平成27年第1回定例会で 倉益 稔 議員が代表質問

 

平成27年第1回定例会で 倉益 稔 議員が代表質問を行いました。質問内容は以下の通りです。

2015.3kuramasu

1 市長の政治姿勢について

 

質 問

* 市長は市原発展のため奔走され、多くの実績を残された。その原動力は、ふるさと市原への強い思いがあってのものと考えるが、改めて、その思いを聞きたい。 

市長答弁  

                                          

ただいまの市民クラブを代表しての倉益議員のご質問にお答えさせていただきます。

私の「ふるさと市原」への思いというご質問にお答えいたします。

市議、県議、そして市長に至るこの40年間、私の政治活動の根底にあったものは、生まれ育ったこの市原市への愛着にほかなりません。

それは、私を育ててくれた、家族や地域への感謝の気持ちでもあります。

豊かな自然や伝統・文化などを大切にしていくこと、そして、50年後、100年後の子や孫の世代にも、この素晴らしい市原を引き継いでいただきたいという強い思いがございます。

市長就任当初、市原市の将来構想の策定に当たり、市民会議を設置し、オール市原で様々な議論をしながら、すべての市民が「住んでよかった」「住み続けたい」と思えるような「ともに輝く 元気なふるさと いちはら」の実現を目指す改訂市原市総合計画を策定いたしました。

私は、この計画実現に向け、市民の皆様と協働しながら、全身全霊を傾けてまいりました。

とりわけ、将来を担う子どもたちにとって、この市原が誇りと愛着を持てるまちとなるよう、取り組んできたところであります。

議員の皆様も同じような思いで、それぞれのお立場で、毎日ご努力いただいていると思いますが、市長だけで政治が完結するものではありません。

オール市原というのは、議員の皆様を含め、そして一人一人の市民の皆様、そしてこれから大人になっていく青年の皆様も、まちづくりに参画していただいて、より良い、心ある市政を運営し、そしてその担い手となる全ての市民の皆様のお力を借りて、素敵な、誇りの持てる、魅力あるまちづくりができるものと考えております。

今、時代の大きな転換期にあたって、次の時代を切り拓いていくには、新たな価値感や発想を持った方に担っていただくことも必要と考えた次第でございます。

皆様のご理解をいただきたいと存じます。以上でございます。ありがとうございました。

 

質 問   

* 平成27年度は「改訂市原市総合計画」がその最終年次となり、施政方針からも、この計画実現への強い思いを感じました。そこで、平成27年度の予算を含め、改訂市原市総合計画の達成状況をどのように評価しているのか伺います。

 

答 弁

ただいまの倉益議員の改訂市原市総合計画の達成状況について、お答えいたします。

私は、本計画の達成に向け、特に、地域福祉、子育て支援と責任ある教育、環境対策、安全・安心、地域経済の活性化など、7つの政策を柱に据え、選択・集中・スピードをキーワードに、各種施策を進めてまいりました。

この間には、少子高齢化が一層進行し、また、リーマンショックといわれる世界規模での金融危機や、未曾有の国難となった東日本大震災の発生もありました。

社会経済情勢や住民ニーズも大きく変化してまいりました。

こうした状況の中で、経済分野などの施策には大きな影響もあり、また、都市基盤整備などは十分な財源の確保が図れず、見送らざるを得ない事業もございました。

このように個々の施策に関しては、十分満足とまでは至らない事業もありますが、総合計画全体としては、市民の皆様をはじめ、オール市原での取り組みにより、着実に前進しているものと思っております。

私といたしましては、この3期を通じ、パートナーシップによる市政運営を根幹に据え、

全力で計画実現に取り組んできたところであり、市民の皆様とともに成し遂げた成果には、大きな達成感を持っております。

今後も、改訂市原市総合計画の成果を、より多くの市民の皆様が享受し、幸せを実感していただけるよう、平成27年度予算を編成したところであり、任期の限り全力を尽くしてまいりますので、皆様にもよろしくお願いいたします。

