令和3年第3回定例会で水野義之議員が代表質問

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1 市長の政治姿勢について
 (1)コロナ禍における市内経済の見通しと活性化策について
 新型コロナウイルス感染症の影響により、市内経済は疲弊している状態となっている。

コロナ禍における市内経済の見通しと、市内経済を立て直すための活性化策について、市長の見解を伺いたい。
小出市長 はじめに、この場をお借りいたしまして、市民の皆様、そして事業者の皆様には、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、新しい生活様式などへのご理解とご協力をいただき、心から感謝を申し上げます。
 現在、千葉県では8月2日から3度目となる緊急事態宣言が発令され、飲食店への時短営業・酒類の提供禁止のほか、外出自粛等の要請などにより、飲食や交通をはじめとする多くの事業者に影響が及び、市内経済は大きな打撃を受けております。
 直近の経済状況としましては、市原市地域経済動向調査の速報値によりますと、「景況感の一部に回復のきざしが見えるものの、多くの企業で引き続き売上げが減少している」状況であります。
 また、雇用につきましても、毎月、千葉労働局が発表する「県内有効求人倍率」において、直近の7月では0.89で、昨年6月から連続して1.0を割り込んでおり、厳しい雇用環境が続いております。
 新型コロナウイルス感染症は、未だ収束の見通しが立たない中、中小企業等の経営の厳しさは、一層増すものと考えております。
 このため、私は新型コロナウイルス感染症の影響から、「地域経済を守る」との強い思いを持ち、地域経済の活性化に向けた様々な支援策を、スピード感を持って講じてまいりました。
 具体的には、コロナ禍により厳しい経営を迫られている市内中小企業等が、業態転換等に勇気を持ってチャレンジできるよう「中小企業等チャレンジ応援事業」や、テレワークの導入に取り組む中小企業等を対象とした「テレワーク導入促進事業」など、本市独自の6つの支援策を実施しているところであります。
 このうち、「中小企業等チャレンジ応援事業」につきましては、多くの事業者から実現性の高い応募がありましたことから、本議会において、補正予算案を提出させていただきました。
 また、更なる取組として、緊急事態宣言が続く中、売上げ減少等の影響を受けた市内事業者の事業継続に向けた支援策を、本日、追加議案の補正予算案としてお示しをさせていただいたところであります。
 私は、これからもコロナ禍の状況を的確に捉え、事業者の皆様に寄り添った必要な支援策を速やかに実施し、地域経済の活性化に向けて、全力で取り組んでまいります。

(2)SDGs未来都市に向けての人材育成について
 個別実施事業において個別リーダーとなるような職員の人材育成に取り組むべきと考えるが、見解を伺いたい
企画部長 「自治体SDGsモデル事業」で掲げた先駆的なプロジェクトを実現するためには、リーダーとして活躍できる職員の育成が大変重要であります。
 各プロジェクトのリーダーが活躍するためには、庁内全体でSDGsの必要性や可能性、未来都市として目指す方向性を共有する必要があることから、職員研修を8月に実施し、オンラインを活用することにより、134名が参加したところであり、引き続き、全庁的な研修を進めてまいります。
 また、各プロジェクトを実践する過程が、リーダーとして活躍する職員を育成する貴重な機会と捉えております。
 一例を申し上げますと、モデル事業のシンボル的な取組であるサーキュラーエコノミーの仕組みの構築にあたり、プラットフォームとなる協議会を設立し、本プロジェクトに関わる事業者、団体、専門家等のネットワーク化を図り、利害関係を調整し、成果を上げる過程において、全庁一丸となって取り組み、支援することで、プロジェクトリーダーとなる職員を育成してまいりたいと考えております。
 今後も、職員が起点となり、SDGs未来都市へ向けた取組を分かりやすく伝え、活動の裾野を拡大できるよう、職員の人材育成に積極的に取り組んでまいります。

