平成30年第4回定例会で菊岡多鶴子議員が個別質問

30_4_kikuoka2

1 包括的支援体制づくりについて
包括的支援体制づくりと福祉分野の共通の課題に対して、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたい。

保健福祉部長 これまで、

国におきましては、高齢者、障害者、子どもなどの対象者ごとに、また、生活に必要な機能ごとに、公的支援制度の整備と公的支援の充実が図られてまいりました。
しかしながら、近年、「8050問題」や、「ダブルケア」など、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられるなど、対象者別・機能別に整備された制度では、対応が困難なケースが浮き彫りとなってきております。
このため、国では、地域包括ケアの理念を普遍化し、高齢者のみならず、生活上の困難を抱える障害者や子どもなどが地域において自立した生活を送ることができるよう、地域住民による支え合いと公的支援が連動し、地域を『丸ごと』支える包括的支援体制の構築を取組みの一つとする「地域共生社会」の実現を図ることとし、平成29年6月、社会福祉法をはじめとする関係法令の改正を行いました。
この改正により、「包括的支援体制作り」や、制度の狭間の課題・権利擁護などの各福祉分野の共通して取組むべき事項を記載した、ご紹介いただいた「地域福祉計画の策定」が努力義務化されたところでございます。
個人や世帯において、解決することが難しい課題を抱える方々に対し、地域の皆様や、様々な分野の相談支援機関等が包括的に連携し、早期の課題解決に向け、必要な支援制度等につないでいくことは、本人の自立はもとより、市が目指します「支え合いの地域づくり」にも寄与する取り組みであると考えております。
市といたしましては、こうした状況も踏まえながら、本市における「地域共生社会のあり方」を見据え、「包括的支援体制」や、福祉分野における共通した課題の整理を含めた「地域共生社会」の取り組みを検討する中で、考えてまいります。

認知症高齢者が障がい者でもあるという認識に立ち、地域で支え合う仕組みとして、保健福祉に関わる人の連携強化が必要と感じるが、見解を伺いたい。

保健福祉部長 認知症に関する関係者等の連携強化について、お答えいたします。
現在、市では、地域包括ケアシステムの推進に向けた重点事項の一つとして、「認知症施策の推進」を掲げ、国の地域支援事業実施要綱に示されました、認知症初期集中支援チームの設置や認知症地域支援推進員の配置、認知症サポーターの養成等に取り組んでおります。
また、国におきましては、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を掲げ、現在、県が主体となり関係者等による「協議の場」を設置し、市からは障がい部門とともに、地域包括ケア部門がこれに参画しているところでございます。
認知症は高齢者のみならず、「若年性認知症」と言われるように、65歳未満で発症するケースでは、必要とされる支援内容が高齢者と異なる部分もあることや、認知症の方への支援といたしましても、介護保険制度だけでなく障害者支援制度にも関連する場合がございます。
市といたしましては、認知症施策を推進することで、認知症の人やその家族が安心して暮らせるまちを目指しておりますことから、引き続き、関係団体や関係機関等との連携を深め、一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

認知症高齢者を支える為の連携づくりの強化を中心的に行うのは、どこの機関となるか、見解を伺いたい。

保健福祉部長 認知症高齢者を支える為の連携づくりの強化を中心的に行う機関について、お答えいたします。
現在、市が取り組みを推進します「地域包括ケアシステム」におきましては、地域包括支援センターは地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防のための必要な援助などを行うことで、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする、中核的な機関でございます。
地域包括支援センターへ委託する業務には、認知症地域支援・ケア向上事業といたしまして、認知症地域支援推進員を配置することで、医療機関や介護サービス事業者、認知症サポーター等、地域において認知症の方を支援する関係者との連携を図るための取り組みを実施することとしております。
これらを踏まえまして、認知症高齢者という視点で申し上げますと、各地域包括支援センターが連携の中心的な役割を担うものと考えております。