以上です。

 

質 問   

* 今後のまちづくりを考えていくうえで、現状の課題認識は極めて重要と考えますが、市原市の将来を見据え、今、取り組まなければならない課題をどのように捉えているのか、お聞かせください。

 

答 弁

市原市の将来を見据え、今、取り組まなければならない課題について、お答えします。

本市の人口は、近年減少傾向にあり、特に社会的要因による生産年齢人口の減少が著しく、国の発表では、平成26年においても全体で564人の転出超過となったところであり、人口減少への対策が大きな課題であると認識しております。

また、本市の発展を支えてまいりました臨海部の石油化学産業を中心とする企業群の競争激化などに伴い、地域経済の活性化や雇用の確保なども重要な課題であると考えております。

さらに、これらの人口減少や産業構造の変化に伴う税収の減少などにより、本市の財政状況も一層の厳しさを増してくるものと見込まれ、公共資産マネジメントなど、将来にわたって持続可能なまちづくりへ向けて取り組んでいくことも重要であると考えております。

これらの課題につきましては、早急に取り組まなければならないものと考えております。

 

2 将来ビジョンについて

(1)次期総合計画について

 

質 問   

* 次年度の予算案では市民や大学、専門家等の協議・研究により、課題整理や戦略構築を進め、次期総合計画の策定に取り組むこととしておりますが、現在の取り組み状況についてお聞かせください。

 

答 弁

次期総合計画について、お答えします。

現在、次期総合計画の策定に向け、現総合計画の課題整理、本市及び周辺の人口動態をはじめとする社会経済情勢、先進都市の事例などに関する調査分析を行うなど、基礎研究に取り組んでいるところでございます。

また、人口減少へと向かう時代の変換期にあって、柔軟な発想が求められることから、次世代を担う若手職員を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、研究活動を行っております。 

これらの研究に当たりましては、大学教授など専門家のアドバイスを適宜得ながら、次年度以降の本格的な策定作業に向け、準備を進めているところでございます。

 

(2)地方創生の取り組みにについて

 

質 問

* 本市においても、人口減少や地域活性化は大きな課題であり、国の地方創生を踏まえ、本市としては、今後どのように地方創生に取り組もうとしているのか、見解を伺います。

 

答 弁

地方創生への取り組みについて、お答えします。

本市の大きな課題である人口減少や地域活性化への対応については、一層の危機感をもって取り組まなければならないものと認識しております。

今回、国を挙げて推進する「まち・ひと・しごと創生」は、本市が取り組むべき方向性と合致するものであり、この政策を積極的にまちづくりに活かしていく必要があるものと考えております。

具体的には、本市の人口の現状と将来展望を示す「地方人口ビジョン」、及び、今後5ヵ年の目標や施策を掲げる「地方版総合戦略」について、来年度中の策定に向け、検討を進めているところでございます。

本市といたしましては、今後「地方版総合戦略」に盛り込む、産業の活性化、賑わい・交流の拡大、若者の定住促進などの諸施策について、国の交付金を活用し、先行的に取り組んでまいりたいと考えております。

また、これらの取り組みに当たっては、市民の皆様をはじめ、産業界や大学など、さまざまな分野から幅広い意見をお伺いし、その知見を効果的に活用しながら進めてまいりたいと考えております。

 

質 問   

* 地方版総合戦略と次期総合計画との関係性について、市当局としてどのように考えているのかお聞かせください。

 

答 弁

地方版総合戦略と次期総合計画との関係性について、お答えします。

地方版総合戦略は、国の総合戦略や地方人口ビジョンの理念を踏まえ、地域の実態に即した人口減少への対策や地域経済の活性化策などに関して、今後5ヵ年の目標や施策をまとめるものでございます。

これらは、次期総合計画においても、重要な視点になるものと考えておりますので、策定の取組の段階から十分整合を図りながら進めてまいりたいと考えております。

 

