平成30年第2回定例会で水野義之議員が代表質問

201901_mizuno6401 市長の政治姿勢について
⑴ シティプロモーション戦略について
定住人口27万人、交流人口500万人を目指すにあたっては、本市が持つ優位性や地域資源のプロモーションを

積極的に展開していくことが重要な取組であると認識しているところであるが、「市原市シティプロモーション戦略」をどのような想いで策定されたのか、市長の見解を伺いたい。

小出市長 人口減少社会において、市原市が活力を維持し、将来にわたって、魅力ある発展を遂げていくため、私は、総合計画において「人口27万人の維持」と「交流人口500万人」を目標に掲げました。
 これからの時代において、最も大切なものは「ひとの力」であり、そこに住み、あるいはそこに関りを持つ「ひと」の多彩な活躍が、困難な課題を乗り越え、未来を切り開く大きな力となるものと考えております。
 そこで、ひとの活躍による、まちづくりを進めるために、私は市民との信頼関係を構築し、将来の本市の姿を共有しながら多くの人々の参画を得ることが必要と考え、対話を重ね市民の皆様の思いを詰め込んだ総合計画を策定し、魅力あふれるまちを目指し、様々な施策を積極的に展開してきたところであります。
 さらに、これらの施策の効果をより一層高めるためには、本市の魅力や優れた施策を市内外に発信するシティプロモーションが必要不可欠であることから、「シティプロモーションの強化」を自治体経営戦略の柱の一つに位置付け、庁内一丸となって市内外への積極的な情報発信に取り組んでいくため、「市原市シティプロモーション戦略」を策定いたしました。
 また、今年度の組織機構改革において、シティプロモーション推進課を新設し、プロモーション体制の強化を図ったところであります。
 私は、これまでの一方通行であった「伝える」情報発信から相手にきちんと「伝わる」情報発信へ進化したシティプロモーションによって、本市の魅力や施策が、市内外のあらゆる人々に「伝わる」ことにより、人々の興味と行動を呼び起こし、本市に熱い思いを抱く「いちはらファン」を獲得してまいります。
 そして、この「いちはらファン」自らが市原のために行動し、また様々な市原の魅力を発信することで、より多くの人々に伝わり、市民には、市原への誇りと愛着の醸成が図られ、市外の人には、本市に興味を持ち、あらゆる場面で本市を選んでいただくことに繋がるものと確信をしております。
 私は、このシティプロモーション戦略を積極的に展開し、誰もが住みたい、住み続けたいと思う、活力と魅力にあふれる市原の創生に全力で取り組んでまいります。

今回のシティプロモーション戦略では、基本戦略として「広報磨き上げ戦略」、「魅力発信・イメージアップ戦略」、「市職員スキルアップ戦略」が掲げられていますが、具体的に、3つの基本戦略がどのような関連性を持ちながら、各部門が連携を図り、いかに効果的にプロモーション展開していくのか、その取組フローと推進体制について、執行部の見解をお聞きします。
企画部長 本プロモーション戦略を実効性のあるものとするために、基本方針を「伝える」から「伝わる」情報発信とし、3つの基本戦略を柱として掲げ、人々の多彩な活躍につなげる具体的な取組を示しました。
 基本戦略の1つ目の「広報磨き上げ戦略」では、受け手のニーズを的確に把握し、広報紙や市ウェブサイト、動画配信、SNSなど様々な媒体を連動させ活用するとともに、その発信方法の磨き上げを図ることで、入手しやすさ、見やすさ、分かりやすさを向上させ、市の発信情報が必要な人に、正確、かつ、わかりやすく「伝わる」ことを目指します。
 2つ目の「魅力発信・イメージアップ戦略」では、本市の魅力や知名度の向上につながるよう、マーケティング調査を行うとともに、様々な媒体による効果的な発信や市民特派員の積極的な活用などを実施してまいります。
 また、市内外のイベントなどの機会を捉え、ノベルティグッズ、ラッピングカーやマスコットキャラクター等を活用しながら、プロモーション活動を展開していくとともに、他の自治体や企業、地域団体などとも連携することで、より効果的な情報発信を進めてまいります。
 3つ目の「市職員スキルアップ戦略」では、全ての職員が、常に「伝わる」情報発信の必要性を意識することが重要であることから、本戦略に基づく職員向けマニュアルの作成や、パブリシティ研修の実施など、市職員のプロモーション意識の向上を図る取組を行ってまいります。
 この3つの基本戦略に定める取組を推進するために、シティプロモーション推進課が庁内全般に積極的に関与して、全庁で情報を共有しつつ、様々な事業を組み合わせ、効果的に発信する体制を構築いたします。
 また、外部の有識者懇談会や広報戦略アドバイザーからの助言・提言を受けながら、市民団体や企業等とも連携を図り、より実効性の高いプロモーション活動を展開してまいります。

