令和2年第4回定例会で菊地洋己議員が代表質問

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1 新型コロナウイルス感染拡大の影響について
(1)市政運営について
 ① 本市の状況について
 新型コロナウイルス感染症は、大規模な自然災害と同様の危機と捉えるべきと考えるが、

コロナ禍にある本市の状況を、市長はどのように捉えているのか伺いたい。

 小出市長 はじめに、新型コロナウイルスに関連し、お亡くなりになられた皆様に、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 また、医療現場の最前線で、日夜、ご尽力されている医療従事者の皆様に対しまして、改めて感謝を申し上げます。
 本市におきましては、8月以降、継続して感染者が確認されており、9月には市内の接待を伴う飲食店と建設現場でクラスターが発生したほか、10月以降、大変残念なことですが、4名の市民の新型コロナウイルスに関連する死亡が確認されております。
 市内の感染者数の累計は、11月末には200名を超え、感染拡大に予断をゆるさない状況が続いており、多くの人が集まる機会が制限され、「新たな日常」に沿った取り組みが求められるなど、市民経済だけでなく、市民生活にも大きな影響を及ぼしているものと認識をしております。
 そうした認識の下、強い危機感をもって、私は、市原市新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、感染拡大防止と市民生活の安定のため、昨年の大規模災害時と同様に、自ら先頭に立ち行動をしているところです。
 一例を申し上げますと、市内でのクラスターの発生に際しましては、市原保健所長に呼びかけ、私との連名で、感染防止対策の徹底について、市内の接待を伴う飲食店132店舗へ依頼をするとともに、臨海部の各工場へも私から依頼をいたしました。
 また、マスクの着用やこまめな手洗い、3密を避けることや、感染が広がりやすい場面での感染防止対策の徹底を促す私のメッセージを添えたリーフレットを公共施設で配布するとともに、学校や保育所等を通じて保護者の皆様に配布したほか、高齢者施設等に対し、繰り返し感染防止対策をお願いしてまいりました。
 現在、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、北海道のほか、東京、大阪などの大都市圏域を中心に、全国的に急増しております。
 また、千葉県では、東京都に近い東葛地域を中心に、クラスターの発生が相次ぎ、感染者数が大幅に増加をしており、県は、病床確保計画に基づく対応レベルを、11月27日から全県域で、上から2番目に高い「フェーズ3(スリー)」に引き上げるなど、これまでにない警戒態勢となっており、本市としましても気を緩めてはならない状況にあります。
 私は、これから本格的な冬を迎えるにあたり、地域経済だけでなく、市民の生命と健康を守り、市民生活への影響を最小とするため、感染防止意識のさらなる醸成や、自分自身の大切な家族の命を守る最善の行動について、最新の知見に基づき、あらゆる機会を捉えて市民の皆様にお願いをしてまいります。

 ② 本市の財政見通しについて
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、本市の財政見通しについてどのように考えているのか、市長の見解を伺いたい。
 小出市長 新型コロナウイルス感染症の影響により、今後の本市の財政見通しは、他の自治体と同様に、かつてない厳しい状況にあります。
 特に、令和3年度については、感染症拡大に伴う消費の落ち込みなど景気の後退に伴い、市税は、個人市民税や法人市民税などで大幅な減少が見込まれ、予算編成開始時点における経済指標による試算では、税収が良好であった令和2年度当初予算と比較し、約30億円の減収を見込んだところであります。
 このような状況から、令和3年度は、何ら財源対策を講じない場合、令和2年度版実行計画で見込んだ財政収支と大きな乖離が生じ、予定した事業を全て実施することが極めて困難な推計結果となりました。
 そこで私は、この困難な局面を全庁一丸となって乗り越えていくため、予算編成にあたり、まず、職員一人ひとりがこの危機的状況を自分事化し、その上で、各部局において、実行計画のゼロベースでの見直しや、事業の統廃合など、ビルド・アンド・スクラップの視点から、あらゆる方策を講じることを指示したところであります。
 こうした事業の見直しに加え、基金や市債の活用など、可能な限りの財源対策を講じることで、かつてない現下の厳しい財政見通しではあるものの、市民の安心・安全、地域経済の活性化などにつながる、「真に効果の大きい事業」にはしっかりと財源を配分していく覚悟であります。
 また、その一方で、不要不急な事業のスクラップはもちろん、事業実施時期の見直しにもしっかりと向き合い、未来に向けて責任ある確かな市政を着実に推進してまいります。

