市民クラブを代表いたしまして、平成29年度一般会計及び特別・企業各会計決算審査に係る意見の陳述を行います。
初めに、総括的な観点から意見を申し上げます。
平成29年度におきましては、
市原市総合計画のスタートに合わせ、その具現化を図るため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる施策」、「ひとの活躍と地域主体のまちづくりに向けた施策」、「ひとを支える安心・安全の強化に向けた施策」の3つの重点施策を中心に、全庁一丸となった取り組みを進めてこられました。
また、平成29年度予算では、財源対策として基金の活用をはじめ、市債の活用範囲の拡大や行財政改革の断行など、経営感覚を持った予算の重点化が図られたものであり「目指すべき都市像」に向け、スタートダッシュを図る市長の政治姿勢を高く評価しているところであります。
この決算に係る概要につきましては、一般会計の歳入が945億4,910万円となり、前年度から23億3,709万円、率にして2.5%の増加となっています。
その要因としては、歳入の大宗を占める市税が、臨海部の石油化学企業等の業績改善や固定資産税の家屋新増築分の増加に支えられ、調定額が伸長したこと、また、市税徴収率が93.5%と昨年度比1.0ポイント上昇したことなどが挙げられるところです。
特に、市民税では法人分が10億1,307万円の増加となっていることが大きな要因と言えます。
しかしながら、この法人市民税の増収については、為替や原油価格などの外部環境の影響が色濃く反映されてしまうという特徴がありますので、今後の推移を注視する必要があるものと考えております。
また、固定資産税のうち家屋分では新増築により、前年度より2億0,555万円の増加となっておりますが、3年ごとの評価替で経年減点により調定額が減少する特徴があり、平成30年度がその評価替の年度にあたりますので、その動向にも注意が必要であると言えます。
一般会計における収入未済額は、44億115万円であり、そのうちの31億4,818万円を市税が占めております。
市税の収入未済額は、昨年度に引き続き改善されており、市税徴収率も93.5%と昨年度比1.0ポイント上昇していることから、一定の評価はいたしますが、税負担の公平性の観点からも、更なる未収金の解消や徴収率の向上に取り組むことが必要であります。
また、市税以外の未収金についても、債権回収対策本部を中心とした、より一層の徴収強化を望むものであります。
更に、今後も、自主財源の確保に向け「ふるさと納税」や「寄附文化の醸成」など、更なる増収対策に取り組んでいただきたいと思います。
次に、財政の健全化にかかる主な財政指標について、平成29年度決算における経常収支比率から述べさせていただきます。
ここ数年の経常収支比率の推移は、平成26年度が95%と過去最高となり財政運営の硬直化が懸念されたところですが、その翌年の平成27年度では、消費税増税に伴い、地方に配分される地方消費税交付金が約19億円増加したことにより、2.6ポイント改善が見られたものの、その翌年の平成28年度では、市税収入が停滞する中、扶助費の増加も影響し、再び上昇に転じるなど、予断を許さない状況となっておりました。
平成29年度決算では、市税収入の増加に支えられ、前年度から3.1ポイント改善し、90.4%となっておりますが、この先を展望してみますと平成31年10月には法人市民税の税率が引き下げられますので、これを契機とした法人市民税の減収が懸念されるとともに、少子高齢化の進展から社会保障関連経費の増加も見込まれますので、経常収支比率は嫌が応にも上昇していくことが見込まれるところです。
経常収支比率の上昇は、経常的な経費に財源が費やされ、柔軟な投資活動が制限されることになります。今後、本市では、公共資産マネジメントによる再配置事業が本格化してまいりますので、この財源の確保の観点からも、経常収支比率を抑制する努力と、厳しい財政局面における一助として、財政調整基金や公共施設整備基金への更なる積み立てを要望するものであります。
続きまして、歳出になります。
歳出につきましては、前年度比1.1%増の899億9,591万でありました。
以下各分野について、何点かの指摘と要望事項を所管する部局別に述べさせていただきます。
まず、企画部所管では、広報車両ラッピング委託については、走る広告塔としての役割があるため、様々な場所に出向き、シティプロモーション活動を積極的に展開すること。
総務部所管では、市原市において、大規模災害が発生した場合、被害を受けた市民の円滑な生活再建を早期に実現することが重要であると考えますので、ハード面の災害対策だけではなく、罹災証明書や見舞金の給付、仮設住宅入居の受付等がワンストップで出来る、ソフト面での効果的な対応策の充実に意を用いること。
財政部所管では、市税徴収率の向上に向けて、全庁一丸となって適正かつ効率的な債権管理に努めること。
また、災害時における市税徴収においては、被災した方々に寄り添った減免措置の対応に努めること。
資産経営部の所管では、学識経験者等で構成された「公共資産マネジメント審議会」での検討内容を十分考慮したうえで早急に課題対応を図ること。
