令和4年第1回定例会で菊地洋己議員が代表質問

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1 総合計画について
本市の総合計画は、「トータルシステムの構築」「個別計画の統合化」「効果検証の実施」「総合計画審議会による評価検証」の4つが特徴であると認識している。市長は、これまでの5年間の取組をどう総括し、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたい。
小出市長 私は、「計画は作って終わりではなく、実行し成果をあげてこその計画である」との強い信念の下、「トータルシステムの構築と実行」、「対話と連携」の2つを柱に総合計画を中心とした行政経営を推進してまいりました。
1点目の「トータルシステムの構築と実行」では、常に市民ニーズを的確に捉え、社会経済情勢を反映した施策を展開するため、計画に掲げる各種指標の成果検証及び外部評価に基づき、変革方針を定め、計画・予算・改革の一体化により、実行計画を策定することで、施策効果を高めてまいりました。
また、実行計画においては、ローリング方式を導入し、3年間の計画を毎年度策定することにより、柔軟かつスピード感を持って施策を展開してまいりました。
私は、子どもたちを熱中症による健康被害から守るため、長年の懸案事項であった小中学校の全普通教室等へエアコンの一斉整備を決断いたしました。
短期間で整備を完了した結果、新型コロナウイルス感染症が拡大し、夏季休業を短縮した際も、快適な環境下での授業を実施することができました。
2点目の「対話と連携」では、市民、各種団体、企業など多くの皆様との対話の場である、未来創生ミーティング、いちはら未来会議、各種ワークショップにおいて、私自ら直接対話を行うことで、スピード感を持って施策に反映してまいりました。
さらに、地域課題の解決に向け、企業、大学等との公民連携によるまちづくり、周辺自治体との広域連携にもしっかりと取り組んでまいりました。
対話と連携による取組として、地域防災力を高めるため、地区防災計画の策定に取り組むことにより、多くの市民が災害を自分事として捉え、地域で支えあう意識の醸成に繋げてまいりました。
また、全ての市職員が同じ方向を向いて目標達成に挑戦し続けるため、年3回のシーズンレビューにおいて、私と職員で市の現状や課題について対話を重ね、今、市民のために何をすべきかを常に考え、実行する総合行政を推進してまいりました。
子育て世代に選ばれるまちを目指し、市民ニーズの変化を捉え、youホールを、子どもと親を徹底的に応援する施設として「(仮称)いちはら子ども未来館」にリニューアルするとともに、隣接する上総更級公園にインクルーシブ広場を併せて整備することで、全庁一丸となってエリア価値の向上に向けた取組に繋げてまいりました。
総合計画の後半5年がスタートする今、最も重要な課題は、活力ある社会が将来にわたって持続できるよう、2026年の人口27万人の堅持であります。
そこで、私は、部門間連携を更に推進するとともに、公民連携によるプロジェクトの充実・加速化など、あらゆる力を結集し、2026年の人口27万人の堅持を実現してまいります。
激甚化、頻発化する災害に対応する防災力の強化や、新型コロナウイルスの影響による新たな生活様式への対応など、前回の基本計画改訂後に生じた社会経済情勢の変化を見据え、総合計画の目標達成に向け更なる施策の強化、連携を図る必要があることから、新年度から基本計画の改訂に着手してまいります。
私は、「変革と創造」の理念の下、基本計画の改訂に併せ、実行計画を更に実効性のあるものに磨き上げることで、必ずや目指す都市像を実現してまいります。