 ③ 重点的取組事項について
 実行計画(令和3年度版)策定方針及び令和3年度予算編成方針において、重点的取組事項として、①市民生活・地域経済を守る、②「新たな日常」への変革と「持続可能なまち」の実現を挙げているが、この2つを掲げた市長の思いについて伺いたい。
 小出市長 昨年の相次ぐ台風・大雨、そして、今年の新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、私は、最大限の危機感を持ち、市民の皆様の安心・安全を最優先に、全力で取り組んでまいりました。
 先の見えない不透明な社会経済情勢の今だからこそ、しっかりと市民に寄り添った取組をしなくてはならないという決意のもと、重点的取組事項の最初に「市民生活・地域経済を守る」を掲げました。
 具体的な思いといたしましては、安心して子育てができるまちの実現に向け、今年の1月に起きた乳児衰弱死のような悲しい事件を起こさない、という強い信念を持って、全力で取り組むことで、子育て世代の信頼を速やかに回復し、さらに、子育て世代に選ばれるまちを目指してまいります。
 また、未だ続く新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、市長として市民の皆様の生活を必ずや守るという思いのもと、感染症拡大防止策を徹底するとともに、地域経済の活性化に向け、最大限の支援をしてまいります。
 さらに、近年の大規模災害から得られた教訓を活かし、激甚化・頻発化する災害に備え、自助・共助・公助が一体となった地域の防災力を強化してまいります。
 次に、重点的取組事項の2つ目に、本市の未来を見据え、「新たな日常への変革と持続可能なまちの実現」を掲げました。
 国内では、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、デジタル化の遅れや都市過密・一極集中などの課題が浮き彫りになりました。
 「日本の縮図」と言われる本市だからこそ、全国に先駆け、「新たな日常」の実現という社会変革に取り組み、対応していく、という覚悟の表れであります。
 そして、未来への先行投資として、必要な社会基盤整備を進めるとともに、SDGsやSociety5.0といった新たな時代の流れを取り入れ、「持続可能なまち」の実現を目指してまいります。
 私は、本市がかつて経験したことがない厳しい財政状況下にあっても、市民生活の安心・安全の確保を最大の使命としながら、未来を見据えたまちづくりに挑戦する舵取りをしっかりと行い、総合計画に掲げる都市像の実現に取り組んでまいります。
 (2)来年度予算について
  ① 財政運営について
 コロナ禍の中での財政運営をどのように考えているのか、執行部の見解を伺います。
 財政部長 財政運営は、健全で持続可能であることが重要と考えております。
 健全な財政運営とは、単に収支バランスが図られているということだけはでなく、必要な行政サービスを確実に提供し、かつ市民ニーズにも的確に応えられていることが求められるものと承知をいたしております。
 さらに、こうした状態を継続・持続させていくことがなお一層重要であり、そのためには、事業の優先順位の設定により、毎年の歳入の範囲内で歳出を組むことが必要でございます。
 こうした考えの下、令和3年度予算は、コロナ禍の下かつてない厳しい財政見通しの中、編成方針では、メリハリある編成に向け、子育て世代の信頼回復、感染症対策と地域経済活性化、地域防災力強化などを重点的取組事項として掲げ、同時に、その財源確保に向け、厳しい要求上限額の設定や、実行計画のゼロベースでの見直しなどを示したところでございます。
 一方で、厳しい状況にございましても、将来を見据え必要な事業につきましては、時機を逸することなく的確に投資することが必要と考えております。
 これらを踏まえまして、先ほど市長答弁にもございましたが、令和3年度予算編成・財政運営に当たりましては、事務事業の見直し、事業の選択と集中を推進し、同時に、財政調整基金をはじめとする各種基金や市債の積極的な活用など、可能な限りの財源対策を講じてまいりたいと考えております。

