1 公共資産マネジメントについて
(1)公共資産マネジメントの推進について
公共資産マネジメントは、将来にわたり持続可能な行財政経営を確立する上で、避けては通れない取り組みであり、
市長の覚悟が問われるものと思われます。そこで、公共資産マネジメントの取り組みについて、市長の想いをお伺いします。
小出市長 私は、市長就任以来、人口減少・少子高齢化、社会経済情勢の変化等、大変厳しい時代にあって、市民本位の行政経営を推進するため、いかなる時も本市の現状・課題に真正面から向き合い、スピード感を持って、行財政改革に取り組んでまいりました。
中でも、公共施設やインフラ施設等の老朽化への対応は、本市にとって、避けては通れない課題への挑戦であり、次の世代のためにも、先送りは許されません。
そこで、私は、「市原市行財政改革大綱」に、公共資産マネジメントを位置付けると同時に、平成28年3月には、「市原市公共資産マネジメント推進計画」を策定し、市原市総合計画においても、自治体経営戦略の最も重要な施策と位置づけ、積極的に推進することとしております。
また、本年4月の機構改革により、推進体制の充実強化を図ったところであり、現在、策定を進めている「公共施設再配置基本方針」及び「公共資産活用基本方針」についても、私が本部長となる「公共資産マネジメント推進本部会議」において、全庁体制で取り組んでいるところであります。
私は、後世代に過度の負担を課すことのないよう、公共資産マネジメントを、何としてもやり遂げるという強い覚悟を持って、市議会や市民、事業者等との対話を重ねながら、あらゆる力を結集し、全力を挙げて推進してまいります。
(2)公共施設の再配置の取り組みについて
市では、公共施設の再配置基本方針について、これまでどのように検討に取り組み、今後どのように進めていくのか、そしてそれを、市民とどのように共有していくのか、お伺いします。
企画部参事 公共施設については、人口減少や少子高齢化など、社会経済情勢等の変化に伴う市民ニーズの多様化や施設の老朽化等、様々な課題への対応が求められております。
このことから、公共施設再配置基本方針の策定にあたりましては、昨年度に、まず、市原市総合計画等、上位計画や関係計画を踏まえ、今後20年間の将来人口や人口分布の推計を行うとともに、各施設の建物情報や利用、費用の状況、市民アンケートによる利用実態調査等の客観的なデータに基づき、各種分析を行いました。
その上で、本市の課題に対して必要な取り組みを整理し、本年6月には、公共施設の再配置に係る基本理念や5つの視点等、今後の検討の方向性を「基本的な考え方」として、取りまとめました。
今後は、これまで検討した「基本的な考え方」に、地域特性やまちづくりと整合を図った再配置の方向性、具体の進め方、推進に係る体制等の考え方を加え、基本方針全体として取り纏め、来年3月末の策定を目指しております。
次に、市民等との共有についてでありますが、公共施設の再配置は、市民等との連携なくしては実現できない取組でありますことから、様々な機会や手法によって、情報の共有や連携を図ってまいります。
具体的な取り組みとしましては、本年6月15日号の広報いちはらで特集記事を掲載するとともに、基本的な考え方の部分につきまして、市民の皆様の御意見を伺うため、6月9日から7月10日までパブリックコメントを実施いたしました。
また、市の取り組みの背景や将来の見通し、本市の課題などを、市民の皆様にできるだけ分かりやすくお伝えし、また市民の皆様の思う公共施設のあり方等を伺うため、7月に、市内全5会場において地域懇談会を開催したところであります。
今後も適宜、市議会へ御説明させていただくとともに、外部の公共資産マネジメント審議会での審議や、秋頃予定している2回目の地域懇談会の開催、パブリックコメント等を実施するなど、市民の皆様への説明や御意見を伺う機会を設けながら、丁寧に策定を進めてまいります。
方針策定後はスピード感を持って、着実に公共施設の再配置を実現していくことが肝要と考えます。
そこで、実現に向けてはどのように取り組んでいくのか、当局の考えをお聞きします。
企画部参事 公共施設再配置基本方針策定後は、まず、本方針に基づき、施設の分類ごとに長寿命化、更新、廃止等、取組みの手法を示す「個別施設方針」を定め、速やかに着手できる長寿命化等については、事業化に向けスピード感を持って取組んでまいります。
また、この「個別施設方針」により、機能集約や更新等を行う施設につきましては、全庁的な推進体制のもと、まちづくりの方向性や地域特性等を踏まえ、横断的に検討を進めてまいります。
その上で、具体の整備につきましては、再配置に係る事業を、アクションプランとして、総合計画の実行計画に位置づけ、実効性を確保してまいります。
なお、公共施設の再配置を推進するためには、市民等との連携が大変重要であると考えております。
このことから、個別施設の具体的な検討にあたりましては、市民の皆様と公共施設の将来像を共有した上で、専門家等を交えたワークショップを開催するなど、市民の皆様との対話を重ねながら丁寧に進めてまいりたいと考えております。
(3)公共資産の活用について
公共資産の中には立地や資産の状況等、活用にあたって課題を有する資産も含まれており、費用対効果を踏まえた効率的な取り組みが求められるところであります。そこで、市は、今後策定する、公共資産活用基本方針により、そのような資産の活用にどのように取り組んでいくのか、当局の考えをお伺いします。
