令和元年第4回定例会で伊藤浩士議員が個別質問

201912ito01

1.災害への対策・対応について
 (1)発災時の情報の発信と収集について
 今回の一連の災害において、災害対策本部として情報の発信と収集に対してどのような業務管理体制で臨み、

指揮監督に当たったのか。また、その際に情報発信と収集について抽出された今後の課題について、伺いたい。

■総務部長 災害対策本部では、気象情報や被災情報の収集・分析を行う「情報グループ」と避難勧告等の判断や市民への情報伝達を行う「総括グループ」により情報の発信と収集の体制を構築しております。
 具体的には、「情報グループ」が気象庁とまた、ウェザーニュースからの気象情報や、県土砂災害警戒情報システムから土砂災害警戒情報などを収集した後に、「総括グループ」が避難勧告等発令の必要性やタイミングを判断し、その情報について、防災行政無線を担当する無線班や広報を担当する企画班が発信する体制となっております。
 発災後は、「情報グループ」に寄せられました、市民や消防局などの関係機関からの情報を、災害情報システムにより被害情報等として集約し、庁内で情報共有を図るとともに、各担当部で対応いたします。
 被害の状況や被災された方の要望などから、担当部だけでは対応できない、また、複数の部での対応が必要な場合には、災害対策本部で対応方針を決定し、対応を図ることとなります。
 次に、情報の発信・収集に関しての最も大きな課題は、長期にわたる大規模停電により、防災行政無線や携帯電話が使えなくなり、情報伝達が困難な状況となったことです。
 今後は、これらの課題対応についての検証を行ない、広報車による情報伝達の拡充や、現地連絡本部である支所を拠点とした、町会長との連絡体制の構築など、必要な対策を講じてまいります。

 
 今回の一連の災害では、消防への119番通報が多く寄せられ、通報が一時的に不通になる状況も発生していたと聞いています。そこで、今回、ちば消防共同指令センターと市原市消防局にはどのような情報が寄せられていたのか。そして、ちば消防共同指令センターは機能的な運用がなされていたのか、当局の見解を伺います。

■消防局長 今回の台風15号を始めとする一連の災害通報といたしましては、人命に関わる通報とそれ以外の通報が多数ありました。
 「家の下敷き」「土砂崩れ」など人命に関わる通報につきましては、迅速に出動指令をかけ、災害対応を図り、それ以外の通報につきましては、「ガラスの破損」「倒木」「道路冠水」などであり、消防局や各消防署にも同様の通報が入りました。
 また、台風15号の際、ちば消防共同指令センターにおきましては、回線数を上回る119番通報が寄せられたことから、災害計画に基づき、非常招集など指令管制員を増員させ対応を図ったと聞いております。なお、入電が集中されることが予想される場合には、機能的な運用と円滑な指令業務を維持するために、人命に関わらない軽微な通報につきましては、各消防本部の申し出により、個別に対応することができます。
 本市におきましては、消防局の判断により、人命に関わらない通報について、消防指令システムを活用し、消防局警防本部で情報を集約するとともに、緊急度を精査のうえ、増隊された消防隊や消防団を出動させ、対応を図ったところでございます。
 市民の安心安全を確保するためにも、今後、危惧されます大型台風や直下型地震などの自然災害を見据え、ちば消防共同指令センターの機能強化を、更に働きかけるとともに、適正な119番通報について、あらゆる機会を捉え、市民に啓発してまいります。

 次に来年度より障害者を対象とした緊急通報システムネット119がスタートする予定と伺っております。このシステムについて、どのようなメリットがあるのかお聞かせください。
 
