1 市原の人口とまちづくりについて
(1)市原市の人口について
「実行計画(令和4年度版)策定方針及び令和4年度予算編成方針」では、人口27万人の
維持から人口27万人の堅持と変わっている。27万という数字から減らさないということに変わりはないと思うが、堅持という言葉を使った背景には強い思いがあるものと推察する。27万人の堅持とした市長の思いや考えを伺いたい。
小出市長 私は、基本構想において、活力ある地域社会が将来にわたって持続できるよう、目標人口2026年に27万人の維持を掲げ、各種施策に全力で取り組んでおります。
総合計画の計画期間10年の折り返しの時期を迎え、令和2年国勢調査の結果が、人口27万人を下回ったことに対し、大変強い危機感を持ちました。
本市の人口動向を見ると、自然的要因である死亡者数が出生者数を上回る状況が続いておりますが、近年は、日本全体でコロナ禍の影響により婚姻数及び出生者数が減少傾向にあることも影響しているのではないかと考えております。
また、転入転出による社会的要因から見た人口動向は、2018年以降は鈍化傾向にあり、これまで取り組んできた施策の効果が発現しているものと捉えております。
私は、未来に責任を持つ市長として、都市としての活力を維持し、持続可能なまちを実現するという強い思いを共有し、これまでの延長線上ではない新たな施策を全庁一丸となって展開するため、令和4年度実行計画策定方針の重点的取組事項として「人口27万人の堅持」を掲げました。
そこで、人口27万人を堅持するための、5つの具体的な取組を示し、実行計画の策定につなげてまいります。
1点目として「若者・女性が輝き、子育て世代に選ばれるまちの実現」では、仕事と子育てを両立し、自分らしく暮らし活躍できる環境を整備するため、子育て世代を徹底的に支援する拠点として、youホールのリニューアルを進めてまいります。
2点目として「未来につなぐ魅力あるまちの創造」では、JR3駅周辺のまちづくりを加速化し、「市原市拠点まちづくりビジョン」の具現化に向け、公民連携によるまちづくりを進めてまいります。
3点目としては「SDGsのシンボルとなるまちの実現」では、SDGs戦略に掲げる3つのリーディングプロジェクトを着実に実施し、経済・社会・環境の三側面の統合的な取組を進め、相乗効果による好循環につなげてまいります。
4点目として「本市ならではの地域資源を活かした地方創生の推進」では、本市の魅力的な地域資源である、ゴルフ、アート、里山などを活かし、交流人口・関係人口の拡大につなげ、さらに移住・定住を促進してまいります。
5点目として「将来を見据えた都市基盤整備」では、八幡椎津線の全線開通へ向け、スピード感を持って整備を進め、市民生活や産業を支えるネットワークを強化することで、地域経済への好影響を創出してまいります。
私は、都市としての活力を維持し、持続可能なまちを必ずや実現するため、2026年に人口27万人を堅持するという強い覚悟をもって、あらゆる施策を総動員し、挑戦してまいります。
(2)子育て世代に選ばれるまちづくりについて
人口の流出が続き、特に20歳から34歳までの若い女性の流出が顕著となっており、移住施策と合わせ、流出を防ぐ取組を着実なものとすることが重要と考えるが、市としてどのように取り組んでいかれる考えなのか伺う。
都市戦略部長 本市の人口動態の特徴といたしまして、臨海部企業への就職に伴い全国から若年男性が転入している一方、就業や結婚、出産、住宅取得をきっかけとして単身女性や子育て世代が近隣市へ転出する傾向が高い状況にあります。
一方、市の南部地域では、市外転出よりも北部地域への転居の割合が高く、北部地域が「人口のダム」としての機能を果たしていると捉えております。
市といたしましては、こうした状況から、北部地域のJR3駅周辺を中心とした魅力ある拠点形成による定住化を実現するため、駅周辺におけるリノベーションまちづくりや社会実験を通じた未利用資産の活用促進に取り組んでいるところでございます。
また、youホールの子育て・子育ちの拠点施設としてのリニューアルを例とする公共施設の再編を通じた新たな価値の提供など、女性や子育て世代をターゲットとした都市機能の強化に取り組んでおります。
あわせて、南部地域を中心に、本市の強みであるゴルフやアートを活かした移住・交流の促進や、東京圏へのアクセスの良さを活かした企業誘致に取り組み、本市における豊かな暮らしづくりに取り組んでまいります。
さらに、ライフステージに応じた支援として、結婚新生活応援や三世代ファミリー定住応援などの住宅支援、子育てと仕事を両立したい女性向けの就職支援やクラウドソーシングの支援などを重層的に展開してまいります。
これらの取組を横断的に進めることにより、人口流出の抑止を図り、女性や子育て世代が住み続けられるまちの実現に取り組んでまいります。
刻々と変わる子育てに対する要望にスピード感をもって対応することは、若者・女性が輝き子育て世代に選ばれるまちの実現へ向け必要不可欠な取組になると考える。ニーズの把握はどのように行っているか伺いたい。
都市戦略部長 「子ども未来プラン」の策定にあたっては、未就学児と小学生のいる各4,500世帯へアンケート調査を行い、認定こども園や保育所等の教育・保育及び放課後児童健全育成事業等の地域子ども・子育て支援事業が、どのくらい必要とされるかを推計する資料としております。
