令和3年第4回定例会で伊藤浩士議員が代表質問

ito2021121

1 新型コロナウイルス感染症対策について
 (1) コロナ禍を踏まえた令和4年度の予算編成について
世界各国における最新の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえると、

まだまだ先行きは不透明な状況となっている。
このようなコロナ禍を踏まえ、市長は、どのような思いをもって令和4年度の予算編成に取り組まれているのか、伺いたい。
小出市長 現在、新型コロナウイルスの感染状況は、全国的に落ち着きを見せており、3度目の緊急事態宣言の解除に伴い、段階的に各種制限も緩和され、市民の皆さんの日常生活が戻りつつあります。
 しかしながら、新たな変異株の出現など、再度の感染拡大の防止対策には、危機感をもって取り組まなければなりません。
 さらに、長期にわたる感染症の拡大は、「経済  活動や生活様式の変化」、「人と人との関係、つながりの希薄化」といった影響を及ぼすなど、コロナ禍で顕在化した新たな課題への対応も急務であります。
 そこで、私は、令和4年度予算編成の「重点的  取組事項」として、その第1に、「安心・安全な   まちの実現及び市民満足度の追求」を掲げました。
 市民の命を守ることを最優先に考え、新型コロナウイルス感染拡大の防止、地域経済における活力の再生、孤独・孤立状態にある市民への支援強化  などに、重層的かつ強力に取り組んでまいります。
 他方、総合計画に掲げた都市像実現に向けては、コロナ対応をはじめとした緊急的な対策に加え、 本市の持続的な発展に向け、中長期的な視点で、 将来を見据えた施策にも着実に取り組んでいか なければなりません。
 そこで、「人口27万人の堅持に向けたバック キャスティングによる施策の展開」を重点的取組 事項の2点目に掲げ、若者・女性、子育て世代に  選ばれるまちの実現、未来につなぐ魅力あるまちの創造、「SDGsのシンボルとなるまち」の実現  などにも、積極果敢に挑戦してまいります。
 このように、感染症拡大防止はもちろん、目標 人口堅持といった課題に、真正面から向き合い、 住んで良かった、住み続けたい、そして住んでみたいと思われる、魅力あるまちづくりを推し進めて  まいります。
 私は、このまちの未来に責任を持つ市長として、過去に経験のないコロナ禍の厳しい状況にあっても、目指す都市像を必ずや実現するという強い決意と揺るぎない覚悟を持って、令和4年度予算編成に全力で取り組んでまいります。

(2)今後の感染症防止対策について
様々な追加接種の情報について、市はどのように市民へお知らせしていくのか伺いたい。また、交互接種について、市の対応を伺いたい。
保健福祉部長 追加接種を円滑に行うためには、国からのワクチンの供給状況や新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、接種券の発送時期、予約方法や接種日などを臨機に決定していく必要があり、追加接種に関する市民への丁寧な情報の周知が重要であると認識しております。
 このことから、追加接種に関する情報は、市ホームページやSNSを活用し、タイムリーに情報をお伝えするほか、対象者にお送りする接種券に、接種が可能となる日付を記載するなど、必要な情報を的確にご案内してまいります。
 加えて、今後、広報いちはらでの定期的な情報提供に加え、必要な情報をお知らせできるよう広報いちはら臨時号の発行も計画しております。
 次に、交互接種について、お答えいたします。
 追加接種で使用するワクチンにつきましては、国から、1回目・2回目の接種に用いたワクチンの種類にかかわらず、ファイザー社又は武田/モデルナ社のmRNAワクチンを用いる見込みが示されております。
 また、3月までは、両ワクチンがほぼ同量の配分量となることを前提に、接種体制を整えるよう国から指示されているところでありますことから、現在、接種体制の構築に向け、準備を進めております。
 今後も、交互接種やワクチンの供給状況など、国からの関係情報を迅速かつ正確に把握し、円滑なワクチン接種に努めてまいります。
抗原検査キットへの支援を行うこととしたねらいについて、伺いたい。
保健福祉部部長 本市では、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として、本年4月から高齢者施設入居者等へのワクチン接種を開始しましたが、早い方で、2回目の接種から既に6か月以上が経過しております。
 ワクチン接種により、高い発症予防効果や重症化予防効果が期待できる一方、時間の経過に伴い、効果が徐々に低下していくことが示唆されており、ワクチン接種を完了した方が感染する、いわゆるブレークスルー感染の事例が報告されております。
 このような中、国から陽性者の早期発見を目的に、本年7月以降に高齢者施設に配布された抗原検査キットの多くが、本年11月末に有効期限を迎えており、国から追加配布予定が無いことを確認しております。
 本市では、来年1月中旬に高齢者施設入居者等へのワクチンの追加接種を開始する予定でありますが、重症化リスクの高い高齢者が多数入居する施設においては、ワクチンを追加接種するまでの間において、早期に陽性者を発見することでクラスター等を予防することが課題となっております。
 現状、国は、職場で体調が少しでも悪い方がいる場合には、気軽に抗原検査等を実施するよう促しており、PCR検査と比較し、簡便かつ早期に検査結果を得られる抗原検査キットを、事業者において入手できることとしております。
 市といたしましては、ワクチンの追加接種が本格化するまでの当分の間の臨時的措置として、抗原検査キットの高齢者施設での備蓄を支援することで、施設内でのクラスターの発生を早期に防ぐねらいをもって、本事業に取り組むものであります。

