平成25年第4回定例会で竹内直子議員が代表質問

平成25年第4回市原市議会定例会で、竹内直子議員が市民クラブを代表して市政に関する一般質問を行いました。 質問は以下の通りです。
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質問 
未来に向けた施策展開について
 インターネットなど、通信技術が進歩し、世界的に情報共有が可能になった今日、信頼に基づく交流の重要性が増していると感じております。このたびJ.Fケネディ元アメリカ大統領の長女であるキャロライン氏が駐日大使に着任され、その活躍に期待が高まっているところですが、政府間の外交に加え、国民の間での交流も大切だと思っております。日本はもちろん、世界中が、平和、調和の心にあふれていくことを願いながら質問いたします。

 まず初めに、子どもたちを育む環境について伺います。
 「子育て・教育一番のまち」、「しっかり育てよう!市原の子ども」をスローガンに掲げている本市において、未来を担う子どもたちが、健やかに、伸びやかに、そしてその個性や能力を最大限に伸ばし、生かせるように育てていきたいと私も含め多くの方が願っていることと思います。
 先日、在アメリカ大使館参事官、駐フランス大使などを歴任され、日本人として初めてユネスコ事務局長に就任されました松浦晃一郎先生のお話を伺う機会がありました。松浦先生は、「これからの日本の発展のためには、世界に通用するグローバルな人材を育成することが必要であり、世界の中の日本を踏まえた教育をしていくことが大切である。そして、そのためには、まず日本の歴史・文化をしっかりと勉強すること、世界の動きを踏まえて、国内問題や日本のあり方を考えること、議論すること、異文化に対する理解を持つこと、プロフェッショナルな専門分野を持つことが大切である」とお話しされていました。
 また、東京大学の濱田純一総長は、「グローバル時代に最も必要な力とは、自分とは異なる生活やさまざまな価値観とぶつかり合い、異質なものを自分の中に取り込んでいく力だ。世界や社会の持つ多様性をみずからの力にする能動的な姿勢が大切だ。それを維持するには、当然、精神的なたくましさも求められる。そして、まずは自分をしっかり持ち、生まれ育った日本の文化や歴史への理解を深めること」と述べられています。
 私は、これらは、決してグローバルに活躍する人材育成のためだけではなく、全ての子育ちに必要な観点であると思っております。厚生労働省が発表した第9回雇用政策研究会資料を見ましても、多くの企業が採用する人材に大切なこととして、「未知の世界、時に非常に厳しい環境に、おもしろそうだ、やってみたいという気持ちで積極的に飛び込んでいく前向きな気持ち、姿勢、行動力を持っていること、最後までやり抜くタフネスさがあること、しっかりと自分の頭で考え、課題を解決しようとすること」とあります。
 このように、いつの時代でも、どこの場所でも生き抜いていくことのできる力を育てることが、これからの子どもたちにとって最も大切だと考えておりますが、市長はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。これを初回の質問といたします。
市長答弁
 ただいまの市民クラブの代表質問、竹内議員の質問にお答えいたします。
 生き抜く力というお話をいただきました。また、質問に入る前にいろいろなお話をいただきました。ありがとうございます。
 異質なものを自分の中に取り込んでいく力だ。ただバリアをつくって、異質なものを拒否するだけでは、自分の進歩もないし、国の発展もない、全くそのとおりだと思います。そういう意味では、ただいまの竹内議員の前段のお話、すごく爽やかに聞こえました。ありがとうございます。
 私たちは生きています。そして、次の世代をしっかり育まなければいけない責任と義務を持っています。そして、その責任と義務は何のためか。それは、一人一人の子どもたちが、幸せな人として成長していくこと、あるいは幸せを実感できる心を育んでいかなければいけないというふうなことがあるんだろうと思います。
 今、御質問で、生き抜く力ということでございますけれども、私も全くそのとおりだと思いますが、物事に取り組むときは、いかなる困難があっても、何事も楽しみながら、この楽しみながらということができるかできないか、このことが一人一人の力ではないかと思うんですね。楽しめるということは、それだけの余力があるんではないかと思いますけれども、そうしたことを踏まえて、まずは親が、子どもに、しっかりと生き抜いていく、生きていくことの楽しさ、幸せさというものをしっかり教えていく必要があると思います。子育て4か条、子育ち支援条例がありますけれども、そうしたものをみんなで共有してやっていくことが大切だと思います。
 現在、子どもたちを取り巻く環境は、著しく変化しておりまして、子どもたちの生き抜く力を育てることは、とても大切なことだと私も思っております。生き抜く力とは、社会環境の変化に負けず、子どもが、夢や希望を持って生き生きと輝きながら育ち、未来を力強く切り開いていく力であると思いますし、この力こそを社会全体で育てていくという優しいまなざしが必要なんではないかと思いますので、そういった意味で、子どもたちを幸せにする市原市を、私どもは、協働して、しっかりつくっていかなければいけないと、このように考えています。

質問
 私は、生き抜く力をつけるためには、まずは自立が大切だと思っております。市原市では、笑顔が広がるいちはらっこの子育ち支援条例が制定されましたが、この中で、「子育ち」という言葉が使われているのは、子どもたちが、みずから育つ力を応援するという意味合いが込められているのだと私は理解しております。つまり、大人は見守るということです。この見守るということは、非常に難しいことで、子育てをされた方であれば、誰でも経験があると思いますが、ついつい見ていられずに、手を出してしまったり、口を出してしまったりということはよくあることです。大人に忍耐力や精神的な余裕がない場合、見守るということはなかなか難しいことだと思います。
 また、子どもを信頼していないとできないことでもあります。自立心を育てるために、自分で決め、最後までやらせることも大切だと思いますし、かわいい子には旅をさせよと言われているように、子どもの自立、成長のためには、あえて試練を与え、厳しさを経験させるのも愛情の一環であります。過干渉や大人の世間体やプライドのためではない真に子どものためを願った愛情が、子どもたちに生き抜く力を与えるのだと思います。
 笑顔が広がるいちはらっこの子育ち支援条例では、子育ちを地域社会全体で応援することをうたっておりますが、自分でできることをふやし、自立した大人に成長するためにどのような施策を展開されているのか、お伺いいたします。

子育て支援部長答弁
 弘子育て支援部長 かつて、多くの子どもは、家庭、学校、地域社会の中で、同世代、異世代とのかかわりを持ち、大人になるための素養を身につけ、成長していきました。特に、家庭は、兄弟、姉妹も多く、三世代同居というのが一般的で、小さな社会という役割を持ち、その中で子どもたちは、両親、祖父母などの優しさと厳しさを備えた監護を受けていたと思います。
 しかし、核家族化等による家庭の子育て力の低下、地域社会の連帯感の希薄化など、子どもを取り巻く環境が大きく変化しました。このため、先ほど議員からも御発言がありましたが、地域社会全体で支援するまちの実現を笑顔が広がるいちはらっこの子育ち支援条例において明らかにいたしました。
 自立に向けた取り組みについてでございますが、自立を育むための子どもが育つ環境づくりが肝要であると考えております。育ちとは、親から子へ、人と人とのつながりなど、地域社会において世代を超えて繰り返されるものであり、生涯にわたり循環するものであります。
 このため、市といたしましては、親が、自覚し、責任を持って、子育て力を身につけ、子育てに自信を深めていくよう、保健機関や学校、保育所、児童相談所などと連携し、専門的な立場から適切な助言や支援を行っております。
 また、子どもが、自分自身の将来像を思い描き、その実現に向け、希望を持って行動できるよう、学校等において、子どもの発達に応じた指導を実践することにより、能力や可能性を最大限引き出せるよう努めております。さらに、地域における子育てボランティア団体や青少年健全育成団体などを支援し、安心して育つ環境づくりを推進しております。