3 予算編成方針と予算案について

(1) 予算案の総括について

  ① 予算案の評価について

 

質 問

* 平成27年度予算案は骨格予算なのか通常予算なのか。また通常予算であるとすれば骨格としなかった理由は何か。

 

答 弁

予算案の評価につきまして、編成方式からのご質問にお答えいたします。

平成27年度当初予算案は、いわゆる骨格予算としてではなく、通常の予算として編成しております。

首長選挙がある場合に、骨格予算として編成する自治体のあることは承知しておりますが、その多くは、選挙が3月又は4月であります。

本市の場合、6月でありますので、選挙後速やかに肉付け予算を組んだとしても、予算の執行時期が遅れ、事業が年度内に終わらないということが懸念されます。

特に、未来を担う子ども達の通う小中学校の耐震工事、さらには市民の安全・安心に不可欠な公共施設の耐震対策なども、選挙を理由に先送りは許されません。

また、平成27年度は、改訂市原市総合計画、第4次実施計画「幸輝いちはら」の最終年度となることから、その仕上げに向け、計画に掲げた事業に予算の重点配分を行いました。

行政運営には一刻の猶予も停滞も許されない、このような思いから、私は通常の予算編成とし、現時点で見込み得るものは概ね当初予算に計上したところでございます。

以上です。

 

質 問

* 予算編成方針では、財政環境、編成の基本方針など大枠のほか、歳入確保、経常経費の徹底見直しなど細かな取り組みも掲げられたが、これらについて、予算にどのように反映されたか、主なものについて示されたい。

 

答 弁

 予算編成方針が予算にどのように反映されたのかについて、お答えいたします。

編成方針では、厳しい財政状況を受け、持続可能な財政運営と市民生活向上に的確に取組むため、基本的な考え方として、実施計画事業の重点的な選択、危機管理の強化をはじめ、安全・安心など3つの施策の視点から予算の重点化を掲げたところでございます。

その結果、実施計画事業は、事業費ベースでは89%が予算化されたほか、重点化施策についても、投資的・政策的経費の総額約212億円のうち、重点化施策事業が、約189億円で、全体の約89.2%を占めることとなりました。

予算編成方針ではこうした基本的な考え方のほか、歳入・歳出の両面から少し踏み込んだ取組みについても掲げております。

これらの予算案への反映でありますが、主な項目について申し上げます。

まず、歳入確保では、墓園管理手数料ほか受益者負担の見直し、ネーミングライツでの新たなパートナーの決定、遊休財産の売り払いでは、1億5700万円を予定するほか、ふるさと寄附金の増大に向けた新規事業も計上いたしました。

なお、より有利な財源の確保として、本市の安全・安心の拠点となる防災庁舎は、平成27年度から工事が始まり、事業費は増えてまいりますが、関係機関との数次にわたる協議を経て、これまで以上に有利な財源確保について目途を付けることができました。

また、特別・企業会計の経営改善では、国民健康保険料の見直しや水道事業経営改善に向けた補助金の獲得等を行いました。

このほか、市単独扶助費について、他市との比較などを踏まえ、難病療養者見舞金や市福祉手当、おむつ給付費等の見直しを行いました。

主な内容は以上でございますが、このように編成方針に基づき、全庁一丸となって取り組み、予算案に反映させたところでございます。

以上です。

 

質 問

* 平成27年度予算案の特徴について伺う。

 

答 弁

 平成27年度当初予算案の特徴について、お答えいたします。

まずは、予算規模が、一般会計で900億円を超え、総予算規模でも1,500億円を超え、過去最大となりました。

また、総合計画及び実施計画の最終年度として、その総仕上げとなる予算ということが挙げられます。

主なものとして、耐震対策の完全実施であります。

平成9年度から進めてまいりました小中学校の耐震化は、この予算で全て完了となるほか、その他の市有建築物本体の耐震対策についても、計画事業は全て完了に向けた予算化をいたしました。