(3)経済対策について
 年末年始に向けて、安心して飲食店を利用するためにも、県の認証店と確認店の制度とともに、本市の支援策は非常に重要なものと考えるが、本市の制度の利用実績及び利用店舗から、どのような声が寄せられているのか伺いたい。
経済部長 本市の飲食店への支援制度のうち、新型コロナウイルス感染防止対策支援事業につきましては、飛沫防止の間仕切りの設置など、感染防止のための設備投資に要した費用の一部を交付する制度であり、実績といたしましては、令和2年7月の制度開始から本年11月末日までに、471の事業者の皆様にご利用いただいております。
 また、新型コロナウイルス対策実施店支援事業につきましては、安心して店舗を利用できる環境づくりの推進及び感染防止対策店舗の増加を目的として、アルコール消毒液や対策店舗ステッカー、感染拡大防止チェックシートを配付するものであり、実績としましては、11月末日現在で、633店舗に登録いただいております。
 次に、本市の支援制度をご活用いただいた飲食店等からの声といたしましては、「交付金のおかげで空気清浄機を購入することができて、お客様に安心して利用していただいている」、「従業員が頻繁に出入りする業務の中で、毎回体温計で測って入室していたが、サーモグラフィを設置したことでスムーズに入室でき、作業効率が上がった」、「消毒液は一日に何度も使用するものなので、非常に助かる」など、こうした声が寄せられているところございます。
 今後も、飲食店のニーズを捉えた支援を実施することにより、市民の皆様が安心・安全にご利用できるよう取り組んでまいります。

2 子ども・若者の貧困対策について
(1)現状と課題について
(仮称)市原市子ども・若者の貧困対策推進計画の策定を進める中で、市原市の子ども・若者の現状と課題についてどのように捉えているか、伺いたい。
企画部長 本市の現状把握と課題抽出を行うため、学校、福祉関係団体、子ども・若者に関わりのある団体等を対象に、これまで22回、73名からヒアリングを実施いたしました。
 これらのヒアリングでの事例としまして、各家庭の経済面や生活面など複雑な問題に対して、制度を知らない、制度を活用出来ないなど、家族だけでは解決することが困難な現状がありました。
 これに対し、それぞれの家庭の状況に応じ、子どもも含めて家族まるごと支援対象として、様々な制度を組み合わせて、伴走型で支援する必要があると捉えております。
 また、子どもの宿題を見てくれる人が居ない、勉強をする場所が無い、朝決まった時間に起きるなど基本的な生活習慣が身についていない、仕事が決まっても短期間で辞めてしまって仕事が続けられないといった現状がありました。
 これに対して、学習支援や、社会性や自制心が養われる機会の提供など、学習・自立を支援する必要があると捉えております。
 さらに、ある制度の担当機関に相談に行ったところ、別の機関の制度を紹介されたが、結局は元の制度の支援を受けることになった事例がありました。
 これに対し、関係機関同士で事前調整をするなど、単にバトンタッチして終わりではなく、当事者を真ん中に、のりしろのように重層的な支援を進め、当事者の問題に寄り添った対応が必要であると捉えております。
 以上の事例のような課題を踏まえたうえで、「(仮称)市原市子ども・若者の貧困対策推進計画」の骨子案では、施策体系を「生活・健康」、「学習・自立」、「社会」の3つの柱といたしました。
 今後は、教育委員会と連携し、タブレット活用により実施している小学5年生・中学2年生全員と、その保護者へのアンケート結果も踏まえ、これらの施策を推進する具体的な取組を検討してまいります。

