平成30年第4回定例会で渡辺直樹議員が個別質問

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1 災害対応について
(1)市民の避難について
台風や集中豪雨などにより土砂災害や洪水などの災害発生が予見される場合、状況的に避難が難しくなってからの「避難勧告」等の発令は、

かえって市民の命を危険にさらしてしまう恐れがある。市民に避難を促す「避難準備・高齢者等避難開始」や「避難勧告」などが時期を逸することなく、適切な時期に発令することが大切と考えるが、市の対応について、伺いたい。

総務部長 台風や集中豪雨などにより、土砂災害や洪水などの災害が発生するおそれがある場合、又は、発生した場合において、市民の皆さんが適切な避難行動をとるためには、時期を逸することなく、避難勧告等を発令することが大変重要です。
このため、本市では、避難勧告等の発令について、これまでの災害を教訓に内閣府が作成した、『避難勧告等に関するガイドライン』を参考として、意思決定の迅速化と発令基準の見直しを行い、本年6月から先行運用を図るとともに、この10月に修正しました『地域防災計画』にも位置づけを行いました。
現状、避難勧告等の発令に当たりましては、気象庁銚子気象台と民間の気象予報会社から気象情報を収集するとともに、直接問い合わせを行い、専門的な知見とアドバイスを得ております。
これらの情報を基に、避難に時間を要する高齢者や障がいをお持ちの方が、昼間の明るい時間帯に、安全に避難できるよう、大規模水害の発生予想時刻から逆算して、避難準備・高齢者等避難開始の発令を早めに行うとともに、早期開設避難所の開設も併せて行い、時期を逸することなく避難ができるよう対応を図っております。

避難勧告等の避難情報を市民に確実に伝達することがとても重要と考えるが、市はどのような対策を行うのか伺いたい。

総務部長 市では、すべての市民の皆様に災害情報が的確に伝達できるよう、防災行政無線や、防災ラジオ、フリーダイヤルのテレフォンサービスのほか、市のホームページ、情報配信メール、Lアラート、ツイッターなど、多様な手段を用いまして、情報の伝達を図っております。
このうち、市民に対して直接かつ同時に、防災情報を伝達するための手段として、その中核的な役割を担っております防災行政無線につきまして、現在、デジタル化を進めるとともに、屋外スピーカーの効率的な配置や、難聴地域へのスピーカーの増設についても、検討を進めております。
また、この防災行政無線のデジタル化に当たりまして、将来的に現行のアナログ式防災ラジオに代わる、新たな情報伝達手段が必要となりますことから、現在、その対応方策について、検討を進めている状況でございます。
今後でございますが、議員から只今ご紹介のありました「安心電話」を含めまして、先進市の事例や、技術革新の状況等を調査・検討する中で、本市の実情にあった、市民への情報伝達手段の確保に努めてまいります。

(2)受援体制について
本市単独での災害応急対策が困難であるほどの大規模災害が発生した場合、他自治体の職員など多くの方々が応援に駆けつけて頂けると考える。この受入れ体制を事前に整えておくことで、受入れ調整・業務調整が円滑に進むと思うが、市の対応について伺いたい。

総務部長 大規模災害発生時は、行政自らも被災する中で、行政には、災害発生に伴い生じる膨大な災害対策業務の実施と、災害時であっても市民生活等に影響の大きい通常業務の継続が求められます。
そして、自治体自らが持っている資源や力だけでは、十分な対応が図れないことは、阪神・淡路大震災など、過去の教訓から明らかであり、受援体制の整備は非常に重要です。
このことから、実効性のある受援体制を構築するため、『地域防災計画』と『業務継続計画』、そして『受援計画』と、それぞれの計画を、しっかりと整合させることが重要であると考えております。
そこで、本市としての取組でございますが、今年度は、まず、地域防災計画の見直しを行いました。
来年度は、「市原市業務継続計画」を見直す中で、地域防災計画に基づく災害応急対策などの非常時優先業務に必要な、人的・物的資源がどの程度不足するのかを整理してまいります。
その後、業務継続計画の見直しの中で明らかになりました、人的・物的資源の不足について、災害の規模や被災地のニーズに応じて、他の自治体や防災関係機関から円滑な応援を受けることができるよう、『地域防災計画』、『業務継続計画』と整合した『受援計画』の策定に取り組み、実効性のある体制を構築してまいります。
(3)避難所について
今回の地域防災計画の見直しでは、市が指定する避難場所、避難所について、洪水、土砂災害、地震など災害種別毎に適否を整理し、指定緊急避難場所、指定避難所として再編した。このことについて、市民への周知をしっかりと行っていく必要があると思うが、市の対応について伺いたい。