 ② 財政調整基金の運用について
 財政調整基金についてどのような思い、覚悟で運用していくのか、また減収補てん債など市に有利な制度を積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 財政部長 財政調整基金は、議員御案内のとおり、経済情勢の著しい変動等による財源不足、あるいは災害などに対応するため設けてございまして、本市では、「財政運営の基本的な考え方」の中で、その残高については、標準財政規模の10%相当となる50億円程度を確保することといたしてございます。
 令和3年度では、市税収入の大幅な減収が見込まれることから、予算編成にあたりましては、これまで以上の財政調整基金の活用が必要となるものと考えております。
 しかしながら、基金残高につきましては、昨年度の経験を踏まえた災害の緊急対応や復旧・復興財源として、また次年度以降の税収見通しも踏まえました上で、40億円程度を確保する必要があると考えており、予算編成方針では、財政規律としてこの額を明示したところでございます。
 現在、本市の財政は、税収をはじめとする経常的な財源の多くが社会保障関連経費や施設管理など経常的な支出に費やされ、近年の当初予算では、毎年10億円を超える財政調整基金の取り崩しがなければ編成ができない大変硬直化した財政状況にございます。
 したがいまして、一定額の財政調整基金の確保がなければ、このたびのコロナ対策など臨時的財政需要の対応はもちろん、通常の予算編成にも困難をきたし、ひいては市民サービスの低下にもつながりかねないことから、その残高維持には十分留意し、財政運営に努めなければならないものと考えております。
 次に、減収補てん債などの活用について、お答えをいたします。
 減収補てん債につきましては、年度ごとの変動が大きい法人市民税の法人税割額や利子割交付金におきまして、減収見込み額の範囲内に限りまして、発行が認められます特例債であります。
 したがいまして、令和3年度当初予算編成の段階では、この活用を見込むことはできませんが、令和2年度では予定した税収よりも減収が見込まれますことから、財源不足を補てんする有効な手段の一つとしてこの市債の活用を検討してまいりたいと考えております。
 減収補てん債をはじめ、国の地方財政対策等を十分注視し、可能な限りの財源対策を講じ、この危機的状況を乗り越えてまいります。

 ③ 柔軟な予算対応について
 新型コロナウイルス感染症対策に柔軟かつタイムリーに対応するための予備費についてどのように考えるか、見解を伺います。
 財政部長 予備費につきましては、予算編成時では、予測できない経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合や、災害により生じた経費の財源など緊急を要する支出に対応するため、地方自治法におきましてその計上が義務付けられているものでございます。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症対応など緊急的な財政需要に対し、予備費を充用することで速やかな対応を講じてまいりました。
 一方、歳入歳出予算は、議会の決定を受けることを大前提としておりまして、更には、地方自治法の規定によりまして、予備費は議会が否決した費途に充てることができないとされておりますことから、予備費の大幅な増額計上につきましては、慎重に取り扱うべきものと考えております。
 今後も、緊急を要しない経費に対する充当は厳に慎むものとともに、公平性、透明性を確保しながら、予備費本来の趣旨に沿った運用を図り、適切に活用してまいります。

(3)実行計画について
 ① 事業の優先順位について
 現実行計画は、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前に策定されたものであり、コロナ禍が長引く中で、市が実施すべき事業の優先順位も変わったと思われるが、見解を伺いたい。
 企画部長 本市では、これまで計画期間3年間の実行計画を3年毎に策定してきましたが、今年度からローリング方式を導入し、毎年度3年間の計画を策定することとしました。
 従いまして、令和2年度版の実行計画は、令和2年度から4年度までを計画期間とし、令和3年度版は、令和3年度から5年度までが計画期間となります。
 この取組により、社会経済情勢の変化に柔軟かつスピード感を持って対応出来ることとなり、既に実行計画事業として位置付けられている令和3年度・4年度の事業も改めて点検し、真に必要な事業の選定が可能となりました。
 そこで、実行計画令和3年度版策定方針では、コロナ禍への対応を最優先とした「市民生活・地域経済を守る」と、本市の将来を見据えたまちづくりとして「新たな日常への変革と持続可能なまちの実現」の2つを重点的取組事項して位置付けました。
 議員ご指摘の新たなまちづくりにつきましては、コロナ禍で課題として浮き彫りになったデジタル化の遅れや、地方回帰の流れを捉え、具体的な取組としまして、「地域と若者・女性の活躍促進」「公民連携によるイノベーションの推進」「持続可能なまちづくりのための先行投資」「SDGsの達成・Society5.0の実現」を策定方針に掲げたところであります。
 実行計画令和3年度版の策定にあたりましては、総合計画を中心としたトータルシステムを活用し、事業のビルド&スクラップをより一層進め、重点的取組事項に掲げた2つの視点を優先し、計画づくりを進めてまいります。