また、国の新制度への対応として、とりわけ子育て支援について、子ども・子育て支援新制度に合わせ、小規模保育事業や認定こども園などの新規事業のほか、未満児対応の保育所整備の推進、放課後児童健全育成の充実など、保育の質と量の両面から積極的な対応ができたものと考えております。

一方、財政運営面に目を向けますと、市税収入が大幅な減少、一方で予算規模は増えたにもかかわらず、財政調整基金の取り崩し額の抑制を図り、また、市債発行額は増えたものの、その残高は前年度から8億円減少するなど、健全性は堅持できたものと考えております。

以上が、平成27年度予算案の大きな特徴でございます。

 

  ② 予算規模について

 

質 問

* 予算編成方針では38億円の財源不足が生じるとしていたが、要求段階では歳入歳出の乖離はいくらだったか。

* どのようにして収支均衡を図ったか。

* 過去最大の予算となった要因は何か。

答 弁

予算規模についてお答えいたします。

はじめに、予算要求段階での歳入歳出の乖離でありますが、要求締め切り時点では、歳入総額の872億4千万円に対し、歳出総額は917億8千万円であり、45億4千万円の歳入不足となっておりました。

その収支均衡に向けまして、歳出面からは、まずは、実施計画事業や施設修繕等以外の標準的な事業について、例年以上に財政部が関与する項目を増やして経費の見直しを行ったほか、編成方針に基づき単独扶助費の再整理を行いました。

次に、実施計画事業など政策的な経費については、予算編成方針に照らし、選択と集中による事業の集約化を図りました。

また、作業の途中において、要求時点で見込んでいた平成27年10月からの消費税の引き上げが先送りされたこともあり、これらを合わせて12億9千万円の節減が図られました。

さらに、歳入面からは、使用料等の適正化、新たな補助金など特定財源の確保、売り払い可能な遊休財産や臨時財政対策債ほか活用可能な地方債の発掘、さらに各種交付金の精査、特定目的基金の活用を見込み、なお不足する財源として、財政調整基金を取り崩すことで32億5千万円を生み出し、最終的な収支の均衡を図ったものであります。

次に、予算規模が前年度から40億6千万円増え過去最大となった要因でございますが、扶助費が、これまでの事業に加え、子ども子育て支援新制度により、子育て支援策の強化等を図ったことから14億円増加したほか、普通建設事業費では、継続事業として実施している福増クリーンセンター第二工場基幹改良が約26億円、また小中学校耐震対策では約10億円それぞれ増えたことなどによるものでございます。

 

質 問   

* 実施計画事業でありながら、予算化できなかった事業はあったか。あったとすれば、その主な事業と見送った理由は何か。

 

答 弁

 実施計画事業であるものの、予算計上を見送った事業もございます。

その多くは建設事業であり、その主なものといたしましては、都市計画道路整備では、八幡椎津線の白塚、椎津及び姉崎地区、押沼安須線の潤井戸地区。

交差点改良では、市道3469号線の平田地区。

道路新設改良事業では、郡本地区。

公園整備では郡本地区、姉崎駅前3号、北五井緑道など。

下水道事業では、郡本幹線、南総1号幹線、姉崎台地区などがございます。

これらを予算計上しなかった理由でございますが、用地買収が未完了であるものや、関連事業の進捗状況から整備スケジュールの見直しが必要であるもの、事業全体の精査などの要因がございます。

また、所用財源の面からも、緊急性や費用対効果を踏まえた相対的な優先度を考え合わせた中で、先送りとした事業も含まれております。

以上です。

 

(2) 自主財源と依存財源について

  ① 市税について

 

質 問

* 税収は平成19年の国からの税源移譲後では最少となったとのことだが、税収が大きく減少した要因についてどう分析しているか。

 

答 弁

市税について、お答えいたします。

 平成27年度当初予算案では、市税収入465億6千万円を計上いたしましたが、これは前年度から約20億円、4.1%の減少となり、税源移譲後、最も少ない税収見込みとなっております。