本戦略を全庁的に進めていくにあたり、情報発信による効果を的確に検証し、さらなる戦略強化にどのようにつなげていくのか、常に成長し続けるプロモーション戦略のあり方について、執行部の見解をお聞きします。
企画部長 本戦略の効果検証等については、市民意識調査による、「必要な情報を必要なだけ入手できていると思う人の割合」や「住んでいる地区に愛着や親しみを感じている人の割合」を指標としております。
 これらの指標で掲げた目標を達成するため、 様々なツールによる情報発信が、実際に伝えたい相手に的確に伝わっているかをアンケート調査などにより検証し、この結果を基に、発信する時期や方法についてPDCAサイクルを回しながら、さらなるプロモーション力の向上を図ってまいります。
 また、本プロモーション戦略では、時流に即し、優先的に情報発信していく事業を、重点プロジェクトとして位置付け、ターゲットを意識しながら積極的にプロモーション活動をしていくこととしております。
 今年度は、市内に重点を置いたものとして、総合計画や子育て・教育、地域活動団体の活動などの情報発信を、市外に重点を置いたものとして、世界に一番近いSATOYAMAや東京オリンピック・パラリンピック、移住・定住の促進などを想定しております。
 この重点プロジェクトは、タイミングを逃さず、スピード感を持って取り組むべき事業であり、短期間でその成果を達成できるよう、細まめに効果検証を行い、適宜修正を加えながら推進いたします。
 また、重点プロジェクト自体も、市民ニーズや実行計画の施策の方向性等を反映したものに、随時、見直しを図ってまいります。
 このように、PDCAサイクルに基づく進行管理を徹底し、プロモーション戦略の実効性を高め、継続的な戦略の強化を図ることで、情報を必要とする人々のニーズを的確に捉え、人々の行動に繋がる「伝わる」情報発信を行い、総合計画で掲げる「人口27万人の維持」と「交流人口500万人」の実現を目指してまいりたいと考えております。

(2)オリンピック・パラリンピック等の国際大会について
市長はこれまでの取組を通じて、どのような手ごたえを感じておられるのか、また、2020年に向け、さらには大会後を見据え、市民にどのような財産を残そうとしておられるのか、現時点での市長の思いをお聞かせください。
小出市長 私は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで連続する国際大会を、市原市をさらに飛躍させる絶好の機会と捉え、その好影響をまちづくりに活かすべく、自ら先頭に立ち、キャンプ誘致等の実現に向け、積極的に取り組んでまいりました。
 本年8月に開催される「世界女子ソフトボール選手権大会」においては、昨年に引き続き、ニュージーランド代表チームの事前合宿が決定し、現在、君津市との連携により、受け入れ準備を進めているところであります。
 2年連続して合宿を誘致できたことは、これまで着実に同国との信頼関係を築きあげてきた成果であり、ニュージーランドのホストタウンとして、2020年に向けた取組を加速化するにあたり、大きな推進力になるものと確かな手ごたえを感じております。
 また、世界三大スポーツイベントの一つである「2019年ラグビーワールドカップ」において、世界ランキング2位の強豪国であるアイルランド代表の公認チームキャンプ地に内定したことは、本市のスポーツ施設が世界的に優れている証でもあり、私は、本市のブランド力を大きく向上させるものと強く確信しております。
 私は、「組織は、戦略に従う」という信念に基づき、2020年を見据え、本年4月にスポーツ振興や国際交流を一体的に推進する「スポーツ国際交流部」を新たに設置いたしました。
 この新しい体制のもと、関係団体との強固な連携体制により、キャンプ誘致や国際交流を戦略的に推し進め、市民の本市への愛着や誇りの醸成、スポーツの振興と合宿誘致等による交流人口の増加、ボランティア文化の定着による市民力の強化、さらには、国際化や心のバリアフリーの実現など、未来を切り拓く力となるレガシーを創出し、総合計画の目指す「夢つなぎひときらめく未来創造都市いちはら」の実現につなげてまいります。