人口減少を克服するために、何を優先的に取り組むのか明確にし、意識的に行政資源を投下していかないと成果は現れないと考えるが、見解を伺いたい。
企画部長 人口減少への対策を講じるにあたり、人口動態における自然的要因では出生者数、社会的要因では転出・転入者数の動向を的確に捉え、効果的な事業を重点的に実施することが大変重要であると考えております。
はじめに、本市の合計特殊出生率は、平成27年をピークに減少傾向にあることから、民間保育所等の整備支援や放課後児童クラブの施設整備など、子育て環境の整備に集中的に取り組んだ結果、待機児童数の減少など改善を図ることが出来ました。
また、現在のyouホールと上総更級公園を一体的に整備し、子育て世代の憩いや交流の場を創出するなど、子育て世代をしっかりと応援する全庁一丸となった施策展開を図っております。
次に、社会的要因となる転入・転出の動向につきましては、若者・女性の転出超過が続いてきていることから、移住・定住に資する「三世代ファミリー定住応援事業」「結婚新生活応援事業」「空き家バンク事業」の3つの事業をパッケージ化してプロモーション活動を展開するなど、若者世代を中心とした移住・定住促進策を更に強化し、戦略的に展開してまいります。
引き続き、本市の人口動向を注視し、人口減少対策に資する施策を重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

令和元年からは、過去に類を見ない災禍が立て続けに生じ、事業の中断、延期、廃止、職員の臨時的な配置、補正予算の編成と執行など、緊急的な対応に迫られたが、総合計画の実施に支障はなかったのか、また、どのように対応してきたのか伺いたい。
企画部長 令和元年の房総半島台風に続き、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を受け、景気低迷による歳入の減少、緊急対策による歳出の増加など、非常に厳しい財政状況を見通した中で、実行計画事業を選定してまいりました。
このような状況下におきましても、市民生活に密着した事業は着実に推進し、また、緊急的な修繕など必要な事業は先送りすることなく実施してまいりました。
一方、イベント等の実施につきましては、中止、延期など開催可否を速やかに判断するとともに、国庫補助金等の特定財源や財政調整基金を活用することで、実行計画事業への影響を最小限に抑えてまいりました。
令和元年度及び令和2年度の総合計画における成果検証では、一連の災害や新型コロナウイルス感染症の拡大により、交流人口への影響はあったものの、その他総合計画に掲げる指標において、基準値を上回った指標が6割を超えており、総合計画を推進する上での支障は大きくなかったものと捉えております。
しかしながら、コロナ禍の影響で婚姻件数、出生数が減少傾向にあり、少子高齢化が加速している状況を踏まえますと、更なる取組の強化が必要と考えております。
このようなことから、実行計画令和4年度版案では、市民の皆様の命と生活を守るための緊急対策をしっかりと進めるとともに、総合計画に掲げた「2026年のいちはらの姿」を実現するため、過去最大の事業規模となる実行計画案を取りまとめたところであります。
引き続き、計画、予算、改革が一体となったトータルシステムを活用し、総合計画に掲げる都市像実現に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。

本市を取り巻く状況が総合計画の策定時と大きく変化している中で、新型コロナウイルス感染症の動向や社会経済情勢は未だ不透明であり、将来を予見することは大変難しい。計画事業の中断・延期や目標値の見直しを含め、今後の総合計画の具体的な進め方について伺いたい。
企画部長 前回の基本計画改訂後、激甚化・頻発化する災害への対応、新型コロナウイルスの影響による新たな生活様式への対応、2050年カーボンニュートラルの実現と地域経済の持続的発展の両立など、本市を取り巻く社会経済情勢が大きく変化しております。
また、人口ビジョンで掲げた展望値と実績値との乖離が生じており、人口減少対策の更なる強化が必要であると考えております。
そこで、今後は、目標人口、2026年のいちはらの姿を実現するため、これまでの取組で課題となった若者・女性、子育て世代をターゲットとした施策の重点化を進めるとともに、社会経済情勢の変化を捉えた施策間連携の更なる強化など、基本計画の改訂作業を進めてまいりたいと考えております。