(4)市内経済について
 ① 市内経済の状況及び支援実績について
 コロナ禍における、市内経済の状況を市としてどう捉えており、また、市では、厳しい中小企業の状況を受け、様々な支援策を講じておりますが、金融対策や支援金の支給などの支援の実績を伺います。
 経済部長 市では、毎年度、市内企業を対象として、売上高や設備投資の動向等、市内経済の状況を把握するため、「地域経済動向調査」を実施しております。
 本調査は、7月実施の上期、1月実施の下期の年2回、約2200事業所を対象に実施しており、令和2年上期の調査では、通常の調査項目に加え、コロナ禍における経営状況を把握するための設問を設け、734事業所から回答を得たところです。
 主な調査結果を申し上げますと、「売上高」が「10%以上減少した」と回答した事業所の割合は、42%であり、前年同時期と比較して32ポイント増加しております。
 また、「資金繰り」が「悪化した」と回答した事業所の割合は25%であり、前年同時期と比較して10ポイントの増加となり、市内企業は非常に厳しい経営状況にあるものと受け止めております。
 業種別では、特に、飲食・宿泊・娯楽等のサービス業が大きな打撃を受けている状況にあります。
 このほか、市産業支援センターや商工会議所の窓口相談等を通じて、継続的に市内中小企業等の状況把握に努めて、各種施策に活かしているところであります。
 次に、これまでの金融対策等の実績について申し上げます。資金繰りの支援である「セーフティネット保証」及び「危機関連保証」の認定につきましては、令和元年度が年間で99件であったのに対し、令和2年度は、4月から11月末までの8カ月間で1803件の認定となっております。
 また、売り上げが50%以上減少した事業者に対し、一律10万円を支給する「中小企業等経営支援金」は、11月末までに、3,019件を交付しているところでございます。

 ② 継続的かつ切れ目のない支援について
 体力の乏しい中小零細企業の経営破綻が危惧されるなか、資金面を中心とした継続的かつ切れ目のない支援が必要であると考えますが見解を伺います。
 経済部長 地域経済動向調査における、新型コロナウイルスによる影響として、多くの企業が「売上の減少」、「予定していた仕事の中止・中断」、「資金不足」と回答するなど、中小企業等の経営は深刻な状況にあるものと認識をしております。
 このため、市といたしましては、「中小企業等経営支援金」の申請期間を延長するとともに、安心して店舗を利用できるよう感染予防策を「見える化」する「新型コロナウイルス感染防止対策ステッカー」を配布するなど、新たな施策に取組んでいるところでございます。
 現在、国におきましては、雇用調整助成金の特例や無利子・無担保制度融資の延長等、追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算の編成を行っているところであり、2021年度当初予算と一体的な取組みを推進しようとしているところでございます。
 市内経済をけん引する中小企業等の経営回復に向けては、きめ細やかな支援を重層的に展開することが極めて重要と考えております。
 引き続き、国・県等の支援の情報収集に努め、いち早くこうした情報が事業者の皆様に届くよう周知を徹底するとともに、商工会議所をはじめとした関係団体と、より一層の連携強化を図り、事業者に寄り添った支援を展開してまいります。

(5)市民への生活支援について
 ①季節性インフルエンザの流行と併せた診療・検査体制について
 新型コロナウイルス感染症は、冬場に、より活性化すると言われているが、本市における検査や診療の体制がどのような状況なのか伺いたい。
 保健福祉部長 例年、季節性インフルエンザの流行期には、多数の発熱患者が発生しており、今年も冬を迎えるにあたり、同程度の発熱患者が発生することを想定した場合、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に見分けることは困難であるとされております。
 このことから、国は、9月4日及び9月15日に都道府県等に対し、「次のインフルエンザの流行に備えた体制整備」として、基本的な考え方や方向性を示しており、これまでの医療提供体制の整備と同様に、県が主体となり、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症との同時流行に備えた体制整備が進められてきました。
 この結果、本市を含め千葉県内では、地域の診療所などの医療機関で、速やかに発熱等にかかる相談・診療・検査が受けられる体制が整備され、11月16日から運用が始まっております。
 具体的には、発熱等により医療機関での受診を希望する場合、まずは、身近なかかりつけ医等に電話相談をし、診療が可能であれば、事前予約の上、受診をします。
 しかしながら、診療が受けられない場合は、相談窓口である県の発熱相談センターや市のコールセンター等に電話相談することで、診療可能な医療機関を紹介される仕組みとなっております。
 現在、県では、インフルエンザのピーク時に向け、発熱外来医療機関の追加指定を、順次進めていると伺っております。
 市といたしましては、県と情報を共有して、市民の皆様からの相談に対し、速やかに発熱外来指定医療機関をご案内してまいります。