質問
 私も、まずは親、家庭が一番大切だと思っております。子どもたちの成長には、父性と母性、両方の要素が欠かせません。誤解のないように申し上げますが、男性イコール父性、女性イコール母性ということではありません。これまでの社会は、どちらかというと、厳しさやルールを重視する父性的要素が先行してきたように思いますが、気持ちに寄り添い、ありのままを受け入れ、育むといった安らぎを与える母性的要素も同じくらい大切です。このバランスをとることは、社会にとっても、まして子どもたちの成長には不可欠だと思います。
 子どもたちが健全に育つためには、第1に母性的要素が家庭に必要であると言われております。父性的要素を伝えるには、母性的要素が、子どもたちの中に十分伝わっていることが重要で、母性によって、自分は自分でいいのだという自尊心がしっかり育っていないうちに、しつけや厳しい教育的なことを言っても、子どもには伝わりません。幼いころに、まず母性を十分に伝えることが重要になります。
 一番大切なのは、生まれた家庭内での子どもとの接し方だと思います。望まない出産をされるケースも多く聞かれる昨今ですが、愛情を持って、子どもを育てることのできる親を育てていくために、赤ちゃんと触れ合う機会を設けることは効果的であると思います。
 実施されている市町村で参加した児童生徒からは、生まれた命を感じる、自分が赤ちゃんだったときと重なる、自分の将来像を描きやすくなる、将来の自分の子どもと重なるなどといった感想が寄せられているそうです。命の大切さを感じ、自分が生まれてきたことを肯定し、自分の成長を振り返るとともに、これから生まれてくるであろう自分の子どもへの思いをはせ、将来、親になる自分の姿を想像し、生まれてくる命に対する責任感を持つことにつながるのではないかと思います。
 また、赤ちゃんの母親との会話から、子育ての大変さなどもうかがい知ることができ、自分を育ててくれたことに対し、感謝する機会にもなると思います。本市でも、以前、取り組まれていたと聞いておりますが、自立した大人を育て、次の世代につなげていくため、赤ちゃんと触れ合う機会をぜひ充実させていただきたいと思います。御見解をお伺いいたします。

子育て支援部長答弁
 赤ちゃんと触れ合う機会につきましては、本市においては、思春期保健対策の一環として、「小学生パパママ体験教室」として行っておりましたが、参加者が少数であったことなどから、平成21年度をもって、区切りをつけたという経緯がございます。
 また、実施している市町村に伺ったところ、参加者の確保や学校行事との日程調整などの課題があり、成果はあるものの、事業実施あるいは継続に苦慮しているとのお話を受けました。しかしながら、いじめの問題や親による虐待等が深刻な社会問題となっており、命の大切さを学ぶこと、人を思いやる心を育むことについての取り組みが重要となっております。したがいまして、子どもたちが、乳幼児と直接触れ合う中で、命のとうとさや育児の大切さ、楽しさを理解できると思われ、思春期からの父性、母性の健全育成の契機ともなり、この予備体験が、将来、親になったときの不安を軽減し、育児不安からくる虐待の予防にもつながるものと考えられます。
 市といたしましては、このような課題等を改めて整理し、赤ちゃんと触れ合う機会の充実について関係部局と検討してまいります。

質問
 以前、行われていたけれども、平成21年に区切りをつけたという御答弁でした。なかなか参加者が集まらなかったというようなことも聞いておりますけれども、私は、市の中で、1カ所、場所を決めて行うのではなくて、例えば地域で、子育て広場とか、地元の方がやってくださっているような場所もあると思います。そのような場所を利用しながら、何か地元に密着した形で、ぜひこの機会を充実させていただきたいと思っております。前向きな検討をよろしくお願いいたします。
 核家族化や、兄弟が少なくなっているという現状がありますので、このような機会を設けることで、子どものころから自分の人生や将来を描くことにつながっていくと思います。今いる子どもたちをしっかり育て、将来、生まれてくる新しい命を愛情にあふれた環境で迎えられるようにしてあげたいと思っております。
 地域で、子育て中の親子を見守る体制が進みつつあるところですが、子育て支援は、親が、心にゆとりを取り戻し、子どもとしっかり向き合うために大切な事業です。親も、子どもが生まれてから親として成長していくわけですから、その成長を地域で見守ることは大切だと思います。気軽に親子で参加でき、交流を広げ、親子の成長を図ることのできる子育て広場については、親子の不安やストレス解消、友達づくりなど、効果があると考えております。今後も拡充をお願いしたいと考えますが、見解をお伺いいたします。

子育て支援部長答弁
 市では、地域の身近な場所で、子育て中の親子の交流や育児相談などを実施し、子育ての孤立感、負担感の解消を図り、全ての子育て家庭を地域で支える地域子育て支援拠点事業を進めておるところであり、サンプラザ市原や保育所において、子育て支援センターを設置しております。
 また、地域の皆さんが中心となって実施している子育てサロンや冒険遊び場(プレーパーク)などもあり、参加者も多く、地域の子育て支援としての機能を果たしているものと考えております。
 さらに、子育て中のお母さんたちが中心の子育てボランティア「市原子育て応援団」の活動も活発化し、去る9月22日には、YOUホールにおいて、いちはらパパママフェスタを市と共催し、多くの親子連れが来場し、好評を得たところであります。このように、地域の皆様の御尽力により、地域主体の取り組みが広がっていくことは、笑顔が広がるいちはらっこの子育ち支援条例の目的でもあります「子育ちを地域ぐるみで支援するまちの実現」を推進するものであります。
 また、子ども・子育て支援新制度における地域子ども・子育て支援事業の趣旨とも合致しますことから、子ども・子育て支援事業計画での位置づけも含め、さらなる推進について検討してまいりたいと考えております。

質問
 今後も、このように誕生した家庭で、しっかり愛情を注ぐ、そして地域で見守るという思いに基づいた施策展開をお願いいたします。
 虐待についての報道で、しつけのためにやったという言葉がよく聞かれますが、子どものためを思って叱ることと、大人の体裁を保ちたいがために、また子どもが思いどおりにならないからといって、感情をぶつけて怒るということは、似て非なるものです。きちんと理由をわからせ、叱るのであれば、よほどのことでない限り、体罰は必要ないと思います。力により子どもの心を封じ込め、体裁だけ従わせるのではなく、しっかりと話をして、向き合うことが大切だと思います。このような思いを持って、親を育む施策の展開に当たっていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

生涯学習部長答弁
 家庭を取り巻く状況の変化により、子育てに悩む親が増加し、さまざまな課題が生じていることから、教育委員会では、子育てのための支援事業を行っております。具体的には、乳幼児を持つ保護者を対象とした事業として、子育て学習支援事業や子育て支援講演会の実施、家庭教育リーフレットの配布を行っており、PTAを対象とした事業として、家庭教育学級事業や、親の学びと交流フォーラムの開催等により、親がみずからをとうとぶいわゆる自尊感情を高め、子育てに自信が持てる学習機会の提供をしております。
 また、各地域の公民館では、家庭教育・子育てに関する主催事業を展開し、さらに平成26年度には、生涯学習センターで実施する「いちはら市民大学」においても、子育て支援コースがスタートする予定であります。今後も、学校や地域、子育て支援の関係者と連携を深め、親を育む施策の充実に努めてまいります。