税目別では、市民税が約187億円で前年度比 約13億円の減、固定資産税が約220億円で4億8千万円の減、市たばこ税が約24億6千万円で約1億3千万円の減が主なものでございます。

この要因といたしまして、市民税では、個人分が少子高齢化の進行による生産年齢人口減少などによりまして、給与所得者数の減少に加え、一人あたりの平均課税標準額の低下などから、約7億2千万円の減収といたしました。

また、法人分では、税制改正により法人市民税の一部国税化や円安による輸入原材料の高騰や原油価格の急激な低下による企業業績への影響などから、約5億9千万円の減収を見込んでおります。

次に、固定資産税につきましては、平成27年度は3年ごとに評価額を見直す「評価替え」の基準 年度にあたります。

土地分については、市街地の一部で地価の上昇が見られるものの、全体としましては地価の下落傾向が続いており、約1億2千万円の減収、家屋分については、既存家屋の評価額が減額したことなどから、約2億6千万円の減収を見込んでおります。

また、償却資産分については、臨海部企業における設備投資の抑制から、約1億円の減収を見込みました。

最後に、市たばこ税につきましては、昨今の健康志向から販売本数の減少傾向が続いており、1億3千万円の減収を見込んだところでございます。

以上です。

 

  ② 自主財源確保について

 

質 問

* 使用料等の見直しなど受益者負担の適正化について今後どのように取り組んでいくか伺う。

 

答 弁

受益者負担適正化の今後の取り組みについて、お答えいたします。

ご指摘のとおり、自主財源の確保は安定的な財政運営を進めていく上では極めて重要であります。

使用料や手数料等については、一部を除き、市が独自に設定することができるものであり、平成27年度予算案では約32億円、歳入総額の3.5%を占める貴重な財源となっております。

現在、本市では、「使用料等適正化の基本方針」を定め、維持管理経費を基本とした原価計算により求めた額に、その設置目的や民間代替性などを勘案して定めた負担割合を乗じて設定しております。

しかしながら、原価の中に、減価償却費や運営・管理に関わる職員人件費を含めていないことや、原価計算後の料金設定にあたり減免の適用が過大なものが見受けられ、本来のコスト又は受益者負担のあり方からは、妥当性を欠く面がございます。

そこで、今後の大きな方向性として、行政サービスに対応するフルコストでの原価計算を行い、本来のコストとそれを賄う受益者負担額などを明らかにした料金設定や減免の適用が求められてこようかと考えております。

また、これまで無料としてきたものについても、妥当性の検証が必要と思われます。

現在、基本方針の見直しについて検討を進めているところでありますが、受益者負担の適正化は、単に財源の確保だけでなく、施設の最適稼動に結びつけていくことで、長寿命化や規模の抑制などにも資するものであります。

そこで、方針の見直しにあたっては、公共資産マネジメントの方向性とも整合を図りながら、戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

  ③ 地方交付税制度について

 

質 問

* 交付団体のメリットは何か。

* 普通交付税の今後の見通しはどうか。

* 交付団体のメリットや今後の見込みを踏まえて、今後どのように財政運営を進めていくか。

 

答 弁

地方交付税制度に関連するいくつかのご質問にお答えいたします。

はじめに、普通交付税交付団体のメリットについてでございますが、普通交付税の交付や臨時財政対策債の発行が可能となるほか、不交付団体であれば財政力が高いということから補助の対象とならない場合や、補助率の引き下げとなる場合もあり、これらの点が解消されるということが挙げられます。

本来、地方交付税制度の目的は、地方公共団体の運営の自主性を損なうことなく、財源の均衡化を図り、国が必要な財源の確保と交付基準の設定を行い、地方行政の計画的な運営を保障することで地方公共団体の独立性を強化することにあります。