■消防局長 ネット119緊急通報システムは、聴覚や言語機能等に障害がある方を対象に、あらかじめ個人情報を登録していただきますと、緊急時に、スマートフォンなどから、専用サイトにアクセスすることで、火災・火事や救急などの災害種別を選択し、通報できるシステムとなっております。
 従来のFAX119やメール119では、状況を把握するために、時間を要しておりましたが、本システムでは、メッセージを受信するだけで対応でき、不足する情報があれば、チャット形式ですぐに確認し、より早い状況把握が可能となります。
 また、本システムでは、通信エリア内であれば、どこからでも通報が可能となり、さらに、発生場所の特定につきましては、GPS機能を活用した位置情報取得に加え、近くの目印になるビルなどの画像を送信する機能も活用でき、詳細な位置情報の特定につながります。
 このことから、本システムは、事故の状況や発生場所の特定において、より迅速で的確な対応が可能になるものであり、従来の方法に加え、本システムが導入されることで、利用者の利便性が格段に向上するものと認識しております。
 (2)発災時の救急医療体制について
 地域防災計画の修正により、救護所の設置場所は地域災害拠点病院及び災害医療協力病院に変更されたが、変更によりどのような成果を期待されるのか伺いたい。
 また、発災から超急性期、急性期の救急医療を支えるためにとるべき対策について、どのような対応を考えているのか見解を伺いたい。

■保健福祉部長 初めに、災害時の救護所設置についてでございますが、平成30年10月に地域防災計画が修正される以前は、市内10か所の支所・公民館を指定しており、発災時に、医師会開業医等は現地に参集して、救護所を開設する計画としておりました。
 しかしながら、従前より、実際に開業医が、自らの診療所を休診にして参集できるのか、また、設備、薬剤、その他医療資機材が乏しい公共施設において、有効な応急救護が可能かなどのご意見がございましたことから、地域防災計画における救護所の設置場所について、修正を行いました。
 修正の結果、応急救護の実効性を確保するため、救護所については、重傷者の受入等を担う「地域災害拠点病院」、及び重傷・中等症者の受入れ等を担う「災害医療協力病院」の待合室または駐車場等を基本とし、災害の状況に応じて設置することに変更いたしました。
 この変更により、医療資源の確保や後方医療機関への搬送等を円滑に行うことが可能になると考えております。
 市といたしましては、災害時に医療救護所の候補施設となる、地域災害拠点病院及び災害医療協力病院と、平常時から意見交換を通じて、関係の構築を図り、救護所における医療救護活動の推進に努めてまいります。
 次に、発災から超急性期、急性期の救急医療を支えるためにとるべき対策についてでございますが、本市の救急医療につきましては、地域災害拠点病院に指定されている、帝京大学ちば総合医療センター、千葉県循環器病センター及び千葉労災病院の3病院と、災害医療協力病院が主に担います。
 市では、災害時、救護本部を設置し、医療救護の総合調整を行いますが、医療チームの不足等、災害医療システムに問題が生じる恐れがある場合、千葉県災害医療救護計画に基づき、県災害医療本部に対してDMAT、医療ボランティア等応援医療チームの派遣を要請いたします。
 また、地域災害拠点病院及び災害医療協力病院と調整を図り、重傷者等の受入先を確保いたしますが、確保が困難な場合は、県災害医療本部に対し、市外の病院等広域的な受入の確保を、要請いたします。
 災害時には、超急性期、急性期をはじめとして、医療に対する需要は急激に高まりますが、必要な医療サービスが提供されるよう、医療関係者や県と連携を密に取ることで、本市の救急医療を支えてまいります。

 災害時の避難所における健康問題を予防するため早期に状況やニーズを把握し、対策・対応を計画・実行することが必要であると思うが、市の見解を伺いたい。

■保健福祉部長 発災時、避難所での長期に渡る避難生活を余儀なくされた場合、日常と異なる環境のため、健康を害する方が出ることが懸念されますことから、その対策・対応が必要であると考えます。
 地域防災計画におきましては、各避難所の避難所運営委員会や避難支援等関係者等の協力を得て、配慮を要する方々の健康状態等の把握に努めるとしております。
 これに基づき、保健師等の資格を有する職員は、市原健康福祉センター等と連携を図りながら、健康相談、栄養指導、歯科保健活動、こころのケア活動等を実施いたします。
 9月に発生した台風15号の際には、暑さから体調を崩す恐れがあったことから、保健師等が2人1組の4班編成で、避難所を巡回し、健康状態の確認等を行いました。
 幸い大きな健康被害はありませんでしたが、健康相談により、体に異変等が見られた場合、直ちに医療機関に繋ぐことで、健康被害が最小限になるよう努めており、
 また、感染症の予防の観点から、避難所等における衛生指導についても行っております。
 このような総合的な保健活動を通じまして、避難所で避難生活を送る方が、健康を害しないよう取り組んでまいります。