質問
 子どもが、泣き叫んだり、だだをこねたりしているときなどにも、周囲が親子を温かく見守ってあげるような地域でありたいと思っております。
 子どもたちは、家庭生活、学校などでの集団生活、地域活動などを通じて、学び、成長していきます。幼いころから幅広く経験させることは、自分のやりたいことを見つけるために大切なことですので、まさに地域全体で育てることが望まれますが、学齢期の子どもたちにとっては、時間の大半を過ごす学校での影響が大きいと思いますので、次に、学校における育みについてお伺いいたします。
 以前、義務教育の目指すものについて質問した際、山崎前教育長からいただいた御答弁の抜粋です。「子どもたちが、社会に飛び出す巣立ちの日に、一人前の大人として社会に巣立って、自立していく力を十分に備えさせるべく、私たちが、子どもたちに、その基礎を訓練・学習させる教育、訓練・学習させる場、そして訓練・学習させる期間が義務教育ではないか。子どもたちが、将来、大きくなって幸せな生活を送れる、その子どもたちが幸せを追求することへの支援、お手伝いを学校教育がするということ、そして社会の一員として、社会国家を担う役割を果たす人間を育成する、この2つがずっと変わらない学校教育の役割ではなかったのかなと思います」とのお話をいただきました。
 学校においても、子どもたちの自主性を重んじながら、能力や可能性を見つけて、伸ばしていくことが何よりも大切だと思いますが、市原の子どもたちがどのように成長することを目指していらっしゃるのか、白鳥教育長に改めてお伺いいたします。
教育長答弁
 市原が目指す子どもたちの成長についてお答えいたします。
 教育の根本は、生きていくために必要な力を身につけさせることであると考えます。義務教育が目指すところは、人間力を備えた社会人となる基礎を身につけさせることであります。これは、生きる力として、文部科学省が教育改革の中で提唱していることと軌を一にするものだと考えます。その上で、全ての子どもたちが、夢を持って社会に巣立ち、みずからの幸せを求め、生きがいを持って、仕事や生活を送れることこそ、私の考える成長の姿です。
 学校教育においては、このような子どもたちの巣立ちを支えるために、学習や訓練によって身につけなければならない知識や技能などを確実に習得させ、さらに課題解決のために、これらを活用することができる力の育成に取り組んでおります。
 また、社会に出て、人間関係を良好に保つためには、国語教育を中心に、全ての教科、領域において、確かな言語能力を身につけさせる必要があります。なぜなら、言語能力を身につけていなければ、人間関係を築く上で基本となる人の話をしっかり聞くことや、自分の考えを正確に伝えることができなくなってしまうからです。
 そこで、私は、教育長就任直後に、言語能力向上のため、「日本の言の葉 音読・朗読集」を刊行し、全小中学生に配布いたしました。未来ある子どもたちが、豊かな人間関係を基盤に、変化の激しい社会をたくましく生き抜き、社会に貢献できる自立した社会人へと成長できるように、市原市においては、学校、家庭、地域が、互いに手を携え、子どもたちが、夢を実現し、幸せを追求していこうとする主体的な態度を育ててまいりたいと考えます。

質問
 本当に確かな言語能力をつけることは基本だと思います。それ以外にも、基本知識を学んで、それを活用して、問題解決する力を養うということは、学校教育の大きな役割の一つだと思います。現在の市内の学校における基礎学力についてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

学校教育部長答弁
 基礎学力の確実な定着は、子どもたちに、わかる喜び、できた喜びを味わわせ、学習意欲や学力向上の基盤となるものです。4月に、小学校6年生、中学校3年生を対象に行われた全国学力・学習状況調査の国語と算数・数学の現状ですが、小学校では全国平均よりやや低く、中学校では全国平均より5から6ポイント低い状況でございます。引き続き、基礎学力の向上に向けて、学校と一体となって取り組んでまいります。

質問
 今、御答弁で、学力検査の結果、国語、算数・数学が平均以下というようなお話がございましたけれども、これについての原因をどのようにお考えでしょうか。
学校教育部長答弁
 1つは、子どもたちのやる気、そしてみずから学ぼうとする意欲、これを先生方が、いかに指導して子どもたちを主体的に育てていくかというところで、子どもたちの問題と、それから教員の指導力の問題と双方あろうかと思います。あわせて、家庭、そして保護者、地域の協力を得ながら、子どもたちの学力向上を図っていければというふうに考えております。

質問
 この点については、課題としてしっかりと捉えて、今まで以上に力を入れていただきたいと思います。 学力が全てではありませんが、基本的・基礎的な学力は、社会に出ていくためにしっかり身につける必要があると思っております。ぜひ解決に向けて策を講じていただきたいと思います。
 今お話にもございましたが、子ども自身が、楽しいと思うか、あるいは必要だと感じれば、黙っていても、みずからやるものだと思います。その積み重ねで、子どもの自主性を大切にしていけば、自立していくのではないでしょうか。意欲があれば、能力が伸びると思います。授業がおもしろいと思えば、自然にその科目が好きになり、理解するようになるということはよくあることです。
 子どもの興味や好奇心をいかにして引き出すかが、先生方の腕の見せどころです。そのためには、授業の準備にしっかりと時間をかけていただきたいと思いますが、時間に追われている先生方が多いと伺っております。本年9月から教職員の先生方への1人1台パソコン貸与が実施されました。これについては、評価をしておりますが、効果についてはどのようにお考えでしょうか。現場の声を伺いますと、貸与の効果を十分に発揮するには、まだ課題があるように思われますが、あわせて見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 1人1台のパソコンを貸与することの効果として、次の3点が挙げられます。 
 1点目は、校務処理が徐々に効率的に行えるようになり、子どもたちと向き合う時間が徐々にふえてまいりました。
 2点目は、私物のパソコンを使用しないため、ウイルス感染の防止や職員間の情報共有が可能となりました。
 3点目は、情報漏えいを防ぐためのUSB認証キーを利用することで、安心して仕事ができるようになりました。
 課題といたしましては、指導要録や出席簿、成績処理などの事務処理の方法が各学校ごとに異なっていることから、今後、負担軽減を図るためにも、その改善に向けて努めてまいります。

質問
 パソコンが貸与されたというハード面の整備は終わったわけですから、ソフト面についても、しっかり整備していくことで、より有効に活用できるのではないかと思っております。ぜひ充実させていただくようにお願いをいたします。
 子どもたちを育むためには、大人が、興味を持たせるような工夫することが大切だと思います。今後も、先生方が、余裕を持って教え、育むことができるような環境整備を進めていただきたいと思っております。
 教職員の先生方が生き生きとしている学校は、子どもたちも楽しく生き生きしているように感じておりますので、先生方が、やりがいと情熱を持って、子どもたちと向き合う余裕を持つことは非常に大切であると考えます。  県内の学校では、採用の関係で、中堅どころの教員が少なく、今後、若手に指導する手がますます足りなくなると懸念する声も聞かれます。また、基礎学力をしっかりつけ、落ちついた学級運営をするためには、小学校高学年に担任以外の教員をつけるなどの人的配置を厚くする必要があるとも伺っております。このような課題についてどのようにお考えでしょうか、見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
学校教育部長 小学校では、高学年に限らず、どの学年においても、きめ細かな指導が必要であるというふうに考えております。市では、小学校全学級が35人体制となるような人的配置を県下に先駆けて行っております。今後も、きめ細かな教育活動の推進に努めてまいります。

