令和元年第2回定例会で菊地洋己議員が代表質問

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1 市長の政治姿勢について
 (1)2期目の抱負について
 市長は、2期目の所信表明で「もっと前へ」という覚悟と、これを進めるための挑戦として3点示されました。

この「もっと前へ」進める3つの挑戦を、どのような強い思いを持って、掲げられたのか、その考えを伺う。

■小出市長 私は、総合計画に掲げた都市像の実現に向け、より一層の施策推進はもちろんのこと、市民ニーズの先にあるもの、時代の先にあるものをしっかりと捉え、更なる「変革と創造」に力を注ぐため、「もっと前へ」を2期目の覚悟とし、これを進めるための挑戦を3点掲げました。
 1点目の「総合計画を、もっと前へ」にかける私の思いといたしましては、目指す都市像の実現に向け、総合計画の更なる施策展開を進め、成果をより確実なものにすることであります。
 市民ニーズの先にあるもの、新たな時代の兆しをしっかりと捉え、更なる「変革と創造」に挑戦してまいります。
 2点目の「対話と連携を、もっと前へ」にかける私の思いといたしましては、自らの地域の未来に責任を持って、共に創り上げる「地域経営」を進めることであります。
 多様な価値観を持つ地域の皆様が、地域のことを「自分ごと」として捉え、地域主体のまちづくりを進めていくことこそが、市原ならではの市民の力によるまちづくりであります。
 私は、「対話と連携」を最も大切にしながら、未来を切り拓く、「ひとの力」を最大限に活かしたまちづくりを推進してまいります。
 3点目の「魅力あふれる都市創生を、もっと前へ」にかける私の思いといたしましては、未来に責任を持つ「都市経営」を進めることであります。
 誰からも「住み続けたい、住んでみたい」と思われる魅力あふれる都市創生を目指し、本市の持つ広域で多様な地域特性を最大限に活かした調和のとれたまちの発展を実現してまいります。
 私は、「もっと前へ」の強い覚悟を持って、市長としてリーダーシップを発揮し、「変革と創造」の基本理念のもと、目指す都市像の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

(2)基本計画の改訂について
 総合計画を、もっと前へ」進めるため、今年度、基本計画の改訂に取り組むとのことだが、これまでの基本計画は、計画期間内に更新されることはなかった。変革と創造を意識し、市政の改革にスピード感を持って取り組まれている中、基本計画の改訂に取り組まれるのは高く評価する。今回の基本計画の改訂の狙いは何か、市長の見解を伺いたい。
■小出市長 私は、市民の皆様に確かな成果を実感していただくために、時代の潮流を捉え、常にその先を見据えた新たな施策を展開することが大変重要であると考えております。
 計画は作って終わりではなく、実行し成果をあげてこその計画であります。
 本市のまちづくりの羅針盤である総合計画につきましては、常に社会経済情勢や市民ニーズの変化を迅速かつ的確に捉え、更に先を見据えて進化させることで、都市像の実現へと結びつけてまいります。
 そこで、「総合計画を、もっと前へ」進めるべく、基本計画の改訂に取り組む決意をしたところであります。
 都市像の実現に向け、これまでの成果検証から明らかになった課題克服に向けて、施策を強化するとともに、社会の新たな潮流をしっかりと捉え、新たなニーズを施策に反映し、常に進化する総合計画により、確実に施策を推進してまいります。
 更に、計画・予算・改革が一体となって連動する総合計画を中心としたトータルシステムを構築し、行政の生産性向上を図り、目標達成に真っ向から取り組む自治体経営を進めてまいります。
 そのためには、職員が、組織の目指すべき方向性をしっかりと共有し、常に今、何をすべきか考え、市民のために行動し、「変革と創造」に挑戦するよう組織文化の改革を一層進めてまいります。
 私は、進化し続ける総合計画の施策推進に向け、職員の先頭に立ち、全庁一丸となって取り組んでまいります。