企画部参事 市では、これまで、不要となった建物や土地の売却等については、資産を所管する各部署が主体となって、取り組んできたところでありますが、専門的な知識が必要であることなどから、効率的、効果的な取り組みにつながっていないという現状がありました。
そこで、公共資産マネジメントでは、公共資産活用に係る基本的な考え方及び実務の手引きとして、活用検討の一元化や活用のフロー、活用に係る庁内体制等を定めた「公共資産活用基本方針」を、来年3月末の策定を目処に、現在、取り組んでいるところであります。
今後はこの方針に基づき、全庁統一的な考え方の下で資産活用に取組んでまいりますが、議員が御指摘のとおり、資産の立地や状態等によっては、活用が困難な場合もあります。
また、活用に向けた条件等の整理においても相応の事務が伴うものがあります。
このため、本方針においては、活用に係る課題や資産活用の方向性等の整理段階におきまして、優先順位等を定め、効率的・効果的な取り組みとすることや、資産活用の検討、実践の各段階において、市長を本部長とする「公共資産マネジメント本部会議」により全庁的な視点で推進することとしました。
また、資産活用の実践においては、民間事業者等との連携により、スピード感をもった取り組みも求められてまいりますことから、特にまちづくりに資する活用が求められる公共資産につきましては、旧市原ショッピングスクエアビルのサウンディング型市場調査の取り組み等を踏まえ、公民連携のあり方や手法等について、積極的に検討してまいります。
さらに、より専門的な知識、ノウハウが必要な業務については、資産運用や活用業務を民間業者等へ委託するなど、外部専門家の活用等を検討してまいりたいと考えております。
これらの取り組みを着実に実施することで、公共資産の活用を推進してまいります。
2 学校教育について
(1)学校規模適正化について
市原市学校規模適正化検討委員会からの答申にもとづき、できるだけ速やかに学校規模適正化を進めていただきたいと考えるが、教育委員会は、今後どのように学校規模適正化を進めていこうとしているのか、伺いたい。
教育総務部長 本市では、これまで、平成19年7月に策定いたしました「市原市における学校規模適正化の基本的な考え方」にもとづき、小中一貫教育校の開設や学校の統合等を実施し、現在、複式学級は解消されているところでございます。
しかしながら、この間にも社会状況の変化により、学校の小規模化が進行しているところでございます。
このような中で、本年3月に示された新学習指導要領では、高度情報化やグローバル化の進展等による急激な社会変化への対応へ、「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められているところであり、活発な対話が行える教育環境づくりが必要と考えているところでもございます。
教育委員会では、このような状況の変化への的確な対応に向けまして、昨年度、改めて、学識経験者、保護者などからなる「市原市学校規模適正化検討委員会」に「新たな学校規模適正化の方針の検討」を諮問し、本年5月にその答申を頂いたところです。
これを受け教育委員会では、7月に答申に関する市民説明会や意見募集を行い、現在、教育委員会としての方針を策定しているところでございます。
今後は、本方針に則りながら、関連するまちづくりの計画などと調整を図り、対象となる地域や学校、スケジュール等を整理した実行プランを作成してまいる考えでおります。
プランの実行にあたりましては、適正化検討委員会での「対象となる地域や学校の保護者等と十分に協議・検討を進めるべき」との意見を踏まえながら、学校規模適正化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
(3)教育環境について
文部科学省の調査において、全国的にも学校トイレの洋式化は遅れている状況であり、今後、トイレの洋式化を推進していただきたいと考えるが、どのようにトイレの洋式化進めていくのか見解を伺いたい。
教育総務部長 これまで、全面的なトイレ改修に合わせまして、便器の洋式化に取り組んできたところでございます。
今年度からは、ご指摘のとおり、新たに便器のみを洋式に交換する個別改修を事業化し、総合計画の計画目標でございます、トイレの洋式化率50%以上の早期達成に向け、継続的に取り組んでいるところでございます。
事業の推進にあたりましては、設置されている便器の数と、児童、生徒数を勘案しながら、極力公平性を確保し、整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
(4)地域に根ざした教育について
各学校において市原の特産品を授業にどのように取り入れているのか、また体験学習等でどのような活動を行っているか、お伺いします。
学校教育部長 各小中学校において、各教科や総合的な学習の時間、体験学習、校外学習で、地域の特産品や産業を取り入れた授業に、取り組んでおります。
具体的に申し上げますと、小学校では3年生の社会科見学で梨園や乳牛牧場・米作り・椎茸栽培の見学を実施しています。
このほかにも各学校の地域の特色にあわせた海苔作り・茶摘み・そば打ちの体験を行ったり、農林業振興課が作成したDVD「いちはらの梨ができるまで」を活用したりする授業を行っています。