(2)学校における現状と課題について
教育委員会として把握している学校における現状と課題について伺いたい。
学校教育部長 現在、本市の小中学校においては、児童生徒の様子をきめ細かく観察し、日常的な声かけや定期的なアンケートの実施、学級担任及びスクールカウンセラー等による教育相談を行うなど、児童生徒の不安や心の変化等にいち早く気づくよう取り組んでおります。
 それらの気づきの中には、貧困等が要因と思われる事例も見られることから、こうした児童生徒を早期に発見し、必要な支援へとつなぐことが求められます。
 その解決に向けては、家庭を含めて包括的に支援していくことが必要となりますが、事例によっては、個人的な事情への関わりなど、慎重な対応が求められ、学校職員だけでは対応に苦慮する状況があり、課題と捉えております。
 そのような場合には、福祉の専門家として千葉県から配置されているスクールソーシャルワーカーを教育委員会が派遣し、児童生徒や家庭に直接関わり、関係機関につないだり、学校職員に助言等を行ったりしております。
 国の「子供の貧困対策に関する大綱」においても、教育の支援として、スクールソーシャルワーカーが機能する体制づくりを進め、苦しい状況にある児童生徒を早期に把握し、支援につなげる体制を強化すると示されております。
 教育委員会といたしましては、貧困等に起因する児童生徒の異変に気づいた学校が、迅速かつ横断的な連携により、必要な支援につなげることができる体制の強化を図ってまいります。

(3)今後の対策について
今後、市原市の現状と課題を踏まえて具体的な対策を行っていくにあたり、どのように事業化を進めていくのか、考え方を伺いたい。
部長 本計画は、市原市の子ども・若者の貧困対策について、今後の5年間で取り組むべき施策の方向性に基づき、具体的な取組を素案の中でお示ししてまいりたいと考えております。
 既に実施している事業、来年度から拡充、新たに実施する事業につきましては、「実行計画令和4年度版」に位置付け、事業を推進してまいります。
 また、関係機関との調整など、実施に向けて時間を要する取組については、関係機関と対話を重ね、2026年度までの計画期間の中で事業化を進めてまいります。
 本計画策定後は、毎年度の実行計画策定過程において、実効性を確認し、スピード感をもって事業化を図ってまいりたいと考えております。

3 庁舎強靭化対策事業について
庁舎等整備基本計画において、「人口減少」への対応について、どのように想定し、どのような方向性を見出しているのか、見解を伺いたい。
企画部長 本市では「市原市人口ビジョン」を平成27年度に公表しており、そこで予測された厳しい推計を見据え、総合計画を策定して人口減少に歯止めをかけるべく、各種施策を展開しております。
 そのような中、庁舎等整備基本計画の検討に当たっては、人口減少が進む長期的な将来には、行政需要の変化に伴って、庁舎機能として必要となる面積が減少することも視野に入れているところです。
 その上で、新たな庁舎が落成する比較的近い将来における行政需要は、さほど現状と変わりがないものと想定しております。
 庁舎は、整備しますと、議員ご指摘のとおり、数十年の長い期間にわたり、使い続けていくことになりますので、供用開始直後の比較的近い将来ないし数十年先の期間に対応することとなります。
 このため、庁舎の機能、規模、配置のそれぞれの検討に当たり、まずは現状に対応できるよう整備するとともに、将来的には、他の用途に転用したり、他の用途と共用したりすることが可能となる「可変性」を高めた施設となるよう、整備することとしております。
大規模地震が発生した場合、第2庁舎の機能をどのように確保するのか、見解を伺いたい。
企画部長 大規模災害が発生した場合、市は、応急活動及び復旧・復興活動の重要な役割を担うとともに、継続して行わなければならない通常業務の執行など行政機能を確保し、災害がもたらす市民生活に及ぼす影響を最小限にしなければなりません。
 このため、市では、行政自らも被災し、危機的状況に置かれた場合であっても、他の業務に優先して継続又は、早期に再開する必要のある緊急性の高い業務、所謂、非常時優先業務が適切に執行できるよう、「市原市業務継続計画」を策定しております。
 この計画では、庁舎が被災して使用できなくなった場合、近隣の公共施設の中から庁舎の代替施設を選定し、使用するものとしております。
 現在、災害発生直後の混乱した中であっても、第2庁舎の被災規模に応じて代替庁舎の選定が円滑にできるよう、代替庁舎の候補となる公共施設及びその面積等を整理したリストの作成など、業務継続体制の強化に取り組んでいるところです。
 なお、現在、第2庁舎及び代替となる公共施設が機能不全に陥った際の重層的な対策として、民間事業者と連携した執務環境の構築を図っているところでございます。
 今後も、庁舎機能の確保に万全を期し、業務継続体制の実効性を高めることで、市民の安心安全に繋げてまいります。
庁舎整備については、市民に広く周知すべきと思うが、今後どのように整備を進めていくのか伺いたい。
企画部長 庁舎整備につきましては、多額の事業費を必要とするだけでなく、整備後は通常70年間の使用を想定する重要な施設となります。
 このことから、検討にあたっては、広報いちはらや市のウェブサイトでの周知をはじめ、市民アンケートや市民参加のワークショップを実施し、広く市民のご意見をいただけるよう、努めてきたところであり、現在、パブリックコメントを実施しているところでございます。
 今後でございますが、パブリックコメントで頂きました意見等を踏まえ、庁舎等整備基本計画をとりまとめ、その後、基本設計、実施設計を経て、建設段階へ進む工程となります。
 この先も、状況等について広く市民への周知を行い、ご理解いただくとともに様々なご意見を頂きながら取り組んでまいります。