2 人事行政について
(1)人事評価制度について
2016年に導入が義務付けられた人事評価制度の目的とはどのようなものだったのか。また、それを受けて本市の職員として求められる職員像について伺いたい。
総務部長 平成28年4月に施行された「地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律」により、地方公共団体には、人事評価制度の導入が義務付けられ、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図ることとなりました。
この人事評価制度の目的は、職員のモチベーションを高め、組織全体の公務能率の向上に資するとともに、評価結果の活用を通じ、職員の人材育成に繋げていくものでございます。
このことから、本市では、職員に評価基準を明示し、面談を通じたフィードバックやアドバイスの実践、評価結果の本人への開示などの仕組みを設けており、組織内対話を通じ、上司と部下が組織目標を共有し、マネジメントするための重要な手段となっております。
次に、求められる職員像ですが、地方自治体を取り巻く環境が大きく変化する中、市原市役所のクレドに掲げましたように、常に先を見据え、変革の視点をもって新たな価値を創造し、決断実行できる職員、市民の思いを自分事化し、困難な課題に果敢に挑戦できる職員、思いやりを持って同僚と接することが出来る職員と捉えております。
本市では、この求められる職員像の実現のために、職員の職務上での行動を通じて顕在化いたしました能力を把握する「能力・態度評価」と、職員が果たすべき職務をどの程度達成したかを把握する「実績評価」の二つを人事評価制度の柱とし、その結果を職員の育成と組織全体の士気高揚に活用しているところでございます。

総務省は、人事評価結果を昇給や勤勉手当等に反映するよう求めているが、本市の状況について伺いたい。
総務部長 人事評価は、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」とされ、その評価結果を任用、給与等への活用が地方公務員法により義務付けられているものでございます。
このことから、本市では、人事評価制度を職員のモチベーションの向上、人材育成、マネジメントに活用するほか、その評価結果をすべての職員の昇格や配置の基礎資料とするとともに、7級以上の職員については、勤勉手当に反映させているところでございます。

時代に則した人事評価制度の構築をすべきと考えるが、見解を伺いたい。
総務部長 デジタル社会の進展や大規模災害・感染症リスクの増大など、社会状況の変化に伴い、基礎自治体への期待と役割はますます広がりを見せております。
そのような中、自らが創意工夫を講じ、新たな価値を創出し、選ばれる自治体であり続けるため、ICTの活用により市民の生活をより良い方向に変化させるDXや、あらゆる主体との連携、企業経営や民間活動の視点や発想を行政の中に取り入れるなど、今までにないスキルや発想の転換がこれからの職員に求められております。
このことから、策定した組織ビジョン、経営理念、行動指針との整合を図りつつ、現行評価制度の効果・課題を把握し、常に制度の改善を図りながら職員の理解促進、人材育成に繋げられるよう取り組んでまいります。

部下が上司を評価する制度の導入についての見解を伺いたい。
総務部長 評価対象者に対して、多面的に評価をする制度は、上司・同僚・部下など立場の異なる者による評価により、自己評価と他者評価のギャップが明らかとなり、本人の行動変容が図れる「能力開発の手法」として活用され、ピラミッド型組織からフラットな組織への変革を取り入れた民間企業で多く採用される傾向にございます。
一方、この多面的評価制度は、人材育成の手法として用いられ、必ずしも人事評価に結びつけられる制度ではないことや、評価の一貫性の確保が難しい点、管理監督職が評価を気にし過ぎるあまり、指導や育成を消極化させる懸念などが指摘されているところでございます。
このことから、本市では、現在運用している人事評価制度の中で、上司と部下の良好なコミュニケーションの構築に資するため、期初・中間・期末での複数回にわたる面談の機会を設け、部下の思いや意見を汲み取っているところであり、多面的評価制度につきましては、国や他の自治体の動向を注視してまいりたいと考えております。