質問
 きめ細やかな教育に心がけていらっしゃるということですが、学校現場にしかわからないような現状があるとも思います。同じ生徒数や同じ教職員数の学校や学年であっても、その実態はさまざまです。基本的に、数による配置であることは理解いたしますが、教員の配置など、現場の状況に対応できる柔軟さが必要な場合もあると思います。現場の声をよく伺いながら、柔軟な対応していただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 教職員数の配置については、県教育委員会が管轄しておりまして、いじめ、不登校、問題行動等への対応や日本語指導や通級指導など、学校の実態に応じた定数以外の特別な配置を行っております。
 さらに、市では、小中学校に学級補助員を配置して、児童生徒の支援、援助を行っており、今後も、学校の実態に応じた支障のない対応が図れるように努めてまいります。

質問
 あわせて、お伺いしたいんですが、自由な立場で子どもにかかわる大人の配置はできないものでしょうか、見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 学校教育においては、教員以外のより多くの大人のかかわりが子どもたちの成長にとって大変有効と考えております。市内の小中学校には、学校ごとに学校支援ボランティアや学生ボランティアが登録されております。特に学生ボランティアについては、大学とも連携し、教員を志望する学生を積極的に受け入れており、授業中の学習支援や部活動支援など、さまざまな分野で子どもたちにかかわっております。

質問
 学生ボランティアの方にも手伝っていただけるということで、それは、学生にとっても、これから先生に向いているかどうか、その適性を判断する上でも、自分が本当にやりたい仕事なのかを自分で考える面でも、とても有効なものだと思いますので、これからもぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、教育委員会と学校現場との連携についてお伺いいたします。
 市内には、小学校43校、中学校22校がありますが、言うまでもなく、教育の効果を上げていくためには、教育委員会と学校現場が、同じ思いを共有することが不可欠です。教育委員会からの連絡をスムーズに行い、現場と相談しながら実践していくために、また現場の声を拾い上げ、教育委員会に対して気軽に相談できるようにするために、連絡調整体制の強化が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 子どもたちの教育のためには、学校現場と教育委員会が一体となって、教育活動を進めることが重要であると考えております。現在、学校との連絡調整体制は、指導主事による計画訪問や要請訪問、校長会や教頭会との連携、学校運営アドバイザーの派遣、産業医の職場巡視等を通して、その強化に努めております。今後も、学校現場の声を拾い上げ、教育委員会に気軽に相談できる体制づくりを進めてまいります。

質問
 学校運営アドバイザーの活用や学校訪問などもされているということで、安心をいたしましたが、本市では、小中学校65校を抱えておりますので、仕組みを重層化していくなど、体制をより充実させていくことが必要ではないかと思います。現場を熟知した方による学校生活に即したアドバイスができるような仕組みが大切だと思いますので、今後も体制の強化に努めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 私は、教育は未来の社会への先行投資だと思います。先ほど学力についての課題もありましたが、きめ細やかな教育を行い、学力をつけるとともに、人間力を育むために、現状をしっかりと直視した上で、予算的にも御配慮いただけますよう強く要望させていただきます。
 先生方には、これからも、愛情を持って、子どもたちのことを真剣に考え、そして日本の未来を育てているというやりがいと情熱、誇りを持って、教育に当たっていただきたいと思います。
 次に、支援を必要とする育みについて伺います。
 子どもたちの才能や子どもたちが育つ環境は千差万別であり、たとえどこかの能力や役割が十分に果たせなかったとしても、違う形で補うことができれば、豊かな心を育んでいくことができると思います。
 ダウン症であり、書家として有名な金澤翔子さんは、母親が才能を発見し、育てたことで、見事な能力を開花された方です。障がいを持っていると言われていても、それを個性とし、能力を発揮できることを証明されております。
 義務教育においても、さまざまな声の対応が求められておりますが、特に障がいを持つ子どもたちに対して、能力を育むために、どのような実践をされているのか、お伺いいたします。

学校教育部長答弁
 特別な支援が必要な児童生徒については、いちはら相談支援ファイル「スクラム」を活用いたしまして、関係機関と連携を図り、障がいの状況に応じた教育課程を編成し、子どもたちのニーズに合わせた指導を行っております。
 また、将来の社会自立に向けて、宿泊学習などの体験を取り入れた生活単元学習や、自分たちの制作したものを販売する作業学習などを実施しております。

質問
 障がいを持つ子どもたちに対しても、一人一人の能力や可能性を引き出せるように、しっかりとこれからも向き合っていただきたいと思います。
 また、デリケートな部分があると思いますので、相談体制も含め、親身になった対応をお願いいたします。
 本市では、県費によるスクールカウンセラーに加え、スクールカウンセラーアシスタントを全中学校に派遣しております。この制度は、大変好評で、ありがたいという声を伺っておりますが、小学校にも派遣していただきたいという根強い要望があります。限られた学校生活を有意義なものにするために、早急な対応をしていただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。

学校教育部長答弁
 小学校における問題行動の低年齢化や長期欠席や不登校の児童に対しては、早期の対応が効果的であることから、小学校へのスクールカウンセラー配置の必要性を認識しております。現在、中学校に配置しているスクールカウンセラーやアシスタントが、小学校での諸課題に対応しているところでございますが、小学校からのニーズが高いことから、小学校へのスクールカウンセラーの配置を今後も引き続き県へ要望してまいります。
 また、市においても、小学校専属の相談員を配置できるよう、関係部局と協議を進めているところでございます。

質問
 子どもたちの成長はあっという間ですので、一年一年を大切にしていただきたいと思います。早急な対応を重ねてお願いいたします。
 次に、世界を意識した教育について伺います。
 冒頭でも申し上げましたが、多様な価値観を受け入れながら、柔軟にこれからの時代を生き抜く人材を育てるために、まず日本の歴史文化をしっかりと勉強することが望まれます。日本の歴史文化、市原の歴史文化をしっかりと学び、理解を深めることが大切だと思いますが、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 日本や市原の歴史文化については、小学校3年生で地域の学習、6年生では日本及び地域の歴史を学んでおり、中学校では日本や地域の歴史学習を進めております。
 本市においては、独自に作成しました社会科の副読本「私たちの市原市」を小中学校に配布しまして、副読本を生かした調べ学習や校外学習を行い、市原の歴史や身近な文化について理解を深めているところでございます。

質問
 学校で知識として学習するだけではなくて、ぜひ五感を使って体験するということも、非常に興味を持たせるためには大切だと思っておりますので、機会を捉えて、実践していただきたいと思います。
 先日、市制施行50周年記念歴史セミナーということで、「騒乱の上総国府を治める」というこの講演会に私も参加させていただきました。市原市が、稲荷台古墳や国分寺、国分尼寺、それだけではなくて、頼朝とも深い関係があるというようなお話を伺いまして、大変興味を持ちました。市原という土地は、本当に興味深い土地だなと思っております。ぜひ、繰り返しになりますが、子どもたちが、興味を持てるような工夫をお願いいたします。
 外国の方々と交流いたしますと、自国の歴史文化や現状について、よく理解をされていて、その上で、自分の意見をしっかりと持っていることに感心いたします。日本には、他国にはない貴重な歴史文化がありますので、外国の方も、関心を持たれており、日本人よりも詳しく日本のことを御存じの方も多いように思います。
 富士山や和食の食文化が世界文化遺産に登録されましたが、まさに日本の歴史文化が、誇るべき文化であることを世界が認めているということです。私たちも、日本について理解を深め、同じステージに立った際には、日本を少しでも理解していただけるよう努めていきたいと思います。
 今年度、行われますいちはらアート×ミックスでは、海外の芸術家とのコラボがあると伺っておりますし、姉妹都市であるモビール市などとの交流もあります。そして、市内には、多くの外国から来られた方々も生活しておられます。また、本市には、世界に誇れる臨海部の企業があります。国際的な価値観を育むには、恵まれた環境だと感じますので、これらを生かす機会を充実させていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