また、中学校では家庭科の授業で、市原の伝統料理である「祭りずし」や、「加茂菜」などの地域食材を使った調理実習を、実施しております。
今後も、学校教育の中で、これら地域の特産品を取りあげた授業を展開し、郷土を知り、郷土を愛する心を育み、ふるさとへの誇りと愛着を持てるよう、教育を推進してまいります。
3 消防力の強化について
(1)消防局の強化について
日本一のコンビナートを抱えるとともに、今後の救急需要の増加が予想される中、消防力の強化についての考えをお伺いします。
消防局長 本市の消防力につきましては、国が示す「消防力の整備指針」に基づき、市民からの負託に応えるべく、指針で算定される施設及び人員を目標とし整備を図っているところであります。
具体的な整備状況といたしましては、消防署所数及び化学消防自動車並びに救急車などの施設関係では、概ね整備指針の数値を満たしておりますが、一方で災害予防や現場指揮のための人員など、部門によっては整備指針に達していないところもあります。
このことから、現在、車両装備の充実や、出動体制の工夫・見直しなどを行いつつ、職員個々の質の向上を図るとともに、適材適所の配置を行い、災害対応に万全を期しているところであります。
しかしながら、議員ご指摘のとおり、今後、高齢化の一層の進展等により、救急要請件数がますます増え、救急車の現場到着時間への影響も危惧されることは、重要な課題であると認識し、様々な角度から検討しているところであります。
今後におきましても、石油コンビナートを含めた複雑多様化する災害、さらには年々増加傾向にある救急需要などに対する消防責務を十分果たし、市民からの期待に応え、市民サービスが低下しないよう関係部と協議してまいります。
(2)消防団の強化及び処遇改善について
市役所職員の消防団活動・加入についての見解をお伺いします。
消防局長 地方公務員である市役所職員が消防団員として活動することは、地域防災力の強化や地域住民からの協力を得やすいのに加え、市職員にとりましても防災に対する更なる意識の向上にも繋がると考えます。
また、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」においても、公務員の消防団員との兼職に関する特例規定や職務専念義務の免除について、消防団活動の充実強化を図る観点から、柔軟かつ弾力的な取り扱いがなされるよう示されたところであります。
本市におきましては、この法律の施行前より、市職員が消防団活動を行う場合の職務専念義務の免除が認められておりましたことから、本年4月現在で、国家公務員及び地方公務員を合わせまして、104名の消防団員が在籍し、このうち41名が市職員を兼職して災害活動や広報活動など、多岐にわたり活躍しております。
いずれにいたしましても、地域や市民の安心・安全を願う想いは、市職員においても同様でありますことから、今後も消防団員との兼職について、理解を得ながら、消防団への加入について、消防団と連携し取り組んでまいります。
消防団員の装備品の強化についての考えをお伺いします。
消防局長 消防団員の装備品につきましては、市原市消防団適正化実施要綱により、装備の更新や整備等を行い、充実強化を図っているところであります。
一例といたしまして、小型動力ポンプ付き積載車については、概ね15年から17年を目安に更新を計画し、平成13年度から昨年度までに83台を更新し、今年度につきましても、4台を更新する予定となっております。
この他に全85分団に情報通信機器として、トランシーバー、救助用資機材として、チェーンソーやジャッキ、安全管理のための安全チョッキを平成20年度までに整備しております。これらの装備品に加え平成24年度には消防無線のデジタル化対応のため、消防救急デジタル化無線用の無線機及び受令機を、平成26年度には水防活動における安全確保策として、ライフジャケットをそれぞれ整備するなど、装備品の充実強化を図ってきたところであります。
今後におきましても、消防団員の災害活動に必要な装備の充実強化を図り、消防団員が安全に活動しやすい環境づくりに努めてまいります。
消防団員の報酬及び出動手当改善について、考えをお伺いします。
消防局長 消防団員の年額報酬及び費用弁償にあたる出動手当につきましては、市原市消防団条例に規定され、このうち報酬については、役職に応じて消防団員から消防団長まで、それぞれ金額が定められており、一方で出動手当については、各種災害活動や広報活動なども含め、出動一回につき一律2,200円を支給しております。
議員ご指摘のとおり、本市の報酬及び出動手当は、京葉八市と比較しますと、報酬は役職によっては低いものもあり、また、一律の出動手当につきましても、災害出動時の手当として捉えると低い状況にあります。
このような中、消防団員は郷土愛護の精神に基づき、地域における防災リーダーとして、各種災害に勇猛果敢に活動していただいており、消防局といたしましては、この活動に対する適切な報酬や出動手当についての処遇改善は重要であると考えております。
このことから、消防団員の役職に応じた報酬や災害出動の内容に応じた出動手当の考え方を整理するとともに、国が示す「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」の趣旨を踏まえ、消防団員の報酬等の改善について、関係部と協議検討してまいります。