(2)職員のモチベーション向上について
職員の意欲や能力を最大限に引き出す取組があれば伺いたい。
総務部長 職員のモチベーションを高める動機付けの方法は、大きく分けて「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類に分類されますが、それぞれ独立した手法ではなく、どちらも仕事へのモチベーションを保つ重要な要素として、相関関係を有しているものと考えております。
外発的動機付けは、報酬や評価、罰則や懲罰といった、外部からの働きかけによる動機付けであり、本市では、人事評価制度の運用により、上司が部下に強みや弱みをフィードバックし、気づきを与えながら支えていくことで、部下の成長意欲と主体的な行動に繋げております。
また、努力した職員、成果を出した職員には、適正な評価を勤勉手当に反映させる仕組として、現在7級以上の職員を対象に運用しているところでございます。
一方、内発的動機付けは、仕事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感など、自分自身の内面的な要因によって生まれる動機付けであり、本市では、職員がやりがいと目標を持って、仕事に向き合えるよう、組織ビジョン、経営理念、行動指針を策定し、理念への共感と浸透を図ってまいりました。
また、自己啓発に取組む職員を支援する各種研修制度や補助制度を構築し、職員のモチベーション向上に取り組んでいるところでもございます。
今後も、これら両側面の動機付けを推進することで、職員の意欲や能力を引き出し、市民サービスの向上へ繋げてまいります。

職員のモチベーションを高めるために、人材育成や職場環境に対する投資も重要であると思うが、見解を伺いたい。
総務部長 職員が高いモチベーションを持ち、働きやすさを感じながら、主体的に仕事に取り組める基盤を整えるため、人材育成の面では、外部機関が実施する研修へ積極的な派遣を実施しているほか、資格取得や通信教育の受講に際して、費用助成を行うことで、主体的に自己啓発に取り組む職員を後押しする制度を設けております。
また、職場環境の面では、ワークスタイルの変化に併せ、オンライン会議やテレワークの導入など、時間と場所にとらわれない多様で柔軟な働き方の整備を進めております。
今後も働きやすい環境を整備し、職員が高いモチベーションを維持できるよう取り組んでまいります。

(3)職員のメンタルヘルスについて
昨年7月の国の調査内容について伺いたい。併せて本市のメンタル不調者の状況及び対応について伺いたい。
総務部長 最初に、総務省が実施した「令和2年度の地方公務員のメンタルヘルス不調による休務者及びメンタルヘルス対策の状況調査」の内容ですが、メンタル不調により1週間以上療養した休務者の数は、全国で21,676人、調査対象者959,811人のおよそ2.3%に相当すると報告されております。
休務者の属性としては、男女間や年代別では顕著な差がないこと、役職別では係員が多いこと、所属部署では、保健福祉や市民生活の部門に占める割合が多く、また、不調に至った理由は「職場の人間関係」、「業務内容」、「本人の性格」と回答した団体が多かったことが報告されております。
次に、本市のメンタル不調者の状況ですが、令和2年度にメンタル不調により療養休暇や休職となった職員は36人おり、職員総数2028名に対し、約1.8%となっており、ここ数年、概ね横ばいの状況にあります。
主な要因は、家庭での悩み事や自身の健康状態に加え、職場での人間関係、業務適性に関するストレスであり、これらを周囲に相談できず、一人で抱え込み、手詰まり感から心的不調を来す状況が顕著となっております。
このことから、ストレスチェックやカウンセリングによる本人へのケアは勿論のこと、管理職を対象に、ストレスケアやコーチング手法、職場コミュニケーションなどをテーマとした研修を実施し、風通しの良い職場環境の醸成や職員間のサポート体制の強化を後押ししております。
また、ストレスチェックの結果を活用した職場ごとの傾向を分析した中で、負荷の大きい部署については、ヒアリングを実施し、事務改善を支援するほか、人的配置など組織的な対応にも繋げております。
これらの取組により、職場内における心理的安全性を高め、誰もが安心して働ける職場環境が実現できるよう努めてまいります。

(4)定年年齢の引き上げについて
法改正により、段階的に定年を引き上げることとなったが、その内容を伺いたい。
総務部長 少子高齢化により若年人口が減少する我が国において、人生百年時代を迎える中、能力と意欲のある高齢期の職員が次世代にその知識や技術・経験を継承するとともに、社会保障制度の維持や消費の担い手の確保に役立てることが本制度の目的であります。
具体的には、法改正により、国家公務員と同様に2023年度から2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げられ、2032年度において65歳定年となるものであります。