このことから、交付を受けることによるデメリットは特段ないものと考えております。

次に、地方交付税の今後の見通しでありますが、交付額の算定方法は、地方財政計画により毎年、見直しが行われておりますが、仮に現行の算定方法が継続された場合には、高齢者人口の増大に合わせて需要額は確実に増え、一方で、生産年齢人口の減少による税収の減が続く場合には、その差額となる普通交付税は増えてくるものと考えられます。

しかしながら、国においては、現在、地方交付税の減額に向けた議論もありますことなどから、不透明な状況にございます。

これら交付税制度を踏まえた今後の財政運営につきましては、まずは交付税措置のある財源を活用することや、予算配分についても、交付税で措置された額を考慮するなど、交付税を意識した財政運営が求められてくるものと考えております。
質 問

* 地方交付税をはじめ依存財源比率が過去最大となっているが、これを確保できない場合の財政運営をどうするのか見解を問う。

 

答 弁

 依存財源が確保できない場合の財政運営についてお答えいたします。

議員ご質問のとおり、平成27年度予算での歳入に占める依存財源の割合は、37.3%で、それまで最大であった、平成25年度の32.9%から4.4ポイント増え、過去最大となりました。

これは、市税等の自主財源が前年度から3.3%減少する一方で、依存財源は前年度から21.6%増大したことによるものです。

依存財源が増大した要因といたしましては、扶助費や普通建設事業費の増大に伴い、国や県からの補助金や市債発行額が増大したこと、また、消費増税に伴い地方消費税交付金が大幅に増大したことなどによるものです。

この依存財源が確保できない場合の対応でございますが、依存財源のうち国や県からの補助金については、法により交付が義務付けられている「法律補助」と、予算の範囲内での補助である「予算補助」に分かれます。

生活保護費など社会保障関連の事業については、法律補助が多く、事業費に見合う補助金は確実に確保できるものと考えておりますが、一方で、建設事業に対する補助金の多くは予算補助であり、確保は確実ではありません。

そこで、事業費の補助金については事業実施前に交付額の内示等がありますことから、これを踏まえ、仮に補助金が予算を下回った場合には、事業費の縮小や先送りを検討し、先送りが困難な事業については、市債の発行等を視野に入れた財源対策を講じてまいります。

また依存財源のうち、地方消費税交付金を含む各種交付金は、直近の交付の動向や交付元である県の見込みを勘案し計上しましたが、補助金と異なり交付の最終決定は年度末とならなければ判明いたしません。

したがいまして、各種交付金の動向については注意深く見守っていく必要があるものと考えております。

 

(3) 財政見通しと持続可能な財政運営について

 

質 問

* 平成27年度予算編成後の財政指標はどうなっているか、主な指標の数値と見解を伺う。

 

答 弁

財政指標についてお答えいたします。

財政状況を示す指標はさまざまございますが、財政構造の弾力性・柔軟性を表わす経常収支比率については、当初予算ベースで比較しますと、平成27年度は93.8%となっており、平成26年度の94.9%から、1.1ポイント改善しております。

これは、分子となる経常的な支出に充当される一般財源について、扶助費や繰出金等は増えたものの、人件費や公債費などがこれを上回って減少し、全体として前年度より約5億円減少した一方、分母となる経常一般財源等では、市税は大幅に減少するものの、地方消費税交付金をはじめとする交付金が増大し、全体としては、前年度より約1億円増大したことによるものであります。

また、地方公共団体財政健全化法に基づく指標では、まず、収入に対するその年の実質的な公債費の割合を表す実質公債費比率は、6.2%となり、平成26年度当初予算ベースでの7.8%、平成25年度決算ベースでの8%と比較し、着実に改善が図られております。

また、収入に対する将来の負担の割合を表す、将来負担比率については68.3%で、平成26年度当初予算での71.3%と、平成25年度決算の69.6%と比較し、こちらも改善しております。