 基本計画は、基本構想を実現するための施策を体系化したものだが、大きく見直しを行った場合、成果検証や進行管理など混乱するのではないか。今回の基本計画の改訂について、現状の課題、どういう視点で改訂するのか、改訂のポイントについて、伺いたい。
■企画部長 総合計画策定後、成果検証で出てきた課題を克服するため、今回、基本計画改訂ポイントとして2点掲げました。
 1点目は、基本計画の点検と強化であります。
 総合計画は、基本構想、基本計画、実行計画の三層構造となっております。
 今回、最上位の基本構想の改訂は想定しておりませんので、その施策体系を取りまとめた基本計画の改訂については、各種施策を点検し、強化すべき点、新たに取り組むべき点を的確に反映してまいりたいと考えております。
 例えば、本市の最重要課題である人口減少対策として、若者・女性をターゲットとした施策を強化したり、拠点形成構想など新たな施策を位置づけたりすることが考えられます。
 また、基本計画で設定した各種指標は、成果検証における重要な物差しであることから、点検による見直しや追加を行います。
 具体例として、市で実施する各種啓発事業で、参加者数を指標に設定した場合、参加者数の増加により意識啓発が進んでいると評価できる一方、元々意識が高い方々が参加していると捉えたとき、事業に参加したことがない無関心な方々への働き掛けこそ重要ではないのか、とも考えられます。
 そこで、施策の方向性と指標が一致しているのか点検し、指標の見直しを行ってまいります。
 2点目は、トータルシステムの構築です。
 多種多様な市民ニーズの先を見据え、積極的に事業展開するためには、事業のビルド&スクラップが大変重要であり、計画・予算・改革が連動したトータルシステムの構築が必要であります。
 1500以上ある全ての実行計画事業につきましては、施策・指標・事業の関連付け、事業単位の大きさなど課題もあることから、現在、全庁を挙げて「基本計画の棚卸し」として、施策の方向性と指標、事業の関連性を整理しております。
 今後は、指標への効果等を見極め、真に効果のある事業、無い事業のビルド&スクラップを効果的・効率的に実施できるよう、トータルシステムを構築し、総合計画を中心とした成果重視の行政経営を進めてまいります。

 改訂にあたっては、多様化する市民ニーズや地域の考えを的確に反映させることが大切である。市民意見やニーズ等について、具体的にどのように反映させるのか、伺いたい。
■企画部長 総合計画は、市民、地域、各種団体、企業など多くの皆様との対話を重ねて、策定してまいりました。
 今回の基本計画の改訂にあたりましても、附属機関である「総合計画審議会」、無作為抽出による市民と成果検証を行う「いちはら未来会議」、町会長と市長が意見交換を行う「市長と語ろう未来創生ミーティング」、パブリックコメントなど、さまざまな機会を通じて、多くの皆様のご意見を基本計画改訂に反映できるよう、市民との対話を丁寧に行ってまいります。
 また、多くの市民の皆様の多様なニーズを把握するため、今年度、市民意識調査を実施しているところであります。
 市民意識調査では、市民生活に密着した生活環境や施設要望、居住意識、市の施策などの項目について意向を調査し、その、基本計画の改訂作業に反映してまいります。

(3)拠点形成構想について
 将来のまちづくりに向け、市の拠点形成は重要であり、市長のリーダーシップ発揮を期待するところでありますが、拠点形成構想実現に向けた市長の思いをお聞かせください。
■小出市長 私は、総合計画に掲げる人口27万人の維持と交流人口500万人を必ず達成するという確固たる信念のもと、誰からも「住んでみたい、住み続けたい」と思われる魅力あふれるまちづくりを実現するため、拠点形成構想策定に向けて取り組んでいるところであります。
 持続的発展を目指す本市の都市経営を推進する上で、五井、八幡宿、姉ヶ崎のJR3駅周辺や市原インターチェンジ周辺などポテンシャルの高い土地を、何としても活用していかなければなりません。
 私は、交流人口の拡大と移住・定住の促進につながる都市機能を誘導するため、ダイナミックな土地利用の転換を図り、魅力と活力あふれる拠点形成を実現してまいります。
 本構想を実現するためには、市民、事業者、関係機関などあらゆる方々との「対話と連携」が重要であり、私自身が強いリーダーシップを発揮し、今までの常識にとらわれない新しい発想によるまちづくりに、市の総力をあげて取り組んでまいります。