定年後の役職や給与、退職手当の取り扱いなど、その内容と予想される影響について伺いたい。
総務部長 定年年齢の引き上げに伴う、その内容と影響につきましては、今現在、国から示されているものとして主に4点が挙げられます。
1点目が、役職定年制が設けられ、管理監督職の職員を原則60歳で非管理職に異動させることでございます。
この結果として、雇用制限年齢に達した職員の再任用期間が満了となり、退職することと併せ、今と同様に組織の新陳代謝が図られ採用や昇進には特段の影響は生じず、組織の活力が維持されるものと考えております。
2点目が、定年前再任用短時間勤務制の導入でございます。
60歳以後の定年前職員の意向を踏まえ、短時間勤務の職で再任用することが可能となり、60歳以降の多様な働き方のニーズが確保されます。
3点目が、定年延長となった職員の給与でございます。
60歳に達した職員の給料月額について、定年が延長された期間は、職員が60歳に達した年度の支給額の「7割水準」となると示されております。
4点目が、退職手当について、でございます。
60歳到達後の最初の4月1日から7割水準の給料月額となった場合においても、「ピーク時特例」が適用され、現行の算定基準に準じた取り扱いとなる見込みです。
現在、本制度の詳細につきましては、国から順次示されておりますので、今後も国の動向を注視し、制度の円滑な導入に向けて取り組んでまいります。

3 ふるさと納税について
(1)在り方と今後について
制度上の問題点を踏まえた上で、市として「ふるさと納税」のあり方や今後の方向性について、どのように考えているのか、見解を伺いたい。
財政部長 ふるさと納税制度につきましては、議員からご紹介いただきましたとおり、税の使い道を自分の意志で選びたい、あるいは生まれ故郷やお世話になった自治体を応援したいという気持ちを、税制上で後押しすることが趣旨とされておりますが、返礼品を目当とする寄附も少なくないものと考えております。
返礼品につきましては、過去において、一部自治体で換金性が高い、高額であることなど制度の趣旨に反する事例が見られましたことから、令和元年6月1日施行の改正地方税法におきまして、寄附額の3割以下とすることや、地場産品に限定することなど、細かな基準が示され、これに反する場合には、ふるさと納税の適用が受けられないという制度の見直しが行われたところでございます。
こうした中で、本市では、平成27年度から返礼品の提供を開始し、年々その拡充を図ることなどによりまして、本年令和3年度では、平成27年度受入額の約60倍となる6億5千万円余りの寄附が見込まれる状況となっております。
このことから、返礼品は、寄附獲得の大きな要素であると認識をしておりまして、今後につきましては、制度の趣旨を十分に踏まえた中で、市内産品や本市での体験型サービスなど、本市の特色を生かした返礼品の一層の充実を図り、販路拡大、地域経済の活性化、さらには交流人口・関係人口の増加にもつなげてまいりたいと考えております。
併せまして、寄附金を活用した事業の紹介と成果の公表など情報発信にも努め、本制度を、市民のみならず、全国から本市を応援していただき、市原ファンとなっていただくための有効なツールとしても活用してまいりたいと考えております。

市民に制度の問題点とマイナスの影響を周知し、理解を求めるとともに、「寄附をするなら、地元市原市へ」と市民の意識を変えていくべきと考えているが、見解を伺いたい。
財政部長 本市では、市民大学や出前講座「おでかけくん」等の機会を捉えまして、ふるさと納税について、趣旨とともに、市税収入への影響にも踏み込みながら、丁寧な説明と周知に努めているところでございます。
また、今年度は、本市の個性を生かした特色ある事業といたしまして、チバニアン周辺環境整備、市原歴史博物館整備及び市原スポレクパークの人工芝張替といいました個別の事業を寄附の目的として、市外の方だけでなく、広く市民へも寄附を呼びかける仕組みをスタートさせたところでございます。
市原市民から本市への寄附につきましては、制度上、返礼品を差上げることはできませんが、市民向けのこうした取組は、市民参加による事業推進、市民としての誇りの創生の一助にもなり得るものと考えております。
今後は、市民はもちろん市外の皆様の共感をいただける、魅力ある事業を寄附の目的に加えるとともに、さらなる情報発信に努め、寄附文化の醸成にもつなげてまいりたいと考えております。