学校教育部長答弁
 国際的な価値観を持った子どもたちを育てていくには、外国人と触れ合う機会をふやしていくことが大切であると考えております。本市においては、平成8年度より、市内小中学校5校が、姉妹都市モビールなどの海外の小中学校と手紙や作品等の交流を行っております。また、市内在住の外国人の方をゲストティーチャーとして招き、外国の文化や習慣に触れる学習活動を取り入れている学校もあり、今後も、外国人と触れ合う学習活動の機会をふやし、子どもたちの国際理解教育の推進に努めてまいります。

質問
 これについても、まだまだ限られた学校数なようですので、他部署と連携しながら、機会を広げていっていただきたいと思います。
 教育は、国の未来をつくり上げていく基本です。今後の動向を鑑みますと、子どもたちの育ちを総合的に応援するための組織体制の強化が必要だと考えます。これまでも、子育て支援部と教育委員会の連携強化につきましては、再三お願いをしてまいりましたし、平成23年第1回定例会の質問では、子ども未来部について提案させていただいたところですが、市制施行50周年を迎え、これからの市原市を考える際、組織の再編を考える時期に来ているのではないでしょうか。子どもに関係する部署を一元化した上で、他部署との連携を図る必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

子育て支援部長答弁
 現在、本市においては、子どもに関する施策を担当する部門として、主に子育て支援部、保健福祉部及び教育委員会とし、それぞれの施策の執行に当たっては、実施計画や次世代育成支援行動計画に基づき、連携を図りながら、推進しておるところでございます。
 御質問の子どもに関する部署の一元化については、全国的に、従来のいわゆる幼保一元化の議論の中で、福祉、教育という縦割り組織ではなく、子どもを対象とした組織の設置を検討する必要があるとされてきました。これらを踏まえ、幾つかの市町村では、子どもに関する部署を一元化している例がございます。例えば、長岡市においては、子どもの成長に合わせ、一貫した支援体制を構築するため、母子保健、保育園、子育て支援を教育委員会に統合したとのことでございます。
 さらに、国においては、子ども・子育て支援新制度において、幼保連携型認定こども園について、認可、指導監督が一本化されることや、認定こども園、幼稚園及び保育所を通じた共通の給付が創設されることを踏まえ、これらの事務を一元的に実施する担当部署を整備するなど、各市町村に求めております。
 市といたしましては、これらを踏まえ、とりわけ幼児期の保育・教育環境の充実が課題となっておりますことから、新制度への対応も含め、施策のより効果的・効率的な執行を図るため、平成26年度以降の子どもに関する施策を担当する組織体制の強化等について、関係部署と協議・検討しているところでございます。

質問
 子どもがおなかの中にいるときから青少年になるまで、途切れのないその発達に合わせた施策を展開していくためには、組織の一体化が必要ではないかと思っております。本市でも、子育ち支援条例ができましたけれども、子育て支援から子育ち支援に、それを展開するためには、教育委員会の力がとても重要になってくると思います。ぜひ前向きな検討をお願いいたします。
 次に、大人も含めた育みについて伺います。
 教育は、子どもに関してだけではなく、成人後も大切なことであります。生活保護受給者が急増している昨今、生活保護の就労支援、脱生活保護がますます重要になっております。特に、若い世代で、長い間、働くことから遠ざかっていた方が、就労に至るまでには、職場体験や中間的就労することで、徐々に規則正しい生活リズムに戻していくこと、また挨拶やパソコンの使い方などの研修を受け、就職に対する意欲を高めることが大切だと思います。親が生活保護を受給している、その子どもたちも、受給が多いという貧困の連鎖はよく耳にいたしますが、この連鎖を断ち切り、子ども世代の社会的自立を確立していくことが重要です。
 アルバイトとインターンを組み合わせた「バイターン」という言葉がありますが、これは、職場で、3日程度の無休のインターンシップ(職業体験)をした後、気に入ればそのままアルバイトに切りかえ、正社員就職を模索するという仕組みです。実際に働いてみることで、向き、不向きがわかるというメリットがあり、地域型社会課題解決モデルとも言われております。
 職場体験をしてアルバイトへ、そして就労へと結びつける展開や、個人に合った職場をマッチングすることなど、働こうという意欲を高め、自助を応援する公助が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

生涯学習部長答弁
 若者世代の社会的自立を確立していく上で、若者の働こうとする意欲を高め、社会への適応力を向上させるための行政の支援は必要であると認識しております。そこで、具体的な取り組みとしましては、ニートやひきこもりなど、さまざまな困難を抱える子どもや若者、その家族に対して、昨年4月に開設しました「子ども・若者総合相談窓口」により、必要な情報提供や助言、適切な専門機関への紹介などを行っているところであります。
 また、働くことや自立に悩みを抱える若者と、その保護者の方を対象にした支援としましては、不安や就労に向けた問題を解決するため、市原市を含む千葉南東部6自治体の連携により、平成25年7月1日に厚生労働省認定事業の「ちば南東部地域サポートステーション」が、茂原市を拠点に開設されました。この施設は、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談や各種プログラムの実施、就労体験、また学校連携によるキャリア教育など、就労に関する基本的な能力の養成にとどまらず、職業意識の啓発や社会適応支援を含む継続的かつ包括的な支援を行う機関であります。
 本市といたしましては、事業に係る広報周知や出張相談時の施設提供、情報交換など、同施設との連携を積極的に実施しております。今後も、子ども・若者育成支援関係機関との連携や相談事業の充実を図り、働こうとする若者の支援に努めてまいります。

質問
 次に、平和や命を大切にする心の育みについて伺います。
 先日、鹿児島県にあります知覧特攻平和会館を訪れる機会がありました。これまでも、知識としては知っておりましたし、二度と繰り返してはならないとは思っておりましたが、出撃した若い特攻隊員たちの直筆の手紙を読み進めるにつれ、絶対に同じ思いをする人が出てはいけないと思うと同時に、これからの日本をよろしくと頼まれた者としての使命感が沸き上がってまいりました。まさに、今現在に宛てて書かれた手紙のように感じられた瞬間でした。このようなこともあり、改めて知識として知るだけではなく、今の自分が、実際に五感で感じることが大切だと痛感した次第です。
 今月、映画が公開されるようですが、ミリオンヒット作「永遠の0」を私も読みました。たとえ戦争に勝利しても、多大な人命が失われ、物が破壊されること、敵であっても、同じ人間であり、家族、友人がいることを忘れてはなりません。命は一つしかありません。戦争は人間のエゴそのものだと思います。再び同じことを繰り返さないためにも、基本となるのは、一人一人を認め合い、違いを受け入れる、命を大切にする教育だと思います。
 御存じのように、市原市は、非核平和都市宣言もしております。平和や命を大切にする心を育む教育についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