2 コロナ禍における教育への影響について
 (1)コロナ禍に対する本市での取組と課題点について
 緊急事態宣言やまん延防止措置の中、子どもたちを預かる学校教育現場では想像を絶するような対応に追われていたのではないかと考える。そこで、これまでの取組と浮かび上がってきた課題について伺いたい。また、現在までに中止となった学校行事等についても併せて伺いたい。
学校教育部長 令和2年度は、緊急事態宣言下の一斉臨時休校から始まり、学校再開後も感染対策のため、密の回避、消毒、手洗い、検温、換気や咳エチケットなど、徹底した衛生管理や健康管理を行い、教育活動を進めてきたところです。
 各教科の学習では、ペアやグループ活動を控えたり、給食では、全員が前を向いて黙食をしたり、全校での集会活動をリモートで行ったりするなど、各学校において細心の注意を払い対応を図ってまいりました。
 また、運動会や体育祭、市の音楽発表会や中学校総合体育大会、宿泊を伴う修学旅行を感染防止や授業時数確保のため中止といたしました。
 課題としましては、学習活動が制限される中、子ども同士が交流し合う時間を十分に確保できなかったり、学校行事や総合体育大会の中止による児童生徒への心理的な影響への配慮が必要となったりしたことがあげられます。
 そこで、感染状況がやや落ち着いた時期には、可能な範囲で子ども同士の交流活動を行うとともに、規模や開催方法を工夫しながら、日帰りの修学旅行や校外学習、総合体育大会の代替としての市原市夏季大会を実施いたしました。
 令和3年度は、学習活動や学校行事を、感染対策を徹底するとともに、内容や形態を工夫して実施するなど、児童生徒にとって、かけがえのない経験となる機会をコロナ禍においても確保しているところです。

(2)学習スケジュールの進捗状況について
 臨時休校要請や短縮授業等で学校での授業時間が失われている状況がある。全国的にみても、この遅れを取り戻すために大変苦慮している様子が伺える。本市の状況について伺いたい。
学校教育部長 令和2年度は、年度当初、全国一斉臨時休校期間がありましたが、本市においては夏季休業等の短縮や、学校行事の見直しにより授業時数を補うとともに、指導計画の工夫により、各学年各教科で示されている学習内容については、しっかりと終えることができました。
 また、今年度も夏季休業までの学習内容について、各学校とも、指導計画に沿って進めてきたところです。
 しかしながら、再び学校生活が始まった現在、感染力の強いウイルスが広まるなど、予断を許さない状況となっております。
 そこで各学校では、児童生徒への徹底した感染防止対策に努めると共に、学びを止めない手立ての一つとして、タブレット端末による授業配信に、計画的に取り組んでいるところです。
 市原市教育委員会としましては、今後とも、各学校が、コロナ禍による様々な制限の中でも、子どもたちに寄り添った、学習活動が進められるよう、適切に支援してまいります。

(3)子どもたちの基礎学習について
 コロナ禍において子どもたちの基礎学習の向上について、どのような取組を行っているのか、また、習熟度について伺いたい。
学校教育部長 一斉休校期間分の授業時数の確保や指導計画の工夫により、学習内容を終えたことに加え、1人1台タブレット端末や電子黒板の活用により、授業の中で意見の交流の場を設けたり、家庭学習を中心に、個の進度に応じた電子学習ドリルに取り組ませたりすることなどにより、子どもたちの学習意欲の向上を図ってまいりました。
 それらの取組を通して、コロナ禍においても、子どもたちには、基礎的な学習内容の定着が図られたものと把握しております。
 一例として、令和3年3月に、小学3年生と5年生及び中学2年生を対象に実施した千葉県標準学力検査では、県平均に対する比率が、小学3年生と中学2年生では全ての教科において、小学5年生では国語以外の教科において、本市の前回の検査結果を上回ることができました。
 市原市教育委員会としましては、今後とも、感染症対策を講じながら、子どもたちの学びの保障に全力で取り組んでまいります。