また、策定後も計画の実績把握のため、毎年度、保育所や放課後児童クラブ等を利用している児童の世帯を対象に、アンケート調査を実施しているほか、子育てネウボラセンターや発達支援センターに
おいても、サービスの参考とするため、利用者へのアンケート調査を行っております。
このようなアンケート形式の調査に加え、対話等の双方向のコミュニケーションも取り入れ、適切なニーズの把握に努めているところであります。
具体的には、ひとり親家庭や認可外保育施設、放課後児童クラブ運営団体、子育て支援関係者等、子育てに関わる様々な方から御意見を伺っております。
今後も、より丁寧なニーズの把握に取り組み、子育て当事者の希望や思いに寄り添った子育て支援サービスの充実に繋げてまいりたいと考えております。
若者・女性が輝き、子育て世代に選ばれるまちの実現には、今以上に保育施設や環境(質)を充実させることが必要と考えるが、見解を伺いたい。
都市戦略部長 はじめに、保育施設の充実に向けた本市の取組につきましては、直近の概ね3か年で、新たに私立の保育所9箇所、小規模保育事業所9箇所等を確保するなど、保育施設の整備を最優先に進め、782名の受入枠を拡大してまいりました。
この結果、令和3年4月時点の待機児童数は、1名となり、施設面での充実については、一定の成果が得られたものと考えております。
また、現在、市原地区において、令和5年4月開園予定の認定こども園の整備を進めております。
今後の整備については、待機児童数や入所申込数、出生数に加え、既存事業者の運営状況等を充分に踏まえて検討し、継続的な待機児童の解消を図ってまいります。
次に、保育環境の充実、質の向上につきましては、より一層の推進が必要と考えており、令和3年度では、健康面で課題を抱える児童の健全な成長と保護者の負担軽減を目的に、法律の制定に先行し、公立保育施設において、「医療的ケア児」の受入れ体制を整えたところであります。
また、要支援児童等に係る関係機関との連携強化を図るため、地域巡回支援員を配置し、保育所等の訪問により、困難を抱える保護者に寄り添った相談を行い、支援機関につなげるなど、ソフト面の充実に取り組んでおります。
今後も、保育士に対し、特別支援等の専門性を高める研修を継続するとともに、保護者への丁寧な入所斡旋など、相談窓口の強化を進めてまいります。
さらには、外部からの視点を改善に繋げるため、公立保育施設における、第三者評価の導入など、引き続き保育環境の充実に努めてまいりたいと考えております。
2 南いちはらの都市計画について
地域拠点である牛久は、都市計画税を納めているからには、しっかりとした活用をお願いしたい。
牛久に対する都市計画のビジョンについて伺いたい。
都市部長 牛久地区につきましては、議員ご指摘のとおり、土地区画整理事業が事業化には至らず、現在、道路の安全確保や公園整備等が進んでいない状況となっておりますが、本市南部地域における中心拠点の役割を担っていることから、 集積する都市機能を活かし、住民の生活とコミュニティを支える拠点づくりが求められております。
このことから、都市計画の基本的な方針である都市計画マスタープランにおいて、上総牛久駅周辺を「地域拠点」に位置づけるとともに、都市の将来像として「地域コミュニティを維持し、住み続けられる南部の拠点づくり」を目指すこととしております。
具体的な施策の方針といたしましては、周辺住民の皆さんが必要な商業・医療・福祉などの多様な機能の集積とともに、南市原の玄関口としてふさわしい交流機能の創出を図ることにより、本市南部地域の拠点として、地域の活性化につながるまちづくりを目指します。
また、地域に住む若者はもとより、Uターンなどを希望する子育て世代の受け入れに向けて、 生活利便施設や子育て支援施設などの充実を図るとともに、小湊鐡道の利用促進を図ることにより、人口減少を抑制し、移住・定住による持続的な 生活を実現するまちづくりを目指します。
さらに、安全な歩行空間の確保や交通安全対策など、市街地環境の向上を図るとともに、移動環境の向上を図ることにより、高齢者に優しいまちづくりを目指すこととしております。
未来へ向けた新しい形での税の使い方・都市の創造を地域と一緒に考える時であると感じるが、市の見解を伺いたい。
都市部長 ご紹介頂きました、「2040年、道路の景色が変わる」につきましては、気候変動や人口減少、 デジタル化、そしてポストコロナの新しい生活様式などの課題に対し、道路政策を通じて実現を目指す概ね20年後の社会の姿と、政策の方向性が提案されております。
そして、「公園のような道路に人が溢れる」や 「被災する道路から救援する道路に」など、具体的な提案をすることにより、既成概念に捉われない 自由な発想で、道路政策を検討し展開することを 期待するとともに、道路の役割や景色をどう変えていくべきかなどについて考えるきっかけとして、 さらには、道路政策関係者のみならず、様々な関係者の議論や連携などについても期待するものとされております。
本市といたしましては、今後、牛久地区におけるまちづくりを推進する上でも、提案されておりますように、既成概念に捉われることなく、まちの空間のあり方などについて、本地区に関わる多くの方々と自由な発想で検討し、取り組んでいくことが非常に重要であると考えております。
今後も、地域の皆さんはもとより、様々な皆さんと対話を重ねながら、未来へ向けた都市を創造するまちづくりの実現に向け、積極的に取り組んでまいります。