2 人口減少対策について
 (1)移住・定住の促進策について
(仮称)いちはら三世代ファミリー定住応援事業のねらいと特色についてお聞かせください。
■企画部長 本市の人口動向では、20歳前後から40歳前後までの若い世代において、転出者数が転入者数を上回る、転出超過の状況が続いており、中でも女性の転出が多いことが課題となっております。
 総合計画に掲げる人口27万人の維持を実現するためには、こうした若い世代の転出超過を抑制することが重要であります。
 そこで、本事業は、市内在住の若い世代の方々に引き続き本市に住み続けていただくこと、更には市外へ転出された若い世代の方々に、本市に戻ってきていただくことを狙いとしており、転出抑制と転入促進の両面から取り組むものであります。
 次に、本事業の特色について申し上げます。
 本事業は、子育て中の世帯が市内在住の親世帯と同居・近居、又は市内居住を行う際に、住宅取得費の一部を補助するものであります。
 他の自治体における類似の制度では、補助対象を親世帯との同居・近居に限定しておりますが、本市では広域性を考慮して、市内全域を対象としている点が大きな特色であります。
 さらに、子育て世帯が市外から転入し、親世帯との同居・近居を行う場合には、県内トップクラスとなる100万円を補助額としたことも、大きな特色であります。
 加えて、ほとんどの自治体では、近居に比べ同居への補助額が高く設定しておりますが、本市の住宅事情や近居のニーズが高いといった調査結果を参考としまして、近居と同居を同一の補助額としたことも特色であります。
 今後は、これらの特色を活かした積極的なプロモーションを展開し、多くの若い世代に選ばれるまちとなるよう、効果的に事業を実施してまいります。

(2)空家等対策計画について
 今回、市から空家等対策計画の策定方針が示されましたが、本市における空家の現状と、今後どのようにこれらの対策に取り組んでいくお考えなのか、お伺いします。
■都市部長 本市では、昨年度、空家の現状を把握するため、市内全域を対象として、現地調査をはじめとした実態調査を実施し、その結果、2,657件の空家等を把握したところでございます。
 また、この実態調査の一環として行ったアンケート調査では、5年以上の長期間使用していない空家が半数を超え、住まなくなった主な理由といたしましては、居住者の転居や死亡、相続により取得したものの他に住むところがあるなどの回答が多く、売却したいが相手が見つからないといった状況も見受けられました。
 このような中、本市では、適切な管理が行われていない空家への対策を推進するため、「(仮称)市原市空家等対策計画」の策定に着手したところであり、「地域の安全確保と良好な生活環境の保全」や「空家等の活用による地域活力の向上」など、策定方針に掲げました基本的な考え方に基づき、策定を進めてまいります。
 また、策定にあたりましては、新たに設置を予定しております、学識経験者や地域の関係団体の代表等で構成される「空家等対策協議会」をはじめ、関係する皆様のご意見を十分踏まえながら、本市の地域特性や実情に即した対策計画としてまいります。
 市といたしましては、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に推進していくことで、所有者による適切な管理の促進、特定空家等に対する法的措置の実施など、空家の発生・増加の抑制に努めるとともに、利用者や地域のニーズに応じた積極的な空家等の利活用により地域の活性化につなげてまいります。
 加えて、行政・地域・事業者などの多様な主体が、それぞれの立場で連携・協働して、空家等の対策に一体となって取り組むことができる体制を構築することで、実行性を確保してまいりたいと考えております。

 危険な状態が切迫している場合に限っては、市民の生命や財産を最優先に保護するため、仮に所有者が不明であっても、市が緊急避難的な安全措置を講じられる仕組みを設けるべきである、と私は考えています。
 併せて、市が取り組む空家対策に関する情報については、広く市民に提供していただきたいと考えていますが、市の見解をお伺いします。
■都市部長 【答弁後】
 市では、空家等対策を推進する上で、地域の安全を確保することや良好な生活環境を保全していくことは、最も優先すべきことであると認識しております。
 議員ご指摘のように、空家の状態を放置する ことにより、被害の拡大が懸念され、人の生命や財産に被害を及ぼす恐れがある場合には、市が必要最小限度の範囲において、緊急的に安全措置を行うなど、市民の安全を守るための対応が必要であると考えております。
 このため、今年度、空家等対策計画を策定していく中で、このような緊急的な安全措置をはじめ、地域の実情に即した必要となる対策等の整理を行うことで、本市独自の条例化に向けた検討も進めてまいります。
 また、空家等対策について市民へ広く情報を発信していくことや、住民から提供いただいた情報をいち早く対策につなげていくことなど、身近な地域に住む皆様との連携は、空家等対策の推進に必要不可欠であると考えますことから、あらゆる機会や手段を通じた丁寧な情報発信に努めるとともに、相談体制の充実等にも取り組んでまいります。