地域包括支援センターごとに、手続き等の対応に異なる部分があるため、包括ケアを中心的に進めるセンター体制が必要と考えるが、見解を伺いたい。

保健福祉部長 地域包括ケアを中心的に進めるセンター体制について、お答えいたします。
市では、現在、市内に6か所の地域包括支援センターを設置しております。
運営にあたりましては、複数の法人への業務委託により行っておりますが、手続きなどに際し、市が作成して各センターに配布をしております手引き等について、対応によっては、定義や解釈など、調整を要する事項があったものと認識しております。
現在、市では「いちはら高齢者福祉共生プラン」に掲げました、各地域包括支援センターの後方支援等の役割を担う、基幹型地域包括支援センターの設置を目指しているところでございます。
また、次年度からは9か所によるセンターの運営を予定しておりますことから、プランに掲げた基幹型センターの設置により、様々な対応への均一化が期待できるものと考えております。
当面は、各センターの管理者が参加する連絡会議等を活用し、現状に関する情報を共有しながら、対応を図りますとともに、基幹型センター設置に向けた協議についても、併せて行ってまいりたいと考えております。

地域ケア会議において、認知症高齢者が障がい者であるという視点から、障がい福祉担当課や障がい者施設、相談支援事業所等にも参画していただくことが大切だと考えるが、見解を伺いたい。

保健福祉部長 現在、市におきましては、各地域包括支援センターの主催により、個別事例の地域ケア会議と、日常生活圏域毎の地域ケア会議、市が政策形成の視点により議論する場としての地域ケア推進会議を設置し、地域ケア会議の推進を図っております。
この内、個別事例の地域ケア会議におきましては、これまでも認知症の方を含めた複合的な課題を抱える世帯のケースについて、相談支援事業所等にご参加いただき開催することはございました。
また、日常生活圏域毎の地域ケア会議におきましても、一部の圏域におきまして、相談支援専門員にご参加をいただき開催しております。
認知症への対応は、地域包括ケアシステムの推進に向けた重要事項の一つでもありますことから、各日常生活圏域での課題として捉え、より幅広い連携の視点に立ち、関係者・関係機関等の参加についても対応してまいりたいと考えております。

2 障がい児支援について
(1)医療機関との連携と情報発信について
市と障がい者支援協議会が連携して、医療資源マップを作成してはどうか。

保健福祉部長 本市では、障害福祉サービスの事業者や当事者団体、学識経験者などで構成する、市原市障がい者支援協議会を設置し、各種事業の課題について、ご意見を伺いながら取組の推進を図っております。
本協議会の相談支援部会では、障がいに関する相談をどこに問い合わせをすればよいのか、わかりにくいという当事者の視点に立って、関係機関を整理した、障がい児者相談支援窓口一覧「おしえてマップ」を作成し、障がい者支援課の窓口にて配布しております。
この「おしえてマップ」には、障がいのある子どもの特性や育て方、就労、権利擁護、教育などの困りごとを相談する機関と場所、連絡先等が記載されております。
また、障がいの発見や認知が行われにくい反面、早期から治療的教育を行えば、適応障がいのない状態で成長することができる発達障がいの情報につきましては、「早期発見」につながるよう子育てに関連する他の部署と協議することとあわせ、ご提案のございました医療機関のマップへの掲載についても検討してまいります。

(2)保育・教育機関との連携について
相談支援事業所の相談支援専門員の仕組みや連携の必要性、活用について今現在、保育・教育現場でどのように理解され、活用されているのかお聞かせ下さい。

子ども未来部長 市立認定こども園及び市立保育所では、特別な配慮を必要とする児童に対し、専従の職員を配置し、この専従職員により、保護者のニーズを聞きながら、一人一人の障がいの状況や発達状況に応じた個別の支援計画を作成しております。
この支援計画を作成する中で、児童発達支援などの福祉サービス利用状況等を把握しており、また、支援計画を進めていくにあたりましては、教育センターや発達支援センターなどの関係する専門機関と連携し、取り組んでいるところでございます。
相談支援専門員との連携は、一人一人の障がいなどの状況に応じた取り組みに、より有益と考えますことから、児童及び保護者のニーズを踏まえた上で、相談支援事業所における相談支援専門員とも連携を図ってまいりたいと考えております。