(2)企業版ふるさと納税について
「企業版ふるさと納税」の導入に向けて取り組んでいると聞いているが、どのように進めていくのか、現状と今後の取組について、伺いたい。
企画部長 企業版ふるさと納税の導入にあたりましては、「地域再生計画」を国に申請し、認定を受ける必要があることから、本年1月に認定申請書を国へ提出したところであり、今年度末に認定の可否が決定される予定であります。
認定後は、企業版ふるさと納税の取組を全庁で共有し、寄附の申し出をいただける事業者の情報を収集した上で、企業とのマッチングを図る支援委託を活用するなど、本市の各種事業をPRするとともに、寄附金の確保に努めてまいります。

「企業版ふるさと納税」では、「人材派遣型」として、専門的知識・ノウハウを有する企業人材を地方自治体へ派遣し、当該派遣職員の人件費を含めたプロジェクト事業費に対する寄附を行う取組も始まったようだが、見解を伺いたい。
企画部長 企業版ふるさと納税の「人材派遣型」は、地方創生のより一層の充実・強化を図るため、企業からの寄附と併せて、寄附活用事業に従事する専門的な人材を地方公共団体へ派遣することが出来る制度として、令和2年10月に創設されました。
本制度による企業側のメリットとしましては、人件費を含む事業費への寄附額のうち、最大で約9割に相当する税の軽減を受けることができます。
また、地方公共団体では、企業の専門的な人材が寄附活用事業に従事することで、地方創生の取組をより一層、充実・強化することができ、関係人口の創出・拡大も期待できるものであります。
これらのことから、専門的知識・ノウハウを有する企業人材の活用は、大変効果的であり、本市が包括連携協定を締結している企業の中でも、本制度に興味を持っていただいている企業もありますことから、企業版ふるさと納税の人材派遣型の活用につきましても、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

4 いちはらアート×ミックスについて
(1)成果とアートの活用について
これまでのことを踏まえ、今回のアート×ミックスを振り返っての成果及び今後のまちづくりにアートをどう活かしていくのか、市長の思いを伺いたい。
小出市長 第3回を迎えた、いちはらアート×ミックスにつきましては、新型コロナウィルス感染症の影響により、たび重なる延期を余儀なくされておりましたが、感染状況が落ち着きを見せた昨年秋、実行委員会の皆様のご賛同と、地域の方々からの力強い後押しを受け、開催を決断いたしました。
実質的には29日間の会期となりましたが、魅力的なアート作品がそろったことや、地域をあげてのおもてなしにご好評をいただき、のべ11万人を超える方々にご来場をいただきました。
この開催を通じて、私は、過去最大となった来場者数だけでなく、大きく3点の成果があげられたものと考えております。
まず、一つは本市が目指す交流人口・関係人口の拡大に向けたアピールであります。
来場者の傾向を見ますと、年代別では20代から40代、性別では女性の割合が高く、居住地別では千葉県内、東京、神奈川、埼玉など首都圏が多数を占めております。
まさに、本市の交流人口拡大に向けたターゲットとなる方々に、本市の魅力を発信し、関心を持っていただけたものと考えております。
二つ目としては、ウィズコロナ、アフターコロナ時代におけるイベントの姿を示したことであります。
会期中の各会場においては、徹底した感染防止対策を行い、来場者、関係者ともに一人の感染者を出すこともなく、終えることができました。
本市の取り組みにつきましては、視察に訪れました新潟県や香川県の芸術祭関係者から、「今後の開催に向けた参考にしたい」との高い評価の声を直接伺うことができました。
三つ目としては、地域の皆様との協働体制がより強固になったことであります。
過去2回のアート×ミックスを通じて積み重ねてきた協力関係をベースとして、地元町会や南いちはら里山連合などの地域団体、小湊鐡道をはじめとする事業者、市内外のサポーター、そして、職員がともに「志」を一つにして芸術祭を開催することができ、地域への愛着のさらなる醸成につながるとともに、来場者の皆様にも「おもてなしの心」として伝わったものと実感をしております。
こうした得られた確かな成果を今後のまちづくりに生かすことが、私の大きな使命であると考えております。
3年に一度開催してきた芸術祭の期間だけでなく、アートを日常的に感じられるまちづくりを進めるため、私は「アートのまちいちはら推進ビジョン」を策定し、本定例会で議会へもお示ししたところであります。
本ビジョンは、本市とアートが持つ強みをかけ合わせ、「いちはらならでは」の暮らし・教育・体験を創出し、人口27万人の堅持に向けて、市民のまちへの誇りを生み、市外に向けては、交流人口・関係人口の拡大と、移住・定住の促進を図ることで、持続可能なまちを目指すものであります。
この具体的な取り組みといたしましては、アート×ミックスの主要な会場でもある牛久地区において、アーティストや市民との協働により、アートを媒介として、コミュニティの新たな価値の創造を目指すモデル事業を実施してまいります。
私は、3回にわたるアート×ミックスの成果をさらに進化させ、訪れたい、関わりたい、住み続けたいと思われる魅力あるまちづくりの実現に向けて、引き続き、強い覚悟を持って取り組んでまいります。