(3)子育て支援と教育環境について
 ① 子ども未来プランについて
 本市における人口減少という課題に対し、子育て支援の施策は重要なものであると考えている。現在策定している「子ども未来プラン」の目的やねらいについて、伺いたい。
■子ども未来部長 本市の人口は、平成15年をピークに減少傾向にあり、主な要因としては、未婚化・晩婚化による少子化の進行とともに、就職、結婚に伴う若者世代や女性の転出超過となっております。
 このような状況下、若い女性や子育て世代の方々に本市を選んでいただくための施策の一つとして、安心して子どもを産み、育むことのできる環境整備が必要不可欠であると考えております。
 本プランにつきましては、現在推進している新市原市次世代育成支援行動計画の後期計画として、基本理念であります「いちはらっこを優しく育む、みんなの笑顔が輝くまち」の実現とともに、本市の抱える最大の課題である人口減少・少子化の克服に向け、子育ちなどに関連した施策を強力に推進していくことを目指しております。
 このため、策定にあたっては、従来の子育ち施策のさらなる強化に加え、多様な少子化対策の推進など、新たな視点での施策も加え、策定作業に取り組んでいるところでございます。

 ② 小中学校へのエアコン設置について
 小中学校へのエアコン設置について、現在の事業の進捗状況と今後の完了見込みを伺います。
■教育総務部長 本事業は、昨年の夏の記録的な暑さを受け、学校において、子どもたちの健康を守り、安心して学習に取り組める環境を確保するために、小・中学校にエアコン設置を進めているもので、この夏から利用ができるよう、取り組んでいるところでございます。
 工事につきましては、エアコン設置というような設備工事では初めて、市内業者による共同企業体、いわゆる「JV」が結成され、施工されており、校舎内の工事が休日や放課後といった限られた時間帯にしか行えないことや、エアコン設置が全国的に集中する中で、資材調達や労務確保が難しい環境となるなど様々な影響がございますが、「地元の子どもたちのために」という受注者の熱意により、順調に進捗しております。
 利用頻度の高い普通教室を先行して取り組んだ結果、6月17日からは、小学校の587の全ての普通教室で、また7月1日からは、中学校の269の全ての普通教室で、エアコンの運転が開始できる状況となったところであり、昨年のような猛暑となる前に、子どもたちに安全で快適な学習環境を提供できたところでございます。
 今後は、夏休みを利用し、音楽室などの工事を進め、夏休み明けの9月からは、1146室全てで、エアコンが使用できる予定となっております。

 ③ 外国人児童生徒のための支援について
 現在、市内小中学校には、外国籍の児童生徒が何人在籍していて、そのうち日本語の指導を必要としている児童生徒の在籍状況はどのようになっているのか、また、それらの児童生徒に対してどのような日本語教育を行っているのか、お聞かせください。
■学校教育部長 令和元年7月1日現在、市内では、小中学校合わせて50校に、329名の外国籍児童生徒が在籍しております。
 このうち、104名の児童生徒が日本語指導を必要としております。
 また、日本語指導を必要としている児童生徒は、これらの外国籍児童生徒だけに限らず、日本国籍の児童生徒であっても、保護者が外国籍で日本語が十分に使えない場合や、児童生徒自身が帰国子女である場合など、多様なケースがあります。
 これらをあわせ、日本語指導を必要とする児童生徒は、7月1日現在、市内33の小中学校に136名が在籍しております。
 このような状況において、市内の公立小中学校には、県教育委員会から、日本語指導対応のために、6名の加配教員が配置されており、個別に日本語指導や学校生活の支援を行っております。
 また、市教育委員会といたしましても、独自に6名の日本語指導協力者を委嘱し、日本語指導を必要とする児童生徒が在籍する学校に派遣し、対象児童生徒に対して、日常生活に必要な日本語指導を個別に行っております。
 今後も、これらの児童生徒が1日も早く日本語を習得し、充実した学校生活が送れるよう、努めてまいります。

3 防災力の強化について
(1)地域防災力の強化について
 大規模災害時の「公助」の限界が指摘される中、さらなる防災力の強化に向けては、市民自らが、地域の安全を「自分ごと」と捉え、地域の防災力を上げる取組が大切であると考えます。そこで、本市の地域防災力の強化に向けた取組について、市長の考えを伺いたい
■小出市長 近年、全国各地で大規模な災害が頻発し、甚大な被害が発生する中、私は市民の安心・安全のため、防災庁舎の建設、防災行政無線デジタル化整備事業など、本市の防災力強化に全力で取り組んでまいりました。
 地球温暖化を要因とする異常気象や首都直下地震など、あらゆる事態を想定し、本市の防災力をさらに強固なものとするためには、市民一人一人、そして地域による、「自助」と「共助」の取組が大変重要であると考えております。
 このため、「自助・共助による防災体制強化」の取組のスタートとして、昨年、「いちはら防災100人会議」を開催し、「地域防災力を高めるために」をテーマとして、災害発生時において身近にどのような危険があるのか、また、被害を軽減するために自分自身や地域で何ができるかなどについて話し合っていただきました。
 そして、この会議でいただいた自助・共助の具体的なアイデアのもと「市原市地区防災計画策定の手引き」を策定しました。現在、地域の現状や将来性に合った「自助」「共助」の計画である「地区防災計画」を全市的に整備すべく、モデル地区における取組を積極的に支援をしているところであります。
 地域のリスクや備えを知り防災の「自分ごと」化を図るとともに、全市的に防災の裾野を広げる本市の取組は、国が発行する「防災白書」などにおいて紹介され、国から高い評価をいただきました。
 私は、地域、市民一人一人の防災意識の高揚を図るとともに、対話と創意工夫のもとで策定される「地区防災計画」の取組を支援しながら、「公助」と一体となった地域防災力の強化に、全力で取り組んでまいります。