代表的な3つの指標についてお示しいたしましたが、経常収支比率は改善しているものの、90%を超えており、弾力性を欠く、厳しい財政環境にあるものと考えております。

一方で、これまで発行した市債に対する負担の面では、現在そして将来とも軽減が図られてきており、健全な状況にあるものと考えております。

 

質 問   

* 新年度予算には、新たな継続事業など今後の予算に影響を及ぼす新たな施策が盛り込まれているが、これを踏まえた今後の財政見通しをどう考えているか伺う。

 

答 弁

 今後の財政見通しについてお答えいたします。

中長期の財政推計にあたりましては、その前提条件をどのように設定するかによって、結果が異なってまいります。

まず、大きな前提といたしまして、歳入・歳出の両面において、今後の人口動態を反映すること、また、現在明らかになっているもの以外については、現行の制度がそのまま継続されることといたします。

また、歳入面では、地方消費税は平成29年4月から税率が引き上げられ、歳出面では、平成27年度当初予算等に計上したものを含め、過去数年の傾向を踏まえるとともに、政策的要素の大きい建設事業について、現在継続事業で確定しているものや施設の長寿命化計画策定済みのものは、これを反映することといたします。

これらの前提条件から試算した結果、平成28年度についても歳入不足が生じ、以降、毎年度、財源不足が拡大していくものと考えております。

これは、歳入側では、生産年齢人口の減少や、企業の設備投資抑制の傾向が継続するものと予測されることから、市税は減少するものと見込まれ、他方、歳出側では、少子高齢化の一層の進行、特に医療や介護需要が急増する後期高齢者の増大により、扶助費や社会保障関連の特別会計への繰出金が増大することによるものであります。

このほか、留意すべき推計上のリスクとして、法人市民税の課税標準となる法人税率の引き下げや臨海部企業の動向、さらには公共施設の老朽化に伴う更新問題などの要素を勘案いたしますと、一層厳しい状況を見込まざるを得ないものと考えております。

財政見通しは、先ほど述べましたように、前提条件を変えることで大きく結果が異なってくることから、節目節目で修正していくことが必要と考えており、今後もより適正な推計方法について研究してまいります。

質 問   

* 持続可能な財政運営を進めていく上で、どのような取り組みが必要と考えているか伺う。

 

答 弁

 持続可能な財政運営についてお答えいたします。

本市の今後の財政見通しは、先ほど答弁いたしましたとおり、極めて厳しいものと考えております。

これを克服し、持続可能で、かつ、全体として市民の福祉が維持され向上する、健全な財政運営を目指していくことが必要であります。

そのための財政運営の基本的な考え方といたしましては、人口減少に目を向け、世代間の負担の公平性を基本とし、基礎的財政収支の黒字を堅持し、将来世代への負担の先送りをしないことが肝要と考えております。

この考え方の下で、収支均衡を達成していくためには、歳入面からは、まずは市税等の徴収率向上と未収債権の回収強化に取り組み、併せて、受益者負担の適正化、未利用資産の売却や貸付等の有効活用、広告収入等新たな財源の発掘、交付税措置がある等の有利な財源の確保などを推進してまいります。

一方、歳出面からは、特別会計への繰出金を含めた実質的な経常的経費は、歳出全体の約85%を占めていることから、その抑制に向け、定員管理等による職員人件費の一層の適正化、内部管理経費や各種補助金・市単独扶助費等の見直しが必要であります。

特に、老朽施設については、その更新費用はもとより、光熱水費、清掃、設備点検、運営のための人件費などのほか、経年劣化による施設の維持補修費が増大し、管理運営に毎年多額の経費を要しております。

このことから、公共資産マネジメントを踏まえ、施設の集約化などの対応が急務であると考えております。

これらの歳入歳出両面からの取り組みを総合的に展開しながら、単に支出の抑制だけでなく、税収増大につながる、人口維持、産業育成や交流人口拡大に向けた取り組みへの財源配分など、メリハリをつけた財政運営にも留意が必要と考えております。

以上です。

以上で代表質問を終了しました。