また、測量や建設工事の設計業務は、公共事業の根幹となる重要な業務と考えることから、他市の状況を調査し、建設工事や委託業務と同じように、最低制限価格制度の導入について検討すること。
市民生活部の所管では、マイナンバーカードの交付率は、 12.3%と依然として低い状況にあることから、市民に対して、カード取得手続きの分かりやすい案内や証明書コンビニ交付サービス事業と関連付けた周知策に意を用いること。
保健福祉部所管では、ジェネリック医薬品普及促進事業は、医療費削減に役立つ特効薬の一つと考えます。平成29年度は、 1,580万円の削減が図られ、加えて、本年から保険証にジェネリック医薬品を希望する旨のシールが同封されており、大変効果的な取り組みであり評価できます。今後も引き続き、効果的な普及促進策に意を用いること。
子ども未来部の所管では、児童虐待相談は、平成29年度に 376件と前年度に比べて大幅に増加しております。児童虐待を抑止するためには、児童を取り巻く関係機関の連携が重要かつ不可欠であると考えることから、今後も一層の情報共有等の切れ目のない支援のための体制の構築に努めること。
また、発達支援センターの心理指導員が行っている保育所等への巡回相談業務は、発達が気になる児童の早期発見、早期支援や助言による不安解消に非常に効果的であり評価できます。
しかしながら、現在の配置数1名ではすべての保育所等への巡回相談ができていない状況であることから、適切な配置数の検討を行うように努めること。
スポーツ国際交流部所管では、オリンピック・パラリンピックや国際的な大会等の開催により、市民のスポーツに対する関心の高まりも感じられる中、地区運動広場についても、トイレの水洗化を図ること。
また、これまでの取り組みの成果を生かしながら、今後も引き続き、様々なスポーツ団体の合宿等の誘致に努めること。そのことにより、交流人口を増やし、地域経済の活性化に結び付けられるように積極的な事業展開を図ること。
土木部所管では、土木事業においては、最小限の経費で最大限の効果を上げる為に、事業の選択と集中、特定財源の確保を念頭に、緊急性や必要性、費用対効果を考慮した取り組みは評価できます。
今後とも、平成通りの早期全面供用等、真に必要とされる事業を厳選し、重点的に取り組み、都市計画道路を軸とする幹線道路ネットワークの整備等を進め、市民の安心安全の確保に取り組み、災害に強いまちづくりを目指すこと。
都市部所管では、都市基盤整備の着実な進捗を図り、市民の安心・安全確保に取り組んで来たことは評価できます。
しかし、広域であり、高齢化が進む市原市においての交通弱者対策は、益々深刻な問題となっていることから、今後も地域の実情に合わせながら、市民の足の確保に向けての効果的な取り組みに意を用いること。
また、市営住宅においては、住宅の老朽化、利便性の悪さ等で、空き部屋も出ている現状があります。更に入居者の高齢化も進行している中で、居住している市民の生活しやすい環境整備をする必要性も考慮すべきと考えます。
今後の市営住宅のあり方については、単に長寿命化だけでなく、民間住宅の活用等も視野に入れた検討を行うよう努めること。
上下水道部所管では、水道水の安全確保、確実な給水の確保、供給体制の持続性確保を図ること。
また、下水道では、生活環境の改善や公共用水域の水質保全を図る為、早期の汚水処理施設の整備や耐震対策、老朽化した施設の適正な維持管理、長寿命化に努めること。
加えて、水道水の有水率改ざん問題を真摯に受け止め、平成29年度中に検討された水道事業運営審議会と水道管理者の配置により、適正な水道事業の経営に専念し、市民の信頼回復に努めること。
教育総務部所管では、環境整備費においては長寿化計画に基づき児童生徒の安心安全のため、老朽化した箇所への速やかな修繕を図ること。
また、学校トイレ洋式化事業においては児童生徒の健康的な学校生活を送れる様に実行計画の進捗管理の徹底に努めること。
学校教育部所管では、心のサポーター事業においては相談件数の推移から、今後、潜在的需要に対しても取り組む必要性があると考えることから、本事業の拡充に努めること。
また、特別支援教育推進事業においては児童生徒、保護者の相談体制の強化や人間の多様性を尊重したインクルーシブ教育システムの確立が重要であると考えます。本事業推進のため、教育現場での更なる取り組みに努めること。
生涯学習部所管では、子ども読書活動推進事業においては「子ども読書活動推進フォーラム」や「ビブリオバトル」の開催など楽しみながら参加できる事業として評価するところであり、事業の更なる発展に努めること。
また、公民館費における施設管理費においては、公民館利用者の高齢化やバリアフリーの観点から、利便性向上のための施設の維持管理や環境整備に努めること。
消防局所管では、消防職員を消防局の大切な財産と位置づけ、効率的な組織づくりを推進し、更なる市民の安心安全の向上に努めること。
以上、様々な観点から意見を述べさせていただきましたが、市長をはじめ、執行部におかれましては、ただ今申し上げさせていただいた意見等を十分に検討していただき、今後の市政運営につなげていただければと思います
以上これらを要望し、市民クラブは平成29年度一般会計及び特別・企業各会計決算を認定するものとし、意見の陳述を終わります。