 ②社会福祉協議会による貸付の状況について
 社会福祉協議会が生活困窮者対策として実施している、緊急小口資金、総合支援資金について、本市ではどのような状況なのか伺いたい。
 保健福祉部長 緊急小口資金、総合支援資金につきましては、都道府県社会福祉協議会が実施主体となり、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入減少があった方々の生活資金需要に対応するため、特例貸付を実施しており、本市においては、市原市社会福祉協議会が窓口となっております。
 3月の開始当初は、受付期間を7月末までとしておりましたが、申請件数が高い水準で続いていることなどから、受付期間が2回延長され、現時点で、12月末までとなっております。
 3月から10月までの具体的な申請状況は、「緊急小口資金」につきましては、昨年が107件であったのに対し、本年は、1,110件となっており、10倍以上の申請件数でありました。
 また、「総合支援資金」につきましては、昨年の申請件数が1件であったのに対し、本年は681件となっており、多くの市民の皆様が本制度を申請している状況にあります。

 ③総合支援資金貸付のリーマンショック時との比較について
 総合支援資金貸付は、リーマンショック時と比べて、どのような状況か伺いたい。
 保健福祉部長 平成20年のリーマンショックに対して、国は、より利用しやすいセーフティネットとして、平成21年に総合支援資金を創設し、同年10月から申請受付が開始されました。
 市社会福祉協議会の申請受付実績は、最も申請が多かった平成22年度は、年間の申請件数が266件であり、本年3月から10月までの8か月の申請状況は681件でありました。
 これをそれぞれ月平均にしますと、平成22年度の申請件数は、22件ですが、本年は85件となり、リーマンショック時を大幅に超える状況となっております。

 ④生活保護申請手続の簡素化について
 コロナ禍の一時的な対応として、生活保護の申請手続きを簡素化したり制度を使いやすくしたり、受給しやすくするなど、柔軟な対応が有効と考える。生活保護の申請手続きの簡素化について見解を伺いたい。
 保健福祉部長 はじめに、本市における本年3月から10月までの8か月間の生活保護申請数は、396件で、昨年の同期間の335件と比較すると、約18%の増加となっております。
 コロナ禍における生活保護の申請手続につきましては、国からの通知に基づき、申請者の窮状に寄り添い、申請時に申請書類が整っていない場合であっても、速やかに保護の要否について調査等を行い、保護決定を行うよう努めております。
 また、一時的な収入の減少により保護が必要となった方につきましては、保護からの自立に繋がる求職活動等に限定して、申請時に自動車を保有している場合には、使用を認めるなど柔軟に対応しております。
 今後も、生活に困窮している方からの相談に対しましては、民生委員やいちはら生活相談サポートセンターなどの関係機関とも連携し、迅速かつ適切な保護の実施に努めてまいります。