(2)災害時における外国人への対応について
 今後の外国人の増加に対応するため、外国人に対する防災啓発や災害時の情報伝達方法等の充実が必要と考えますが、見解を伺いたい。
■総務部長 災害時に、言語や生活習慣、さらには防災意識の異なる外国人の安全を確保するためには、日頃から、防災に対する正しい知識を身につけていただくことや、いざというときに、正確で迅速な情報伝達のもと、適切な避難行動をとっていただくことが、大変重要であると認識しております。
 このような認識のもと、『市原市地域防災計画』においては、外国人への支援対策を定めており、それぞれ取組を進めております。
 まず、市ホームページでは、7カ国語に翻訳できるマルチリンガル機能により、災害時の情報を提供するとともに、外国人向けの防災パンフレットや避難所一覧を掲載するなど、外国人が必要な防災情報や災害に対する知識を取得できるよう、取り組んでおります。
 また、昨年11月には、外国人が多く居住する市内白金地区で「津波避難訓練」を実施し、多くの外国人の方々に参加していただきました。
 その際には、事前に多言語による案内パンフレットを町会に配布し、「津波避難訓練」の周知を図ったほか、訓練当日には、外国語の資料を使った防災講話を行うなど、外国人居住者への防災意識の啓発を行い、被災時に適切に行動できるよう取り組みました。
 さらに、昨年度からは、指定緊急避難場所等に設置する避難表示看板の多言語化を進めるとともに、避難場所の位置やその避難場所が、どのような災害に対して安全な場所なのかということが、外国人にもわかるよう、ピクトグラムによる表示を導入し、災害時の円滑な避難行動につながるよう、取り組んでおります。
 今後につきましても、これらの取組を一層推進するとともに、先進的な事例等も参考にしながら、本市を訪れる外国人の増加等も踏まえ、災害時の外国人の安全確保に取り組んでまいります。

(3)スクラムフォースによる消防力の強化について
 全国で初めて配備された消防ロボットシステム「スクラムフォース」をどのように活用し、どのように職員を育成していくのか、それぞれの取り組みについて伺いたい。
■消防局長 本市の臨海部は、石油コンビナート区域で形成され、多くの化学プラントや石油タンクなど、首都圏のみならず、我が国のエネルギー産業基盤の中枢でもあり、一度災害が発生いたしますと、経済的、社会的にも深刻な影響が生じる恐れがございます。
 本年、消防庁から無償使用制度により、配備されました消防ロボットシステム、通称「スクラムフォース」は、高い輻射熱などにより消防隊員が近づくことが困難な災害に対応できることとなりました。
 この消防ロボットシステムは、本市の石油コンビナート区域で発生した爆発や大規模火災、さらには、二次災害が懸念される災害におきまして、消防戦術を構築する上での情報収集や、無人での消火活動など、安全かつ的確な消防活動の遂行に活用してまいります。
 また、本システムは、本市災害のみならず、消防庁長官からの要請に基づき、緊急消防援助隊としても、全国に出動することとなっております。
 次に、消防ロボットシステムに係る職員の育成でございますが、地理的空間情報など、特に高度なシステムの理解が必要となる、飛行型偵察機器及び陸上型偵察機器を有効に活用できる職員の育成が必要となっております。
 このことから、昨年度、職員の適性などを見極め、先行して職員の研修を実施したところでございますが、今後も継続して計画的に専門的な知識及び技術を有する職員の育成に努めてまいります。
 消防局では、平成27年度に配備されました、ドラゴン・ハイパー・コマンドユニットと併せ、あらゆる特殊な災害に対し、迅速かつ的確に対応すべく、消防力の強化を図り、災害に強い安心・安全なまちづくりを進めてまいります。