(4)市原市GIGAスクールについて
 授業づくりを支援するGIGAスクールアドバイザーの配置や教職員に対する研修で、どのような成果があったのか伺いたい。また、タブレット学習において、習熟度に応じて自動構成された問題を解くことで学力向上できるだけでなく、主体的に学ぶ力を育むことを目的とした機能も用意されているようだがこの点に関しても見解を伺いたい。
学校教育部長 はじめに、GIGAスクールアドバイザーの配置と、教員の研修の成果についてお答えいたします。
 GIGAスクールアドバイザーは、役割をコーディネータとイノベータの2つに分けて活動しています。
 GIGAスクールコーディネータは、各教科の指導主事と各学校の授業研究に同行し、個別授業への指導・支援を行うことで、ICT機器を利用した授業力の向上につなげています。
 今年度は、各学校の実践事例や研修内容を「市原市GIGAスクールWEBマガジン」にまとめ、既に18号まで全教職員に配信し、日々の教育実践に役立てております。
 GIGAスクールイノベータは、バーチャル社会科見学や、オンライン授業用のコンテンツを作成するためのアドバイスを行うなど、新たな授業づくりを進めております。
 今年度は、中学校技術科におけるプログラミング教材の、教員向け研修を行っており、10月から学校現場で授業展開されることになっております。
 また、教職員のICT機器の活用に関する研修については、感染状況に応じて対面やオンラインで行い、実践に向けた研修を行ってまいりました。
 電子黒板やタブレット端末の基本的な操作からスタートし、GIGAスクールアドバイザーの支援を受けながら、電子黒板とタブレット端末を連携させ、協働的な学びを実現する授業実践を重ね、その実践例等を情報提供する中で成果を積み上げてきているところです。
 次に、児童生徒のタブレット学習についてお答えいたします。
 習熟度に応じた自動構成された問題については、議員ご指摘のとおり、AI対応にバージョンアップしたラインズeライブラリアドバンスの活用により、学校でも自宅でも、習熟度に応じて配信される問題を解くことで学力の向上に役立てております。
 授業ではタブレットと電子黒板を連携させ、タブレット上の児童生徒の複数の考えを、電子黒板に投影し活用することで、自分の考えを発表したり、友達と意見交換したりするなど主体的に学ぶ力を育んでおります。
 教育委員会といたしましては今後とも、市原市GIGAスクールにおける取組をさらに充実させ、子どもたちが「わくわく」する魅力ある授業づくりを進めてまいります。

(5)子どもたちのメンタルケアと保護者との情報共有について
 コロナ禍で子どもたちにとっては、決して好ましい状況ではない生活様式を強いられている。加えて、楽しみにしていた学校行事の中止や部活動にも制限がかけられている。市内の小中学生において、保健室の利用状況や日頃の学校生活で何らかの異変を感じた事例等があれば伺いたい。
学校教育部長 コロナ禍における、保健室の利用状況に大きな変化があった等の報告は受けておりませんが、各学校では、教育活動全般において、児童生徒の生活の様子をきめ細かく観察し、学級担任を中心に日常的な声かけを行うとともに、定期的なアンケートや教育相談週間を設け、子どもたちが自らの悩み事や困りごとを、直接相談できる機会を作っております。
 その中で、学校行事や大会等が中止となり、「どうしてできないの」「今まで練習を頑張ってきていたのに」等の多くの声が聞こえ、残念な思いを抱えながら、学校生活の中で目標を見失い、意欲の低下につながるなど、児童生徒のメンタル面への影響があったものと捉えております。
 そこで、各学校では代替行事として、競技種目や実施時間等を工夫した運動会や体育祭を行ったり、文化祭を行ったりするなど、感染対策に十分留意しながら、学校生活の充実を図り、児童生徒の心のケアに努めているところです。
直接相談が無くても、タブレットを活用して、保護者へのアンケートや聞き取りを行うことで、児童生徒に対するきめ細やかな対応が図れると考えるが、見解を伺いたい。
学校教育部長 議員ご指摘の通り、子どもたちは平気な態度に見えても、様々な影響があるものと考えられますので、各学校では、学級担任を中心にスクールカウンセラーや心のサポーター、スクールカウンセラーアシスタント等と連携し、子どもたちが自ら悩み事や困りごとを、直接相談できる機会を作っております。
 さらに、タブレット上に相談窓口へのリンク先を用意し、子どもたちが気軽に相談できる体制を整えております。
 また、学校生活で心配のある児童生徒について、積極的に家庭への電話連絡や家庭訪問を行い、保護者とのきめ細かな情報共有を行うことにより、丁寧な対応につなげております。
 ご提案のありました、タブレットを活用した保護者へのアンケートや聞き取りにつきましても、子どもたちの状況を把握する有効な手立てと考えられますので、個人情報の取扱い等の課題を整理する中で、対応を図ってまいります。

