の交付を前倒し、年度途中での概算払いについて検討を進めているところでございます。
 今後も新型コロナウイルス感染症の第2波等、公共交通への影響も不透明であることから、市といたしましては、各交通事業者と連絡を密にとり、運行状況等の把握に努め、既存の公共交通の確保、維持に向けた支援を継続してまいります。

(3)新たな交通インフラについて
 本市においても、交通分野の様々な課題を解決するためにMaaSの導入は有効であると考えるが、見解を伺いたい。

■都市戦略部長 議員ご提案のMaaSの導入につきましては、目的地まで公共交通を乗り継ぐ場合の利便性や、人の移動の効率化、生活交通の確保・維持に向けた地域負担の軽減等、本市が抱える公共交通に関する課題を解決するための有効な手段の一つになるものと考えております。
 一方で、MaaS導入に関しては、各交通事業者間やサービスを提供する企業などが、横断的に連携する体制を構築する必要性や、決済に必要なシステムなどの設備投資、スマートフォン等の端末操作に馴染みのない高齢者への対応、などの課題がございます。
 市といたしましては、このような課題を踏まえ、地域の特性に応じた生活交通に組み込む「市原市版MaaS」の導入について、国の支援策を注視するとともに、先進事例等を参考にしながら、交通事業者等と連携し、調査・研究をしてまいります。
3 SDGsの推進について
(1) 「SDGs未来都市」、「自治体SDGsモデル事業」について
「(仮称)市原市SDGs戦略」を策定し、「SDGs未来都市」、「自治体SDGsモデル事業」の選定を目指すとあるが、「SDGs未来都市」、「自治体SDGsモデル事業」が具体的にどのようなもので、選定されるとどのようなメリットがあるのか伺いたい。

■企画部長 はじめに、「SDGs未来都市」につきましては、国が地方公共団体のSDGs達成に向けた提案を公募し、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域を選定・支援する取組であります。
 また、昨年度、国が策定した「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、KPI(重要業績評価指標)として、2024年度までに毎年度30都市程度、累計210都市の選定を目標に掲げ、昨年度までに60都市が選ばれております。
 「SDGs未来都市」に選定されるメリットといたしましては、国の支援により、積極的な取組が実施できる点であります。
 選定都市は、提案内容の具現化に向け、3年間の計画を策定し、国に提出します。
 その後、国との連携により、各省庁の支援施策活用の助言を得たり、国が成果等を国の内外に発信したりすることで、新たな連携等も期待できます。
 次に、「自治体SDGsモデル事業」につきましては、「SDGs未来都市」に選定された都市が実施する取組のうち、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値を創出し、地域における自律的好循環が見込める事業を国が支援する制度であります。
 モデル事業に選定されるメリットといたしましては、地方創生支援事業費補助金の活用が可能となります。具体的には、全体マネジメント・普及啓発等経費として、1年間、2,000万円を上限とする定額補助のほか、事業実施経費として、補助率2分の1、1,000万円を上限とする定率補助の合計3,000万円を上限とする補助制度があります。
 このようなことから、今年度、本市におきましては、SDGsを達成するための指針となる『(仮称)市原市SDGs戦略』を策定するとともに、「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」の選定を目指し、「SDGsのシンボルとなるまちづくり」に挑戦してまいります。

(2) 本市の特性を生かした取組について
「SDGs未来都市」、「自治体SDGsモデル事業」へのチャレンジは、臨海部の工業地帯で石油精製の際に発生する副生水素を利用した事業や市原市の広域な市域を利用して行う再生エネルギーから水素を生み出す事業など、本市の強みを活かして積極的な提案を行う事が適当であると考えるが、見解を伺いたい。

■企画部長 SDGs達成に向けた取組を展開していく上で、「日本の縮図」と言われる本市ならではの強みや課題をしっかりと分析した上で、経済・社会・環境の三側面で新たな価値を創出し、持続的な発展を実現することが大変重要と考えております。
 そこで、「(仮称)市原市SDGs戦略」策定過程において、議員からご提言のありました臨海部の工業地帯で発生する副生水素などのエネルギーの活用をはじめ、世界に一番近いSATОYAMAなど、本市の特性を生かしたテーマを設定し、具体的なモデル事業について検討してまいりたいと考えております。
 また、大規模災害に備えた、エネルギーの供給リスクの問題や再生可能エネルギーの活用など、環境負荷にも配慮した分散型エネルギーへの取組、アフターコロナを見据えた新たな生活様式への対応など、新しい時代の流れも的確に捉えた上で、本市の特性を生かしたSDGs達成に向けた取組を進めてまいります。