5 学校規模適正化について
学校の統合にあたっては、児童・生徒の保護者や地域と十分な対話等を行い進めてきたものと認識しているが、これまでの統合について、教育委員会ではどのような評価をしているのか伺いたい。
教育総務部長 教育委員会では、学校の小規模化が進行するなか、児童生徒のよりよい教育環境づくりを目指し、保護者や地域との対話を重ね、学校規模適正化に取り組んでまいりました。
これまでに統合しました加茂地区の小学校4校をはじめ、平三小学校、市東第二小学校については、統合により学校規模が大きくなったことで、グループワークなどの学習活動や学校行事等が活性化するなど、教育環境の向上が図られております。
また、それぞれ統合してから一定期間が経過し、統合後の学区が地域に定着してきております。
内田小学校については、統合後に児童とその保護者に向けて、アンケート調査を実施しましたところ、多くの児童から、授業が楽しくなった、色々な意見を聞くことができるようになった、遊ぶ友達が増えて楽しい、といった回答が得られるとともに、ほとんどの保護者から、統合して児童の人数が増えたことについて、よかったとの回答が得られております。
このようなことから、教育委員会といたしましては、学校規模適正化による統合の効果が表れているものと評価をしております。

今後は、地域まちづくりや公共資産マネジメントの視点なども踏まえ、学校規模適正化を進めていく必要があると考えるが、教育委員会の見解を伺いたい。
教育総務部長 教育委員会といたしましては、「市原市学校規模適正化基本方針」に基づき、引き続き、児童・生徒の確かな学力や、社会の中で活躍する力を身に付けるために必要な教育環境づくりを最優先に考え、学校規模適正化に取り組んでまいります。
そうした中において、議員御指摘のとおり、学校は地域コミュニティの拠点でもありますことから、統合後のまちづくりについても配慮していく必要があるものと考えております。
また、学校規模適正化の取組は、少子化を主な背景としておりますが、本市の公共資産マネジメントを推進する観点からも、学校の統廃合は避けては通れないものと捉えております。
こうしたことから、学校規模適正化の推進にあたりましては、保護者や地域と十分に対話を重ねることはもとより、庁内のまちづくりや公共資産マネジメントを担当する部署とも積極的に連携を図り、総合行政として効果があがるよう、取り組んでまいります。