4 投票率向上に向けた取組について
市内小中学校において、主権者教育をどのように取り組んでいるのか伺いたい。
学校教育部長 選挙権年齢の満18歳以上への引き下げに続き、令和4年度には、民法に規定する成年年齢が満18歳へと引き下げられます。
 このような背景から、小・中学生においても、主権者教育の充実がさらに求められるところです。
 学習指導要領では、「主権者として求められる力」が、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力とされ、小・中学校社会科で取り扱う学習内容の充実が図られています。
 これにより、小学校社会科では、市町村による公共施設の整備や租税の役割について、中学校社会科歴史的分野で民主政治の成り立ち、公民的分野で公正な世論の形成や選挙など国民の政治参加との関連について多面的・多角的に考察、構想、表現できるよう扱うこととされ、この点を踏まえた授業が進められています。
 また、投票行動などを含めた社会に参画する力を形成するために、社会科の学習で制度を学ぶだけでなく、「国会議事堂等の見学」「生徒会選挙を通した模擬投票などの選挙体験」「新聞を活用したマニフェストの比較」などの体験的な学習にも取り組んでいます。
 教育委員会といたしましては、今後も、社会に関心を持ち、主体的且つ積極的に社会参画を図ろうとする資質・能力の育成を目指した主権者教育を、学校教育全体において進められるよう支援してまいります。
期日前投票制度は投票率の向上に役立っていると思われるが、期日前投票所の今後の在り方について、見解を伺いたい。
学校教育部長 全国的に投票率が低下傾向にある中、平成15年に、広く選挙人が投票しやすいようにと期日前投票制度が国において創設をされました。
 このことを受けまして、市では、これまで市内の地域バランスを考慮し、市役所本庁等の公共施設に7か所、市内の大型商業施設の一つであるアリオ市原に1か所の計8か所の期日前投票所を設置しております。
 議員からもお話がございました通り、先日実施いたしました衆議院議員総選挙におきましては、本市の投票者の3分の1の方が、期日前投票の制度を使って投票されました。
 中でも、アリオ市原におきましては、1日当たりの平均投票者数が1,500人以上と、期日前投票所8施設の中でも一番の利用状況でした。
 これは、アリオ市原の期日前投票所が、買い物や食事、映画等に行くついでに投票を済ませることができたり、広い駐車場が完備されているなど、生活動線に沿った投票しやすい環境が整っていたためではないかと考えております。
 このことから、大型商業施設への期日前投票所の設置は、投票環境の向上に大きく役立つものと考えますことから、アリオ市原での期日前投票所の課題等を検証したなかで、市内の他の大型商業施設等にも期日前投票所が設置できないか、検討を進めてまいります。