令和元年第4回定例会で安在尚太議員が個別質問

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1 インクルーシブ防災について
 (1)福祉施設の避難体制について
 高齢者や障がい者の施設からの避難の在り方について、各施設に対して指導や助言を行っているか伺いたい。

また、県と市の間での連携や、市原市独自の福祉施設防災対策等の手引きなどは整備しているか伺いたい。

■保健福祉部長 福祉施設におきましては、災害時に自力で避難することが困難な方も多く利用されていることから、安全性を確保するため、災害に備えた十分な対策を講じることが必要となっております。
 避難体制につきましては、国の施設の指定基準に基づく関係通知により、利用者の安全確保及び非常災害時の体制整備の強化が各施設には求められており、施設では避難方法や災害時の人員体制、関係機関との連携体制などを定めた、非常災害対策計画を策定し、災害時に備えた安全対策を図っていただいているところでございます。
 施設を指定している、県の取り組みといたしまして、防災に関する各種計画やマニュアルの作成、再点検・見直しなどを行う際の参考となる、「社会福祉防災対策の手引」を作成しております。
 また、県においては、施設への指導監査の際等に、非常災害対策計画、避難訓練について助言・指導を行うほか、社会福祉施設等の管理者、防災担当者等を対象とした防災対策講座も開催しております。
 市といたしましては、市による独自の手引について、その必要性を検討していくとともに、日頃の業務の中で福祉施設との情報共有を行い、県や関係部署との連携を図ることで、災害時の福祉施設利用者の安全性が確保されるよう努めてまいります。

 市原市では、市原特別支援学校と障がい者向けの福祉避難所として協定を締結しており、市原市が指定する福祉避難所となっているが、市原市における知的障がい者福祉施設が福祉避難所として指定されていないが、市として、今後どのように考えているのか見解を伺いたい。
■保健福祉部長 現在、本市の福祉避難所といたしましては、市原特別支援学校のほか、市の管理する保健福祉センターなど9か所の福祉施設が、知的障がい者等の避難も想定した施設でありますが、民間の知的障がい者施設の福祉避難所指定は、現在、ないところです。
 福祉避難所につきましては、一般の避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れることとしておりますが、知的障がいのある方の対応につきましては、障がいの特性から、知的障がい者施設の支援員の方がいらっしゃる施設が適しているものと考えられます。
 しかしながら、障がい者福祉施設は、災害時においては、入所等の利用されている方への対応を優先することが前提となるところでもあります。
 この度の一連の災害対応を経験する中で、福祉避難所としていくためには、開設した場合の受け入れスペースや人員体制、避難物資の確保など、実態を考慮する必要性を改めて認識しております。
 今後は、これらを踏まえまして、関係施設や関係部署とともに、障がいをお持ちの方の福祉避難所について、検討を進めてまいります。

  (2)要支援者の避難体制について
 市原市における避難行動要支援者名簿の登録状況に対し、名簿に基づく個別支援計画の策定状況について伺いたい。

■総務部長 市では、災害時に特別な配慮を要する高齢者や障がい者などのうち、特に自ら避難することが困難な在宅の避難行動要支援者で、個人情報の提供に同意をいただいた方につきまして、「避難行動要支援者名簿」を作成し、災害時の情報伝達、安否確認、避難の支援等に活用するため、毎年、町会長等の避難支援等関係者に配布しております。
 この名簿情報に基づきまして、平常時から避難行動要支援者と避難支援等関係者が連携し、具体的な避難支援方法などを、個別計画として取りまとめております。
 現在、本市では「避難行動要支援者名簿」への登録者数は、5,311名で、そのうち、個別計画が作成されている避難行動要支援者数は1,765名、その割合は約33%となっております。

 避難行動要支援者のうち障がい者が一次避難所である学校に避難する場合、段差や車いすで使用できないトイレなどが物理的な障害となってくると考える。
 現在の学校における物理的な障壁への改善の取り組み状況について伺いたい。

■教育総務部長 本市の小中学校の体育館につきましては、建築後30年以上経過したものが全体の4分の3という状況で、建設当時に物理的な障壁の改善、いわゆるバリアフリーを意図して整備されたものが少ない状況にございます。
 そのため、教育環境の整備の一環といたしまして、出入口や通路等の段差がある箇所へのスロープの設置や、障がい者対応トイレの整備等に取り組んでいるところでございます。
 このような中、小中学校の体育館は、一次避難所に指定されており、災害が発生した場合には、要支援者を含む住民の方々が避難することになりますが、スロープの設置にあたっては、周辺スペースの確保の可否、また、障がい者対応トイレの設置にあたっては、大規模に改修する必要があるため、壁などの構造的な安全性の確保の可否が課題となっており、こうした状況から、現時点では、全小中学校で設置ができているという状況にはなっておりません。
 体育館を含む学校施設につきましては、老朽化が進行していることから、児童・生徒へ良好な学習環境を提供するとともに、長期的な視点にたった施設管理経費の平準化等を図るため、現在、長寿命化計画の策定を進めているところであり、今後は、適切な時期に長寿命化改修や建替等を実施し、求められる機能等の向上を図っていく予定としておりますので、この中でバリアフリー化についても計画的に行っていくことを検討しております。

2 福祉人材の確保について
 (1)人材の確保や定着に向けた対策について
 障害福祉サービスを担う支援員の処遇面から見た、サービス報酬についてはどのような制度になっているのか。又、市では障害福祉サービスの支援者の確保や定着に向けた対策について、どのように考えているのか、具体的な取組について伺いたい。

■保健福祉部長 障害福祉サービスや介護保険サービス提供の根幹である福祉人材の養成及び確保につきましては、国の指針において、経営者や公的機関のみならず、国民の参加も得ながら推進する、国民的な課題として位置づけ、それぞれが処遇改善に取り組むことが重要とされております。
 この指針では、国は人材の確保のための制度設計や報酬等の設定を企画立案し、都道府県は、広域的な視点で従事者の研修体制の整備等を進め、市町村は、都道府県の取組と連携を図りながら、ボランティア活動の振興や研修等の取組を進めていくことを、それぞれの役割としております。
 これを受け、国では、現下の厳しい人材不足や、他の産業との賃金差等の中においても、職員の確保及び定着につなげていくため、2019年度、消費税率の引上げに伴い、福祉人材の処遇改善に向けて、障害福祉サービス等報酬を改定し、研修体制等の構築、職場環境等の改善が進むよう加算対象要件の見直しや、経験・技能のある障害福祉人材数が多い事業所の更なる評価を行うための加算率の設定等、各種サービスの加算措置の強化などを図ったところでございます。
 市といたしましても、この改正された制度に基づき、国県との負担割合に応じて、給付を行っております。
 また、人材の市の確保等に向けた取り組みといたしましては、市原市基幹相談支援センターでは、相談支援事業所を対象としたスキルアップ研修を実施し、より質の高い人材の確保と支援の連携に向けた取組を実施するとともに、民間事業者と協働で福祉の啓発イベントを開催し、将来の人材となりうる学生に向けて、ボランティアでの参加を促すことで、福祉の仕事に接する機会を設けているところであり、今後もこれらの取り組みを進めてまいります。