 (6) 学校教育について
 ① 新型コロナウイルス感染拡大の防止対策と感染者が出た場合の対応について
 学校における新型コロナウイルス感染症の感染防止対策をどのように行っているのか。また、感染者が出た場合の対応はどのように行っているのか伺いたい。
 教育総務部長 はじめに、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策について、お答えいたします。
 教育委員会では、学校における子どもたちの新型コロナウイルスの感染や、その拡大リスクを可能な限り低減させ、学校教育を継続し、子どもたちの学びを保障していくために、様々な取組を行っております。
 具体的には、6月1日からの学校再開にあたり、手洗いや咳エチケット、換気といった基本的な感染症対策の徹底に加え、教室や給食時における衛生管理などについて示した市独自のマニュアルを5月中旬に作成し、これらを参考に取り組むよう、各学校に周知するとともに、消毒用アルコールや非接触型体温計などの感染症対策に必要な物品等を各学校に配付しております。
 また、国や県が、最新の知見に基づき、学校における衛生管理の具体的な事項に関するマニュアル等を作成・更新しておりますことから、これらも参考に、各学校の実情に応じた取組を行うよう周知しております。
 これを受け、各学校においては、健康観察カードによる子どもたち等の健康状態の確認をはじめ、こまめな手洗いの指導、施設の清掃・消毒、教育活動を展開する上での様々な対応により、感染拡大の防止に取り組んでおります。
 次に、感染者の発生に伴う対応につきましては、まずは事前の対応といたしまして、PCR検査を受診するなど感染が疑われる事象が生じた場合には、速やかに報告をいただくなど学校との情報共有を図ることにより、感染者が発生した場合の想定・準備を行っております。
 また、感染者が発生した場合には、市原保健所と連携し、濃厚接触者の特定や臨時休業等の必要の有無、その期間などの当面の対応について、当該校と協議の上、決定するとともに、感染者が発生したことや当面の対応に係る内容を保護者の皆様に学校メール等により周知しております。
 なお、その際には、感染者や学校の、差別や偏見につながらないよう、保護者の皆様に協力をお願いしているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、日々、刻々と状況が変化しており、今後も長期的な対応が必要になると見込まれますことから、引き続き、学校や保護者の皆様、関係機関などと連携し、子どもたちの健康・安全を第一に、感染症予防や拡大防止等に取り組んでまいります。

 ②子どもたちへの心のケアについて
 コロナ禍において、感染を予防するため対人関係において距離をおいたりするなど、様々な場面で制限があり、児童生徒たちがストレスを高めていることが懸念される。そのため児童生徒の心のケアが重要であると考えるが、各学校においてどのように取り組んでいるのか伺いたい。
 学校教育部長 議員御指摘の通り、新型コロナウイルス感染症の影響で、児童生徒を取り巻く環境は、これまでとは大きく変化し、かつて経験したことがない長期の休校や行事の縮小、行動の制限等で、児童生徒がストレスを抱えていることが懸念されます。
 各学校においては、教育活動全般において、児童生徒の生活の様子をきめ細かく観察し、学級担任を中心に、気になる児童生徒への日常的な声かけ等を行っております。
 また、個人面談や生活アンケート等を通して、児童生徒の新型コロナウイルス感染症に対する不安などを適切に把握するとともに、養護教諭やスクールカウンセラー、心のサポーター、スクールカウンセラーアシスタントなどその他の職員と連携し、組織的に対応しながら心のケアに取り組んでおります。
 今後も児童生徒の心の安定に向け、きめ細かな対応と、相談体制の充実に努め、積極的な支援を行ってまいります。

 ③今後の対応について
 コロナ禍において、1人1台タブレット端末などの環境を活用した学習が有効と考えるが、本市における活用の仕方、特に家庭にタブレット端末を持ち帰り、学習が行えるようになれば、学びの保障にもつながると思うが、見解を伺いたい。
 学校教育部長 教育委員会では、1人1台のタブレットについて、授業での活用だけでなく、家庭へ持ち帰ることにより、家庭学習の習慣化、さらには新型コロナウイルス感染症等への対応を考慮し、早急に整備を行ったところです。
 これまでも、自宅のパソコンや、一斉臨時休業に伴い、緊急的に貸し出したタブレットを使用し、オンライン学習教材のラインズeライブラリアドバンスや、教科書に沿った学年・教科別デジタルコンテンツをまとめた「市原まなびのへや」の活用により、児童生徒の状況に応じた学びが保障できるよう対応してまいりました。
 これからは、1人1台のタブレットを整備したことにより、すべての児童生徒が、学校と自宅間で学習データの共有が可能となり、自宅においても、授業の予習や復習などに活用することができるようになります。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大等により、万が一、通常の授業が実施できない場合においても、家庭でタブレットを使用した学習が可能となります。
 今後とも、タブレットを含めたICT機器を効果的に活用することで、誰一人取り残すことなく、学びの保障を図ってまいります。