学校教育部長答弁
 学校教育においては、将来を担う子どもたちが、平和の大切さを知り、世平和に寄与できる人として育つことを強く願っています。本市の子どもたちは、社会科を初め国際理解教育や道徳教育において、全ての人の人権が守られ、平和な世界を築くことの大切さについて学んでおります。今後も、あらゆる機会を捉え、戦争の悲惨さ、平和や命の大切さについて、児童生徒の発達段階に合わせた平和教育の推進に努めてまいります。

質問
 国では、8月15日を、戦没者を追悼し、平和を祈念する日と定め、全国戦没者追悼式を開催しております。本市でも、毎年11月に、戦没者の御遺族を対象に、戦没者追悼式を開催しており、私も、毎年、出席させていただいておりますが、年々、参加者が減少しているように思います。御遺族の方の思い出の言葉は涙を誘います。平和のとうとさと戦争の悲惨さを感じるこの戦没者追悼式こそ、市民に周知していただき、さきの大戦でお亡くなりになられた方々に、献花をささげ、平和への願いを市民共通の願いとして認識する場にしていただきたいと考えております。
 戦争という悲惨な体験を二度と繰り返さないために、私たちが受け継いだ平和を愛する心、日本国の未来を託された思いを次の世代に継承していくことは、今を生きる私たちの使命ではないでしょうか。戦後68年が経過し、そのあり方を検討すべき時期に来ていると思いますが、見解をお伺いいたします。

保健福祉部長答弁
 戦没者追悼式は、さきの大戦において亡くなられた方々に対して、市を挙げて、追悼の誠をささげるために、市遺族会の協力を得まして、実施しているものでございます。国及び県におきましても、遺族代表の参列をいただき、実施しておりますことから、本市におきましても、市遺族会と協議をしながら、これまでと同様の戦没者追悼式をとり行ってまいりたいと考えております。

質問
 決して戦没者追悼式を軽んじているわけではありません。むしろ、その逆で、重く受けとめて、これから先の未来に、その思い、願いをつなげていくために、どうしていくべきかを考える時期に来ているのではないかということを申し上げているわけです。
 追悼式と違った形で行うというやり方もあると思いますので、ぜひ、部の枠を超えて、どのようなやり方が、あり方が望ましいのか、ぜひ検討していただきたいと思っております。これからは、無駄に争うのではなく、調和、平和といった日本の和の心を広く世界に広げていく時代であると感じております。市原市としても、その一翼を担えるよう期待しております。
 次に、市民との協働について伺います。
 本市では、平成18年度から、市民活動団体の支援策として、市民活動補助事業を行い、市民力の向上を図っているところです。これまで多くの団体が、この事業を活用して活動してこられました。事業の目的が、地域課題の解決にみずから取り組んでいる市民活動団体が提案する事業に対し、市が補助を行うことで、団体の組織基盤の強化や活動の継続性、成長を支援し、市民の認知と信頼を引き上げ、団体の自立促進と活動領域の広域化を図るということですが、この事業により、自立し、継続して活動されている団体はどのくらいあるのでしょうか。地域に必要な活動が、継続できない状況があるのではないかと懸念されますが、現状についてお伺いいたします。

市民生活部長答弁
 本事業は、市民活動団体が、地域のさまざまな課題を取り上げ、自主的、自発的に取り組む事業に対して支援するものであり、補助額として、10万円を上限としたコースと、30万円を上限としたコースを設けております。提案事業が採択された場合には、各コース2回、合計4回まで補助金を交付する制度となっております。
 事業を開始した平成18年度から今年度までの間に、この事業により補助金の交付を受けた団体は32団体であり、現在、活動を継続している団体は、今年度に新規に補助を受けた3団体も含め29団体あります。
 一方、活動を休止しているもの、または活動状況が不明な団体につきましては3団体ありますが、イベント開催など、所期の目的を達成したものや、団体構成員が忙しく、活動まで手が回らないなどの事情があると伺っております。このように、個々に事情があり、継続に至っていない団体があるものの、補助を受けた団体の多くが、引き続き活動を行っていることなどから、団体の立ち上げ、自立支援を目的とした市民活動支援補助事業につきましては、一定の成果・効果を上げているものと考えております。

質問
 それを伺いまして安心いたしました。 協働のあり方についてですけれども、例えば千葉市では、市民主体のまちづくりを推進するために、市民活動団体や企業等が持つノウハウやネットワーク、行動力を生かした協働事業提案を募集しております。募集する提案には、事業改善型提案、課題解決型提案、社会貢献型提案があります。事業改善型提案は、現に千葉市が実施している事業に関する事業提案で、提案団体と市が協働で事業を実施することで、事務事業の改善や市民サービスの質の向上につながるもの、課題解決型提案は、千葉市が設定する行政課題に、提案団体と市が協働で取り組むことで、効果的・効率的な課題解決につながる事業提案であり、社会貢献型提案は、企業等の社会貢献活動と市の事業をマッチングさせることで、よりよい市民サービスの提供につながる事業提案だということです。
 市原市でも、市民との協働を進める中で、市の事業との関係を位置づけることが必要な場合もあるのではないかと考えますが、今後の事業の方向性についてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。

市民生活部長答弁
 本市では、議員から御紹介のありました千葉市のような協働事業提案制度はございませんが、協働事業の推進体制として、庁内各部署に協働推進員を配置し、全庁にわたり、協働の視点から、事務事業を立案、または見直すことにより、例えば交通空白地域対策や環境美化など、さまざまな分野で協働事業に発展しているケースもあらわれてきており、市民や企業と連携した協働の推進が図られつつあるものと考えております。
 確かに、千葉市のように、市民との協働を進める中で、市の事業との関係を整理し、市民や企業に提示しながら、提案を募集する方法は、効果的で参考になるものと考えておりますが、一方で、あらかじめ入念に市民等と課題を共有するための関係づくりを行う必要もあり、千葉市においても、制度化しても簡単には進まないという実情もあると伺っております。
 そこで、現在、本市におきましては、民間活動団体代表者、有識者等で組織する協働のいちはら・まちづくり会議や、庁内の協働推進員などが連携しながら、協働に位置づけている既存事業の再点検を行うとともに、市民等との協働により、改善が期待できる課題のピックアップを始めたところでございます。
 今後は、こうした取り組みを重ねていき、また千葉市のような取り組みも参考にしながら、市と市民等との協働における役割分担や、市の事業に対する市民等のかかわり方などを整理し、よりよい協働が図られる仕組みづくりについて検討してまいります。

質問
 次に、具体的な施策について伺います。 市の事業との連携の一例ですが、国分寺公民館では、公民館事業として、国分寺などの文化財のガイド育成講座を行っておられます。ぜひ、受講修了者の活躍の場として、市の観光施策などとの連携を進めていただきたいと思います。
 ちなみに、先日、視察いたしました伊勢市では、お伊勢さん観光案内人の方は、商工会議所から派遣されていらっしゃいました。伊勢商工会議所が主催する検定「お伊勢さん」上級編に合格した方が案内人として活躍されています。
 本市においても、公民館事業や10月に開設した市民大学事業などと広く連携していただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