3 新型コロナウイルスワクチンの接種状況について
 (1)現在の接種実績と副反応について
 現在までの接種実績と副反応報告について伺いたい。また、8月26日に厚生労働省から、モデルナ社製ワクチンから異物混入が見つかったと発表があったが、同じロットからの接種が市原市民に該当するか否か、併せて伺う。
保健福祉部長 はじめに、接種実績につきましては、9月6日現在で、1回接種済の方は145,749人、率にして53.2%、2回接種済の方は122,084人、率にして44.6%となっており、このうち65歳以上の方で1回接種済の方は73,984人、率にして91.4%、2回接種済の方は72,551人、率にして89.7%となっております。
 接種場所につきましては、現在、個別医療機関が85か所、集団接種会場は、「市民会館」、「ユニモちはら台」、「なのはな館」の3か所が稼働しておりますが、国からのワクチン供給の見通しが立ったことから、9月11日土曜日から「保健センター」、9月18日土曜日から「youホール」、10月7日木曜日から「ゼットエー武道場」の3か所を追加してまいります。
 これにより接種を加速させ、11月中旬までに、希望する市民への接種完了を目指してまいります。
 次に、副反応につきましては、千葉県から情報提供のあった「副反応疑い報告書」によりますと、市外で接種した方を含め、9月6日現在で13件となっております。
 その症状の程度は、「重い」と区分されたものが4件、「重くない」が9件となっており、現在、健康被害の相談や、予防接種健康被害救済制度の申請に至った事案は無い状況となっております。
 引き続き、ワクチン接種の推進にあたりましては、副反応について、接種を受ける方へ丁寧に情報提供をしてまいります。
 次に、モデルナ社製ワクチンの異物混入の件についてお答えいたします。
 本市では、7月以降、住友化学社員倶楽部に設置した集団接種会場におきまして、モデルナ社製ワクチンを使用して、約19,000回の接種を行いましたが、厚生労働省から通知されたロット番号に該当するワクチンは使用しておりませんでした。
 今後も、厚生労働省からの通知に基づき、ワクチン接種前に、異物の混入について十分に確認してまいります。

 (2)若者・妊婦・授乳婦へのインフォームドコンセントについて
 10代の若者にとって新型コロナウイルス感染症は、自ら持つ免疫で治る風邪のような病気であり、高齢者の大多数がワクチン接種して重症化しなくなった現状において、副反応と死亡者が報告されている治験中のワクチン接種は何のメリットもない。このような点をしっかりと情報周知していただきたいが。見解を伺う。
保健福祉部長 議員ご案内のとおり、9月1日時点で、10代の方の死亡や重症化の事例は確認されてはおりませんが、入院治療等を要する10代の方は、7,636人とご報告がされております。
 公益社団法人日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」によりますと、12歳以上の健康な子どものワクチン接種について、受ける意義はあるとの見解が示されております。
 また、接種にあたっては、メリットとデメリットを、本人と養育者が十分に理解していることが大切であるとしております。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症に対する高い予防効果が期待できることや、自分自身が免疫を持つことが周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることにより、流行を抑えることが出来るといったメリットがある一方で、腕の痛みや倦怠感、発熱などの副反応や、まれに、接種直後に重度のアレルギー反応が起こることなどのデメリットがあげられております。
 このことから、市では、対象者本人や養育者が、感染拡大予防等のメリットと副反応等のデメリットを理解し、接種の判断をしていただくことができるよう情報提供に努めており、広報紙、市ホームページのほか、接種の対象となる方に送付した接種券の同封資料などでお知らせをしております。
 今後とも接種を希望する全ての方が、十分に納得して接種を受けられるよう取り組んでまいります。
 遺伝子ワクチンは、胎児や乳幼児に対する安全性を担保していない。この点を是非、対象者にはもちろん、多くの市民に周知していただき、接種についての適切な判断ができる環境を作っていただきたいが、見解を伺いたい。
保健福祉部長 厚生労働省は、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種できるとし、日本で承認されている新型コロナワクチンが、妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はなく、予防接種法に基づく接種勧奨の対象としております。
 本市におきましては、厚生労働省からの通知や市原市医師会からの要請を受け、9月に入り一部の産婦人科医療機関等において、重症化や早産のリスクが高いとされる妊婦に対する優先接種を開始しており、9月11日からは保健センターにおいて集団接種を開始してまいります。
 また、9月18日以降、接種対象年齢を12歳以上に拡大することから、多くの妊婦、授乳婦の方の接種が可能となります。
 新型コロナワクチン接種は、予防接種法に基づき行われますことから、妊婦、授乳婦に限らず、対象となる全ての方が、その有効性や副反応などに係るリスクを十分理解していただいたうえで、個人の意思により、接種いただくものとなっております。
 したがいまして、今後とも、接種を希望する方の意思を尊重するとともに、特に妊婦等への接種にあたりましては、予診や問診を通じて丁寧な説明に努めるなど、十分に配慮して対応してまいります。