平成29年6月定例会で菊地洋己議員が代表質問

201712kikuchi_L

平成29年6月定例会で市民クラブからは、会派代表の菊地洋己議員が登壇し代表質問をしました。

1 市原市総合計画について
(1) 公約の反映について
公約に掲げた「基本政策と5つの重点政策」について、市民の負託に応えるため、この2年間の対話や取組を通して、どのように総合計画に反映されたのか。そして、その実現に向けてどのような思いで取り組んでいくかのか、お聞かせください。

小出市長 私は、少子高齢化の進行や人口減少、産業構造の変化などの課題に直面している市原市を、何とかして、再び明るい展望が開けるまちにしたいという思いを込めて、「基本政策と5つの重点政策」を公約としてまとめました。
また、これらの課題を克服し、将来にわたって活力あるまちづくりを進めるためには、議会をはじめ、町会長やあらゆる世代の市民の皆様との幅広い対話が必要であるとの思いから、さまざまな場面を通じて対話を重ねてまいりました。
その中で、本市の厳しい現状や今後起こりうる課題を共有し、地域資源を活かした魅力の創出や子育て・教育の総合的推進など、まちづくりの方向性について、積極的なご意見やご提言を、数多くいただきました。
そうした機会を通じ、市民の皆様のまちづくりに対する強い思いに感銘を受け、市原のまちづくりの主役は紛れもなく市民であると、確信をいたしました。
私は、公約に掲げた私の思いとともに、市民の皆様から頂いた貴重なご意見を総合計画に注ぎ込み、子どもたちや若者・女性をはじめ、誰もが将来に夢や希望を抱きながら、全ての市民がそれぞれの個性を生かして活躍できるまちづくりを目指すこととして、本市の都市像を「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」と掲げたところであります。
今年度は、都市像の実現に向け策定した総合計画を着実に実行し、成果を挙げるスタートの年であります。
私は、この第一歩をどのように刻むか、これが今後10年間の成果を大きく左右するものであると考えております。
計画はつくって終わりではありません。成果をあげてこその計画であります。
だからこそ、私は、総合計画の基本理念「変革と創造」を市政運営の根幹に据え、あらゆる世代がその成果を実感できるよう、強い覚悟を持って誇りの創生に果敢に挑戦し、市民の皆様とともに、都市像「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」の実現に、まい進する決意であります。

(2) 実効性の確保について
① 市民への周知について
総合計画をどのように市民へ伝えていくのか、見解をお聞かせください。

小出市長 総合計画に掲げる都市像「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」は、市民の皆さまとともに目指すまちの姿を示したものであり、これを市民と行政がしっかりと共有することが、都市像の実現に必要不可欠なものであると考えております。
そこで、私は、これまでにない新たな形として、総合計画の完成報告である「いちはら未来トーク」を6月3日に開催し、多くの市民の皆様と都市像や施策の方向性など、新たなまちづくりについて、思いを共有させていただきました。
今後も、多くの世代への周知を図るため、未来創生ミーティングやいちはら未来会議など、様々な機会を捉えて、私自ら、積極的にプレゼンテーションをしてまいります。
さらには、市の計画に触れる機会の少ない方々にも、手軽に手に取っていただけるよう、新たに写真をふんだんに取り入れ、親しみやすく、コンパクトに編集した総合計画基本構想の冊子を作成し、学校や病院、銀行の待合所などにも配布してまいります。
また、若者が利用しやすい動画やフェイスブックなど、様々なメディアを積極的に活用し、すべての市民に対して情報をお届けしてまいります。
私は、このように、あらゆる機会を捉え、様々な手段を講じて、幅広く総合計画のプロモーションを展開し、市民との共通理解のもと、ひとの活躍による都市像の実現にまい進してまいります。

②評価・見直しについて
都市像の実現に向けては、計画を幅広く伝え、着実に実行していくことがもちろん大切ですが、その結果を評価し改善すること、これこそが実効性を高めるために非常に重要であります。
目標が達成できたかどうか、あるいは達成に向かっているかどうかをしっかりと検証し、その上で計画を見直すという柔軟性を持つことが必要と考えますが、執行部の見解を伺います。