相談支援事業所の相談支援専門員の仕組みや連携の必要性、活用について今現在、保育・教育現場でどのように理解され、活用されているのかお聞かせください。

学校教育部長 市内幼小中学校では、特別な支援を要する幼児、児童、生徒に対して、自立と社会参加に向けて一人一人の教育的ニーズに応じた指導・支援を行っております。
具体的には、園長・校長の下、特別支援教育コーディネータを中心に家庭や関係機関と連携しながら校内支援体制を整備するとともに、きめ細かな指導を行うため、個別教育支援計画を作成、活用しております。
個別の教育支援計画は、乳幼児期から学校卒業後までの長期的な視点で、一人一人のニーズに応じた支援を効果的に実施するためのもので、園・学校が中心となり、医療、福祉等関係機関と連携して作成するため、学校でも児童発達支援、放課後等デイサービスの利用について、把握できるものとなっております。
このような中、教育委員会といたしましては、子どもたちの特性にあわせ、健やかな成長を育んでいくためには、関係を持つ様々な人と連携し、必要な情報を共有しながら、それぞれの役割に応じ支援していくことが大切であると考えております。
そこで、相談支援専門員との円滑な連携が図られるよう、幼稚園や小中学校にその仕組み等の周知を図るとともに、引き続き教育現場における他機関との連携強化に努め、子どもたちへの一層の支援に取り組んで参ります。

(3)発達支援センターの体制と今後のあり方について
臨床心理士による巡回相談について、1名の臨床心理士の対応では、勤務日数、勤務時間、人数も足りないと思うが、市の見解を伺いたい。

子ども未来部長 臨床心理士による巡回相談につきましては、1名の体制のなかで保育所等からの要望を受けて、日程を調整しながら対応しております。
しかしながら、市内保育所等の入所児童数の増加に伴い、今後、巡回相談への要望数も増加することが考えられます。
発達が気になるお子さんを早期に発見し、早期療育につなげていくことが、お子さんのその後の成育にとって重要でありますことから、今後も巡回相談へのニーズの動向を注視し、必要に応じ、関係部署と協議を行ってまいります。

療育相談をしたくてもなかなか予約が取れない。運営時間が8:30~17:15であり、土日、祝日、年末年始が休業となると、就労していると相談ができない。車の運転ができないと行くこともできないとの保護者の声は、当然だと思うのですが、その声をどのように捉えているのか。

子ども未来部長 発達支援センターの療育相談を利用されている方の中には、歩いて約300mほどの距離にある、小湊鉄道上総三又駅を交通利用されている方もいらっしゃるところです。
しかしながら、他の公共交通機関であるバスの停留所は近くになく、また、議員からお話がありましたとおり、土日等は運営していないことから、車の運転ができない遠方の方や平日勤務の方にとっては、ご不便がかかっているものと考えております。
一方、療育相談は、年々件数が増えてきており、この対応といたしまして、平成30年度は療育相談員の勤務日数を増やすなど、工夫を図り、できるだけ多くの方に、相談を受けていただけるような体制づくりに努めているところです。
今後も、必要な支援が適切に受けられるよう、議員からいただいたお話の主旨も踏まえ、利用者の視点に立った利用しやすい方策について検討してまいりたいと考えております。

児童発達支援センターの設置に関して、国は設置数の目安として人口10万人に1か所としており、市原市では3か所あってもよいと思う。社会福祉法人等の民間の活用も視野に入れ設置を増やすべきと考えるが、市の見解を伺いたい。

子ども未来部長 児童発達支援センターは、2012年の改正児童福祉法により定義され、その際に、概ね10万人規模に1か所以上という整備量のイメージが、国から示されております。
また、2017年3月に改正した、障害福祉サービスなどの円滑な実施を確保するための、国の基本指針においては、「2020年度末までに、児童発達支援センターを各市町村に少なくとも  1か所以上設置することを基本とする」としております。
このことを受け、本市では、2018年3月に策定した「いちはら障がい者福祉共生プラン」の中で、2020年度末までに、児童発達支援センターを1か所以上設置することを掲げております。
また、同プランの中で、発達支援センターの児童発達支援センターへの移行についても、併せて掲げております。
議員ご提案のとおり国が示しております整備量のイメージでは、約人口28万人の本市においては、複数の設置が想定されますので、民間による設置も考えられます。
児童発達支援センターの複数設置は、市全体としての療育体制の充実に繋がるものと考えますことから、今後、関係部署と協議してまいります。