総務部長 平成23年3月の東日本大震災では、「避難場所」や「避難所」について、災害種別ごとの安全性が明確に整理されていなかったことから、安全でない避難先に避難した多くの方が被災しました。
このような、同一の施設や場所が、全ての災害種別に対して安全な避難場所であるとは限らないという教訓から、新たに災害種別に応じて指定を行った指定緊急避難場所等の考え方について、市民への周知を図ることは、大変重要であると認識しております。
このため、本年10月の地域防災計画の見直しに当たりましては、指定緊急避難場所等の指定について、地域住民の適切な避難行動につながるよう、本年8月末から10月の上旬にかけまして、町会長連合会及び市内11地区の町会長の皆さんと、計15回にわたりまして意見交換を実施し、指定緊急避難場所等についての考え方を共有しながら、その周知を図ってまいりました。
今後も、地区防災計画の策定を進める中で、地域の災害リスクや指定緊急避難場所などの周知を図るほか、広報いちはら、防災マップ、生涯学習講座「おでかけくん」など、様々な機会・手段を活用いたしまして、市民への周知を図ってまいります。

避難所への救援物資の配送や避難所運営など、可能な限り民間事業者やNPO法人などと協定を締結したり、指定避難所の収容可能人数を超える避難者が殺到する想定外の事が起こる場合も考え、民間の施設などを臨時の避難所として活用できるよう協定等を締結し備えてはと考えるが、市の対応について伺いたい。
また、アレルギーを持っている市民が避難された場合、市の備蓄食料は対応しているのか、伺いたい。

総務部長 まず、民間事業者との連携につきまして、市では現在、大規模災害時の官民協力の重要性を踏まえ、官民合わせて80の災害協定を締結しております。
このうち、只今、議員から例示いただきました「避難場所等の確保」では、市内の私立高校2校や市原市ゴルフ場連絡協議会などと協定を締結しております。
次に「救援物資の配送」については、赤帽首都圏軽自動車運送協同組合市原支部、千葉県トラック協会市原支部と、
また、「避難所の運営」については、福祉避難所の設置運営として、市原市高齢者福祉施設連絡協議会を構成する施設とそれぞれ協定を締結しております。
災害対応を図る上で、民間事業者との連携は重要であると認識しておりますので、他市の事例等も参考に、引き続き多様な事業者との協定締結を推進してまいります。
次に、食物アレルギーに対応した備蓄食料につきましては、現在、食品表示法で原材料のアレルギー表示が義務付けられております、卵、小麦、そばなどの特定原材料7品目と、それに準ずるものとして表示が推奨されております20品目の、いわゆるアレルギー27品目に対応した食料の調達を進めており、平成29年度末現在で64,000食のアレルギー対応の備蓄食料を確保し、今年度につきましても、アレルギー対応のレトルト食品5,450食を購入する予定となっております。
今後も、引き続きアレルギー対応食の確保に努め、きめ細やかな対応を図ってまいります。

(4)罹災証明について
今回の地域防災計画の見直しにおいて、災害対応の事務分掌を平常時の事務分掌とリンクするように改めたとのことだが、罹災証明書発行の実効性を確保するための市の対応について、伺いたい。

総務部長 罹災証明書は、被災者生活再建支援金や災害義援金の支給、仮設住宅への入居など、各種支援措置適用の判断材料として幅広く活用されており、迅速、正確な発行体制の構築が求められ、過去の災害の教訓から、被災者の円滑な生活再建に大変重要であると認識しております。
この罹災証明書発行の実効性を確保するため、現在、マニュアルの作成に取り組んでおります。
また、迅速な生活再建支援業務を確実に進めるため、罹災証明書の発行をサポートする新しいシステムの導入や、また、職員研修の実施など、実効性の確保に向けまして、引き続き関係部門と連携し、進めてまいります。