平成27年12月定例会で伊藤浩士議員が市政に関する個別質問を行いました。
1 市原市における医療サービスについて
市では3次救命救急の設置についてこれまでどのような取り組みを成されてきたのか。
また、現在の取り組みの状況をお聞かせください。
保健福祉部長 県では、「千葉県保健医療計画」に基づき、県内に9つある二次保健医療圏への救命救急センターの設置を進めております。
市ではこれまで、県に対し、市原保健医療圏への早期整備について、公文書及び事務レベル協議において要望してまいりましたが、実現には至っておりません。
この背景といたしましては、救命救急センターの開設・運営は、医療機関にとって経済的負担が大きいことや、医師や看護師等の医療従事者の待遇面なども含め、確保が困難なことなどが考えられます。
今年度も、改めて県に対し、早期設置に向け要望しているところであり、10月4日には、市長自ら、県の健康福祉部長を訪問し、整備に向け、県と市が歩調を合わせて対応していくことを確認いたしました。
市といたしましては、市民の皆様の安全安心を守るため、今後も県と密に情報交換を行いながら、早期実現を目指してまいります。
現在、3次救命救急センターの設置が決まった場合には国から整備費の3分の1を補助してもらえます。そして県からも補助を出していただける場合には市も6分の1の補助を求められることになると思いますが、その時、市としては予算を組む準備は出来ているのか、伺いたい。
保健福祉部長 医療機関が救命救急センターを整備する場合には、施設整備事業及び設備整備事業について、国、県の補助制度がございます。
このうち、施設整備事業につきましては、「千葉県救急医療機関整備事業補助金交付要綱」に基づき、国の補助に加えて、県と市が協調して補助金を交付する仕組みとなっております。
市といたしましては、事業の進捗状況を踏まえ、県と歩調を合わせながら、補助金の予算化に関する事務を進めてまいりたいと考えております。
市として医療の人材不足に対応するため今後、具体的な支援を強化する必要があると考えますが、それについての見解とこれからの対応についてどのように考えているか、伺いたい。
保健福祉部長 医師や看護師などの医療従事者の不足は、全国的な問題として、本市の救急医療体制を維持する上でも重要な課題となっていることは認識しているところでございます。
現在、市では救急医療体制を、医師会等への委託により整備しておりますが、入院や手術を必要とする重症患者に対応する二次救急医療機関では、医療従事者への負担が大きくなってきていることから、平成25年度に委託料を増額し、財政面からの支援を強化したところでございます。
また、初期救急医療の充実も二次救急医療の負担軽減につながることから、本年度の9月補正予算において、急病センターの看護師や薬剤師の充実を図るための対応を行ったところでございます。
さらに、軽症患者による二次救急医療の利用も、限られた人員で対応している医療従事者の負担を招くなど、救急医療体制に与える影響が大きいことから、「地域医療教室」等を通して、市民の皆様に適正利用を働きかけるなど、利用者の意識の改善にも取り組んでおります。
このほか、看護師等の充足対策として、修学資金の貸付を行っておりますので、対象者の拡大についても検討してまいりたいと考えております。
2 市原市における介護事業について
厚生労働省は医療や介護の需要が増加していく中で、高齢者が要介護になった場合でも可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように地域包括ケアシステムの構築を求めています。その様な中、市原市は第6期介護保険事業計画を実施しているところであると思いますが、現在の進捗状況について、お聞かせください。
保健福祉部長 第6期市原市介護保険事業計画では、「団塊の世代」がすべて75歳以上となる平成37年を目途に、地域包括ケアシステムを構築することを掲げております。
地域包括ケアシステムは、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援サービスが一体的に提供される体制でございます。
計画では、地域包括ケアシステムの構築に向け、「在宅医療・介護連携の推進」、「認知症施策の推進」、「介護予防・日常生活支援総合事業」、「生活支援サービスの推進」及び「地域ケア会議の推進」を、重点的に取り組む事業として位置づけております。