生涯学習部長答弁
 教育委員会では、平成20年8月に市原市生涯学習推進プランを策定し、学ぶ・活かす・つなぐの学びの循環により、市民の力、地域の力を培い、学習の成果を生かした市民が主役となるまちづくりの実現を目指しております。市内9公民館で企画されている講座は、学習した成果を家庭生活や地域生活の中で生かしていく学びの循環の具現化を目指して実施しております。
 一例を申しますと、公民館のパソコン上級講座を受講した方が、次年度のパソコン初級講座のアシスタントとして活躍していただいております。
 また、本年10月11日にいちはら市民大学を開校いたしました。本大学の目的は、市民力の向上を図り、学びの成果をまちづくりに生かす生涯学習によるまちづくりの実践を目指すものであります。本大学の専門コースでは、子育て支援、観光、健康づくり、環境の4つのコースがあり、担当する関係部局と教育委員会が連携し、講座を企画、運営してまいります。修了後は、ファミリーサポートセンター協力会員、観光マイスター、いちはら健康大使などの資格が各コース修了者に付与されます。本講座の修了者には、まちづくりに関する専門的知識を身につけ、郷土市原への理解と愛着が深まることを期待しております。
 今後、公民館事業や市民大学の講座を受講された方々が、さまざまな分野において、身につけた知識を生かし、活躍の場を持てるよう、庁内、庁外の関係機関と協議・連携してまいりたいと考えております。

質問
 市民有志の方によるかずさのくに国府探検会も発足されたと聞いております。これからも、熱意ある市民の力を生かしていただきたいと思います。いちはら市民大学の成果も楽しみにしております。 
 次に、市民による消火活動について伺います。
 今後、大地震がいつ起きてもおかしくないと言われておりますが、災害時には、市民の力なくして対応は不可能です。本市でも、消防団や自主防災会を立ち上げるなどの動きがあるところですが、地震後の火災発生をいかにして食いとめるかが、被害を拡大させないためには重要だと考えます。実際問題として、大地震が発生し、火災が各地で起こってしまった際には、消防車が、各火災発生場所に到着する可能性は低いのではないかと思われます。現在は、消防車が到着しなければ、防火水槽や消火栓など、開栓できないと聞いておりますが、県との協議が行われ、地域で利用できるよう、柔軟な対応がなされていると聞いております。
 一方で、延焼をできるだけ防ぐために、自主防災会などにより、共助の一環として、消火栓等を使わせていただきたいと地域からの要望もございます。いつ起こるかわからない事態に備え、市として早急な決断をしていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

危機管理監答弁
 議員御指摘のとおり、大規模な災害が発生した際には、公助だけでは限界がありますことから、近隣の方々が協力しながら、防災活動に取り組むといういわゆる共助が必要となります。こうしたことから、自主防災会等の防火水槽や消火栓、排水栓などの利用を可とし、住民による初期消火活動の充実を図っている自治体がある一方で、消火栓などの取り扱いは、簡単なものではなく、場合によっては、けがや事故などが危惧されることから、住民の安全や施設管理上の観点などから、利用を不可としている自治体もございます。
 本市におきましても、例えば住民が、消火活動中に延焼が拡大した場合の避難のタイミングの難しさや、場合によっては、消火隊の活動に支障を及ぼすおそれがあること、消火栓などが破損した場合の補償のあり方、水質への影響など、使用に当たっての課題がさまざまありますことから、これまでは使用を認めていなかったところでございます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、いざ、災害が発生した場合の共助の重要性は、過去の大規模災害の経験からも明らかであり、県水道局におきましても、自主防災会等の排水栓の利用につきまして前向きに検討していると伺っておりますので、関係します近隣市等とともに、今後、使用に向けての課題を関係機関と協議・調整してまいりたいというふうに考えております。
質問
  次に、支え合いの仕組みづくりについて伺います。
 市内各地区において、高齢化が進み、高齢者のみの世帯や独居の方がふえている現状、また子ども世帯が近くにいても、共働きであるといった現状があります。そのような中、簡単な家事や見守り、病院への付き添いなど、介護保険の対象にならない方の支援が必要とされていると感じております。今後、このような現状に対応する支え合いの仕組みづくりが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

保健福祉部長答弁
 本市では、第6次高齢者保健福祉計画におきまして、「だれもが、生涯にわたってその人らしく、生きがいを持って暮らせるともに支え合う福祉社会の実現」、これを基本理念に掲げまして、高齢者が、住みなれた地域で、元気で生き生きと暮らし続けることができるよう、地域や社会で支える仕組みづくりに取り組んでおります。
 現在、高齢者健康体操普及員派遣事業、認知症高齢者とその家族を支援する認知症サポーター養成あるいは健康生活おとどけ隊等、市民との協働によるさまざまな事業を実施しており、こうした事業を通じまして、高齢者のサポート事業に努めているところでございます。
 また、社会福祉協議会におきましても、ホームケアサービス、ひとり暮らし高齢者等への友愛訪問あるいは送迎ボランティアサービス事業等、多くの事業を実施し、高齢者の生活支援に取り組んでおります。
 今後も、高齢者のニーズを捉えながら、市及び社会福祉協議会による地域福祉活動への支援を図りながら、支え合いの仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。

質問
 本年、社会福祉協議会の各支部が地区社協へ移行いたしました。より地域の実情に合った支え合い、助け合いができると期待しているところです。身近に相談できる地区社協の拠点ができた地域については、相談に来られる方が少しずつふえているようです。現在、地区社協が実施主体となって、子育て世代から高齢者世代まで、幅広く日常生活における支援をされているところもありますが、ボランティアに頼っており、今後の活動の継続性を考えますと、仕組みを進化させていく必要を感じております。
 現在、市が行っているファミリーサポートセンター事業は、子育て世代のみを対象として行われているものですが、高齢化が進んでいく中において、その世代もサポートしていく必要があると思います。このような仕組みづくりについてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。

保健福祉部長答弁
 本市では、市原市地域福祉計画に基づきまして、高齢者や子どもなどを初め、誰もが住みなれた地域で自立して暮らせるまちの実現を目指しております。この実現のために、地域福祉計画では、1、支え合い・助け合いのあるまち、2、身近にふれ合える場のあるまち、3、健康で生きがいの持てるまち、4、安全・安心で快適に暮らせるまちという4つの目標を掲げております。
 また、地域住民、福祉事業所等、市原市社会福祉協議会、市を4つの推進主体と定めまして、その基本的な役割を示すことで、地域福祉活動を効果的に推進することとしております。具体的な取り組み事例を申し上げますと、市原市社会福祉協議会と連携しながら、小域福祉ネットワークの設置あるいは安心生活見守り支援事業の実施を市内全域で推進しているところでございます。今後も、引き続き、地域福祉計画に基づいた仕組みづくりを進めてまいりたいというふうに考えております。質問
 地区社協で、子どもの預かりなどを行っているところもありますので、行く行くは、ファミリーサポートセンター事業の実施主体も地区社協とするなど、総合的な生活全般にわたる地域の支援サービスを、地区社協を中心として、展開する必要性を感じております。今後も、社会福祉協議会を通じて、地区社協が地域福祉のかなめとして成長していくような施策展開をお願いいたします。
 福祉においても、携わる人材の育成・確保は不可欠です。これについても、先ほど申し上げました生涯学習関係の事業などとの連携が必要ではないかと思います。保健福祉部として、福祉にかかわる人材の育成・確保について、見解をお伺いいたします。