市では今年4月、オリンピック・パラリンピック等の国際大会やスポーツ振興、国際交流などを所管する組織として、スポーツ国際交流部を新設しました。今後、国際大会を通じたレガシー創出に向け、担当部として、具体的にどのような取り組みを進めていくのか、お聞かせください。
スポーツ国際交流部長 スポーツ国際交流部は、スポーツの普及促進を担うスポーツ振興課、国際交流を推進する人権・国際課、アート×ミックスにより本市の魅力発信を行う芸術祭推進課の3つの課から構成されております。
 2020年に向けた一連の国際大会において、これら3つの課が三位一体となり、さまざまな取り組みを推進することにより、市原ならではのレガシーの創出ができるものと考えております。
 現在は、今年8月に開催される世界女子ソフトボール選手権大会の成功に向けた取り組みを集中的に進めているところであり、このうち、ニュージーランド代表チームの事前キャンプ受け入れにあたりましては、市、市国際交流協会、市体育協会、市ソフトボール協会で構成する「キャンプ支援実行委員会」を設け、チームのおもてなしや練習の支援、大会の応援などについて、準備を進めております。
 また、大会を盛り上げるためには、多くの観客の皆様に試合会場を訪れていただくことが大変重要となりますので、市と市内の関係23団体で構成する「オリンピック・パラリンピック等推進会議」において、情報を共有し、支援体制の構築を進めております。
 これと並行して、市商工会議所との連携による、市内飲食店を対象とした「外国人おもてなしセミナー」や、市体育協会との連携による、スポーツボランティアを対象とした「語学ボランティア育成講座」などを開催し、レガシー創出につながる取り組みを一歩づつ進めているところであります。
 今後の取り組みでございますが、本市の「オリンピック・パラリンピック取組方針」では、創出すべきレガシーとして、「愛着や誇りの醸成」「スポーツ振興・健康増進」「魅力発信・ブランド力向上による交流人口の増加」など、7項目を掲げております。
 これらの各項目について、庁内各部局や関係団体とも連携しながら、2020年に向けた具体的な行動計画として集約し、確かなレガシーの創出につなげてまいりたいと考えております。

(3)公共資産の活用について
公共資産マネジメントと利活用を一体的に推進するとのことですが、公共資産活用の更なる推進について市長のお考えをお聞かせください。
小出市長 私は、公共資産マネジメントを、総合計画における自治体経営戦略の重要な柱の一つと位置づけ、施設の質と量の最適化や、資産活用の推進による新たな価値の創出など、様々な手段によって、持続可能な行財政経営の確立に向け取り組んでまいりました。
 中でも、公共施設再配置と公共資産活用の基本方針を、私が本部長となる「公共資産マネジメント推進本部会議」において、全庁体制で議論し、市議会や市民の皆様等のご意見をいただきながら、本年3月に策定をしたところであります。
 私は、公共資産マネジメントを一層効果的かつ戦略的に推進するためには、施設再配置と資産活用の2つの方針を基にした取組を、マネジメントを推進する車の両輪として連携させることが、大きな鍵であるとの考えから、これらを一体的に推進する「資産経営部」を創設し、組織体制の一層の強化を図ったところであります。
 これにより、本市の公共資産マネジメントは、新たなステージに一歩踏み出したものであり、今後、公共施設再配置や公共資産活用について、新体制の下、民間活力も積極的に取り入れながら、地域の活性化や本市の魅力向上に繋げるなど、その効果を最大限引き出すよう、スピード感をもって全力で取り組んでいく所存であります。

公共資産の活用については、さまざまなアプローチによる民間活力の導入事例が報告されていますが、資産経営部という新たな体制のもと、どのような視点から公共資産の活用に取り組んでいくのか、また、どのように民間活力を活かしていくのか、執行部の見解をお聞かせください。
資産経営部長 はじめに、公共資産活用の視点につきましては、公共資産は、市民の共通の財産であり、常に良好な状態で管理し、所有目的に応じて効率的かつ効果的に活用することが求められます。
 このため、当初の所有目的が薄れ、将来的にも利用する見込みがない公共資産については、売却や貸付けを一層推進し、地域の活性化や新たな財源の確保、維持管理費の適正化につなげるなど、資産経営の視点での取組みが重要と考えております。
 次に、公共資産の有効活用に向けた民間活力の導入につきましては、これまでは、各部局において所管する未利用資産の売却や貸付けなどに取り組んでまいりましたが、不動産活用という専門性の高い業務となることから、今年度から売却に関する業務を包括的に民間事業者へ委託し、スピード感をもって計画的に進めてまいりたいと考えております。
 具体的には、各部局から抽出した未利用資産について、民間事業者の持つ専門的なノウハウや市場情報力を活用して、「売却可能性調査」を実施するとともに、売却計画の策定や境界確定等の技術的な支援を受け、準備が整ったものから入札による売却を進めてまいります。
 また、未利用となっている大規模施設などについては、適宜サウンディング型市場調査などにより民間活力の可能性を模索し、その結果を踏まえ、利活用に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