計画の進捗状況でございますが、今年度は計画の初年度にあたりますことから、各重点取組事業において、課題の把握や関係者間の情報共有・合意形成に重きを置いて事業を進めております。
具体的には、在宅医療・介護連携推進会議や地域ケア会議、市原市認知症連絡協議会への参加など、各種の協議の場を通じて、まずは「市及び関係者相互の顔の見える関係づくり」に努めているところでございます。
地域包括ケアシステムについては、これから2025年を目標年次としてロードマップを作成し、具体的・段階的な目標を設定したうえで進捗管理することが求められると思いますが、市の見解を伺います。
保健福祉部長 市では、現行の第6期介護保険事業計画において、2025年までの中長期的な人口やサービス、保険料等の推計を示したうえで、地域包括ケアシステムの構築を目指していくことを明記したところでございます。
今後、地域包括ケアシステム実現に向けた、具体的・段階的な目標設定および進捗管理は、3年ごとに策定する介護保険事業計画において、示していくこととなります。
また、計画に掲げた事業の進捗状況については、市の付属機関である「市原市介護保険事業推進協議会」に報告し、意見聴取を行ってまいります。
市といたしましては、こうした手法により、地域包括ケアシステムの構築を着実に推進してまいりますが、議員ご指摘の、2025年までをトータルに見据えた工程管理作成という視点も重要だと思われますので、今後、検討してまいります。
地域包括ケアシステムの構築を推進するうえで重要となってくるのは、医師や看護師、介護士が中心となって行う訪問診療が地域包括ケアシステムの中心になると思いますが、今後、在宅医療と介護の連携をどのようにシステムとして整備していく考えなのか、市の見解を伺います。
保健福祉部長 医療と介護の両方を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにするためには、地域における医療・介護の関係機関が連携して、一体的にサービスを提供する体制が求められます。
しかしながら、現状では、医療分野と介護分野の間で、それぞれを支える保険制度が異なることなどにより、必ずしも円滑な連携がなされていない部分もございます。
こうした背景から、市では、介護保険事業計画において、「在宅医療・介護連携の推進」を地域包括ケアシステム構築に向け、重点的に取り組む事項として、位置付けたところでございます。
このため、今年度は、医療及び介護の関係者による「在宅医療・介護連携推進会議」を設置し、連携に向けた諸課題について、積極的な意見交換を行っております。
また、先日、関係者70名ほどが参加し、「多職種連携研修会」を開催しました。
研修会では、千葉大学予防医学センターの藤田教授による基調講演やグループワーク等を行い、情報の共有と相互交流を図ったところであります。
今後につきましては、「在宅医療・介護連携推進会議」の中に専門部会を設け、連携に係る具体的な諸課題について、集中的に議論してまいります。
また、多職種連携研修会についても、継続的に開催し、「顔の見える関係づくり」を深めてまいりたいと考えております。
2025年問題そして在宅医療者数がピークを迎えるという2035年に向けた対策として、市民の健康寿命をいかに伸ばしていくのかが、重要な課題になりますが、現在、介護予防事業について、どのような取り組みをしているのか、そしてこれからどのようなことを進めていこうとしているのか、市の見解を伺います。
保健福祉部長 市では、高齢者の方が、できる限り自立して元気に生活していただけるよう、介護予防事業に積極的に取り組んでまいりました。
具体的には、高齢者健康体操普及事業や、姉崎保健福祉センター内の「はつらつ元気ルーム」の運営、認知症予防のための「脳の健康教室」、介護予防・健康増進をテーマとした講演会の開催などを行ってまいりました。
また、本市オリジナルの健康体操である「市原市いいあんばい体操」を作成し、地域のボランティアとともに、普及促進に努めております。
今後、介護予防事業は、地域包括ケアシステムにおいて、「介護予防・日常生活支援総合事業」として、一体的に実施することとなりますので、地域における自主的な自立支援の取り組みを促進できるよう、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。