保健福祉部長答弁
 地域住民を主体とする地域福祉活動を持続させ、さらに活性化させていくためには、それぞれの地域において、福祉活動を推進する人材を確保し、育成することが重要であると認識しております。このため、第2期市原市地域福祉計画では、地域福祉活動により多くの方が参加していただけるよう、主体の拡大を重点的な取り組みの一つとして掲げているところでございます。主体の拡大に当たりましては、地域福祉活動の認知度の向上や小域福祉ネットワークの設置促進などを図ることで、主体の裾野を広げてまいります。
 また、市原市社会福祉協議会主催による研修会、先進地視察などを通じた人材育成や、小域福祉ネットワークと社会福祉協議会とのさらなる連携を構築することで、主体の強化にも取り組んでいるところでございます。

質問
 次に、環境に負荷の少ない社会づくりについてお伺いいたします。
 日本は、エネルギーの大半を輸入に頼っており、自国で賄え、持続的に活用できるエネルギーの確保は課題の一つであります。いざというときに頼りになり、地産地消できる自然エネルギーの価値は高まる一方で、昨年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まってからは、急激に普及してきております。個人住宅のみならず、各地の自治体においても、積極的な動きが見られております。
 先日の新聞報道によれば、香取市も、年度内の発電開始を目指し、太陽光発電設備の建設に着手したそうであります。年間予想売電額は約9,000万円、年間平均収益額を約4,500万円と見込んでいるそうです。
 本市においても、改訂市原市環境基本計画の中で、太陽光発電システムの設置補助、省資源、省エネルギーに関する普及啓発、新エネルギーシステムの構築のための支援を位置づけ、実施しているところですが、今後の再生可能エネルギーの利用推進やエネルギー政策についてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。

環境部長答弁
 本市の改訂市原市環境基本計画では、環境課題に対応する基本的方向の一つとして、エネルギーの有効利用を位置づけております。また、環境と経済との両立や、市民・事業者・市の協働等を基本方針とした市原市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)におきましては、基本的な施策として、再生可能エネルギーの利用促進等を掲げて、太陽光発電の普及促進等の各種事業に取り組んでいるところであります。
 そのほか、本市の特徴といたしまして、臨海部の石油化学コンビナートの工場等から排出される低温廃熱等の利用につきましても、調査・研究を行っているところであります。
 今後とも、各種計画に基づき、本市の自然的、社会的条件に合った再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。

質問
 遊休地などといった市の財産を利用して、太陽光発電を行うことは、環境への負荷を減らし、地産地消のエネルギーを生み出すことができる非常に有効な施策だと思います。経済部としてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

経済部長答弁
 現在、市が所有する遊休地等を活用した太陽光発電設備設置の可能性等について、庁内関係部による意見交換を進め、取り組み可能地の検討を行っているところでございます。事業の具体化に向けては、直営、委託、用地の貸し付け等の手法があると聞いておりますので、今後も引き続き、他自治体の事例を参考にして、検討を進めてまいりたいと考えております。

質問
 応援しておりますので、ぜひ前向きに検討していただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、緑の基本計画について伺います。
 本市では、平成21年に緑の基本計画を策定いたしました。20年後を見据えて、環境と共生する持続可能な都市を構築するため、市民、事業所、行政が一体となって、その実現に向けた取り組みを進めていくこととしております。この計画は、次期総合計画にも引き継がれていくもので、未来に向けた本市の環境と共生する持続可能な都市づくりの根幹をなす計画の一つであると思っております。
 そこで、これまでの成果を踏まえた今後の進め方についてお伺いいたします。

都市整備部長答弁
 本計画は、環境、景観、農林業、教育、福祉など、幅広い分野にまたがり、39の施策で構成されているため、まずは先導的な役割を担う重点施策を中心に、16項目の行動指針としてまとめ、各種の緑の施策を推進してまいりました。これらの取り組みによる成果につきましては、市街地における緑被率などは約8%から9%へ向上しており、市民1人当たりの都市公園の面積につきましても、8平方メートルから9.17平方メートルと増加をしております。
 整備面につきましては、街区公園等の整備を初め、25年度からは、上総更級公園を供用開始するとともに、現在、地域の皆様と協働して、南青柳公園などの整備などに着手しており、市民にも親しまれる空間として、またまちづくりの拠点として、整備を進めております。そのほかにも、公園愛護団体の育成・支援、緑の保全・再生という視点から、企業、市民参加の里山づくりや河川環境整備などにおいて、さまざまな取り組みがなされております。
 今後は、こうした取り組みの成果を踏まえ、引き続き39の施策を中心に、緑の保全、創出、適正な管理などに努めてまいります。また、常に情報発信し、的確に市民ニーズが反映できるよう、計画の見直しも視野に入れ、市民が安心して健康で快適に暮らせる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

質問
 この計画の中には、山林、農地などの既存緑地の保全も含まれております。未来を考える際、増加している耕作放棄地や荒れてしまった山林を保全・活用していく必要があります。里山には、水、食べ物、燃料など、生きるために必要なものが実際に存在しています。里山という資源を利用して、お金に縛られ過ぎず、もっと人間らしく幸せに暮らしていこうという考え方に基づいて、原価ゼロ円からの経済再生、コミュニティー復活を果たし、安全保障と地域経済の自立をもたらすバックアップシステムとして、里山資本主義を目指す動きがあります。マネー資本主義の生んだひずみを補う豊かさを育むものだと私は感じております。そして、新しい価値観に転換しつつある今日、これからの社会構造を築いていくための一つの観点になるのではないかと考えております。
 本市においても、臨海部の企業を初めとする産業と、中部、南部における産業とが両輪となっていくことが、財政的な面においても、環境との共生の面においても、持続可能な都市を目指す上で重要であると考えます。これから次期総合計画を検討する段階に入るわけですが、本市の持続可能な豊かで幸せに輝く未来をつくり上げていくために、この緑の基本計画の考え方を踏まえて、検討を進めていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

都市整備部長答弁
 議員御指摘の事例は、バブル崩壊後、さらに東日本大震災以降の経済支出には、生活環境に対する価値観の変化を捉え、お金をかけず、里山や耕作放棄地あるいは観光資源など、今あるものを最大限に活用し、新しい概念で、地域経済やコミュニティーを創生していく事例として、大変興味深い事例であると捉えております。今後は、緑の基本計画に基づく各種施策の推進や見直しに当たっては、市民の価値観の変化や地域特性にも十分配慮し、里山や貴重な田園環境などの資源を生かすという視点を加え、どのような施策が展開できるのか、また実施の可能性や施策内容などを関係部局と十分調整し、計画への反映を検討してまいりたいと考えております。

質問
 最先端を行く次世代産業と里山資本主義は、相反するものではありません。臨海部の企業などとも連携し、民間の力を生かして進めていくことができると思っております。あらゆる部署と連携して、保全はもちろん、発想の転換や柔軟な考え方を持って、活用まで踏み込んで考えていただきたいと思います。ぜひチャレンジする勇気を持って、施策を進めていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

経済部長答弁
 本市南部地域は、豊かな自然の宝庫であり、美しい渓谷や里山は、多くの観光客等から評価される本市の魅力の一つでございます。本年3月から始まるいちはらアート×ミックスは、この豊かな自然を舞台に、アートを媒介して、地域や経済を活性化させようとする取り組みでございます。
 また、アート×ミックスは、地域に眠っている資源を掘り起こし、負のイメージが強い廃校や廃屋を活用し、地域に新しい産業を起こし、雇用を創出することも狙いの一つとしております。このような取り組みと呼応し、山小川・田尾地区では、農家が中心となり、来年3月に観光農園を開設することとなり、市も積極的に支援しているところでございます。

以上で終了しました。