(4)寄付文化の醸成について
財政部長 市長の所信表明の中で触れていた寄付文化醸成の具現化に向けた、今後の方針について、見解を伺いたい。
 寄附文化の醸成については、只今、議員からご指摘のありました、新たな財源確保の観点と、寄附という行為を通して、本市への愛着や共感を喚起するという観点から、実施に向けた検討を進めているところでございます。
 この具現化にあたりましては、個人を対象として広く市内外から寄附を募る、ガバメントクラウドファンディングと、企業が本社所在地以外の市町村に寄附を行う、企業版ふるさと納税の2つの寄附形態がございます。
 どちらの手法についても、単に寄附を募るということではなく、本市のまちづくりの理念や活動の趣旨に共感できる内容であること、寄附をするための仕組みが分かりやすいこと、寄附の使途を明確にして成果に結びつけることが、何よりも重要になると考えております。
 本市は、来年開催されるラグビーワールドカップではアイルランド代表の大会公認チームキャンプ地に内定しており、加えて、東京オリンピック・パラリンピックのニュージーランドのホストタウンでもあります。
 これらの歴史的な大会に、本市も積極的に参加し、新たな歴史を刻むためには、大会に向けた機運を盛り上げるとともに、環境整備を進める必要があります。
 来年のラグビーワールドカップでは、大会公認キャンプ地としての整備事業が必要になりますが、今後取り交わされる大会組織委員会との契約により、市と大会組織委員会との役割分担が明確になりますので、この事業構築の中で、歳入確保の一つの手段として寄附制度を活用してまいりたいと考えております。
 財政状況が厳しい中にあっても、速やかに必要な事業を展開できるように、庁内関係部署と連携しながら寄附文化の醸成に取り組んでまいります。
2 市民及び市民団体等との連携について
 市では、本年度の市民公益活動支援補助金の予算を増額し、市民活動団体の支援につながる「新たな補助制度」を創設すると聞いているが、どのような内容になるのか、市の考えを伺いたい。
 市民生活部長 人口減少や少子高齢化による人口構造の変化や個人の価値観の多様化などにより、市民ニーズやライフスタイルは多種多様なものとなっております。
 このような社会環境の中で、地域の人と人の結びつき、地域コミュニティの希薄化が進行している状況にありますが、一方で、本市には、地域における様々な課題解決に向け、意欲的に活躍している多くの市民活動団体があります。
 これらの市民活動は、自発的に、自主的に地域社会をより良くしたいとの思いが行動となっているものであり、市といたしましても市民活動団体との連携・協働の一層の強化が、今後の地域課題の解決や地域の活性化に不可欠なものと認識しております。
 現在、市では、市民活動団体の創設や組織基盤の強化につながる活動に対して経費の一部を補助しておりますが、より活発な市民活動を創出し、団体の活動領域や参画者の拡大を図るため、市民活動団体へのきめ細やかな補助制度となるよう見直しを進めているところであります。
 新たな補助制度の詳細につきましては、現在、検討を重ねているところでございますが、市民一人ひとりがまちづくりの主役となるよう「ひとの活躍」・「市民の活躍」を促し、多くの市民活動団体に活用していただける制度設計に取り組んでいるところでございます。
 また、現行の補助制度につきましても、活用回数の見直しのほか、団体間や市との連携強化を促進する支援の創設など、これまで以上に中長期的な視点に立ち、団体の自立に向けた支援の強化となるよう取り組んでいるところでございます。
 このような取り組みをとおして、市民活動団体が自主的に継続的な活動を行いやすくするよう環境を整え、総合計画に掲げた「ひとの活躍が新たな誇りを創るまち」の実現につなげてまいりたいと考えております。

3 職員の市民対応力について
市民応対のトラブルは、市民サービス向上の観点から、未然に防止する必要があります。また、トラブルが発生したとしても、いかに対応するかにより、その後の市民との信頼関係を回復することにつながります。市では職員の市民対応力について、どのような取組を行っているのかお聞かせください。
 総務部長 市民応対におけるトラブルの要因といたしましては、職員の知識不足、組織内の情報共有化不足、あるいは、職員の対話力の不足などが挙げられます。
 現在、市では、職員の知識向上や情報を共有化するための取組といたしまして、各職場において、上司や先輩職員が、部下や後輩職員に対しまして、業務に必要な知識、技能、能力、態度等を指導する、いわゆるOJTを、推進しております。
 次に、「対話力」の向上に向けた取組です。
 市民との対話をキーワードにいたしまして、組織の使命を確認するとともに、事務事業の目的・原点に立ち返り、改革・改善につなげることを目指して、7月下旬に「事務事業の市民点検」を実施いたします。
 この市民点検を実施するにあたり、今年度は説明員となる課長級職員を対象に、重点的に対話力向上研修を開催いたしまして、「対話」による改革手法を、組織内に定着させるよう取り組んでまいります。
 職員一人一人が、前例踏襲や現状維持で満足することなく、主体的に仕事を進め、能力向上を図るとともに、各組織がノウハウや知恵をチームとして蓄積し、対話による学びや気付きを大切にする「学習する組織」として、組織文化を醸成することが重要であると考えております。
 今後とも、積極的な人材育成により、組織全体の能力を高め、市民サービスの向上に努めてまいります。