企画部長 計画は、策定して終わりでなく、策定以降の着実な実行と成果をあげることが重要であります。
そのためには、基本理念である「変革と創造」を念頭に、効果検証による計画の見直しや改革を進め、目標実現に向けて、実効性の確保を図っていくことが重要であると考えております。
そこで、庁内横断の全部局体制で、総合計画の 推進及び見直しを行っていくため、5月末に市長を本部長とする変革創造本部を設置したところで あります。
この変革創造本部を中心に据えて、各種計画の 策定・見直し、予算編成、事務事業の改革改善、  組織編成等の各行政システムが一体的に連動する仕組みの構築を進めてまいります。
さらに、庁内での効果検証と合わせ、市議会や総合計画審議会、いちはら未来会議など、市民や 有識者のご意見を伺う機会を設け、目に見えるPDCAサイクルを確立し、毎年度、計画の評価・見直しを行うことで、都市像「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」の実現を目指してまいりたいと考えております。

評価・見直しに当たっては、計画に掲げた施策が市民のために機能したか、成果を生み出したかどうかについて、根拠に基づいて点検し判断する必要があります。
この根拠となる情報源として、各種の統計データや市民アンケート調査などがあり、点検手法として有識者や市民による効果検証などが考えられますが、どのような情報のもとでどのように点検していくのか、執行部の考えを伺います。

企画部長 総合計画の効果検証につきましては、計画体系に基づいた客観的な検証とするため、基本構想、基本計画、実行計画の各段階に指標を設定し、 市民目線による検証を行うこととしております。
具体的に申し上げますと、はじめに、基本構想においては「都市像の実現に近づいていると思う市民の割合」を最上位の指標として設定しております。
この指標は、主観的な性格を持ったものであることから、いちはら未来会議において市の現状や実績を説明した上で、参加者にアンケート調査を実施するなど、市民との対話を進めながら、継続的に検証いたします。
あわせて、基本構想では「ひとの活躍」が高まっているかどうかを検証するため、「町会や自治会などの地域活動に参加した市民の割合」など、いわゆるアウトカム指標を42本設定しており、毎年度の市民意識調査によって計測いたします。
次に、基本計画では、施策の直接的な成果を 検証するため、「市民活動を行うNPO・ボランティア団体数」など、客観性の高い統計データを 用いた指標を延べ114本設定しております。
次に、実行計画では、各事業の実績を検証するため、「市民活動に関する講座の実施回数」など、いわゆるアウトプット指標を延べ1,016本設定しております。
これらの指標を用いて、都市像に対する施策や事業の効果を検証するため、毎年度庁内において自己点検を実施するとともに、市議会をはじめ、総合計画審議会や、いちはら未来会議において、市民や有識者の御意見を伺ってまいりたいと考えております。
さらに、これらの検証結果を各種計画の見直しや予算編成等に活用し、変革と創造による実効性の確保に努めてまいります。

3 人材の育成・活用について
施策をより効率的かつ効果的に実行していくため、職員にはそれぞれの業務に関する高い専門性が必要であると考えるが、高い専門性を得るために、職員に対してどのような人材育成を行っているのか伺いたい。

総務部長 職員がプロフェッショナル意識を持って自ら能力を高め、仕事の中で成果を出すためには、組織の中で求められる能力や役割を認識し、自ら目標を持って行動することが大切であると考えております。
そこで、本市では、能力開発の支援策として、「人財育成基本方針」を定め、職員の目指すべき姿を明確にするとともに、その実現に向けた職員研修を体系的に整理し、取組を進めております。
その取組は、大きく分けて2点あり、1点目は、職場研修、いわゆる「ОJT」であります。
各職場は、職員の能力を開発する実践の場であり、上司や先輩職員が、各職員の担当業務において、適切な支援や助言を行う「ОJT」を通じて、各職員が専門知識や技術を習得できるよう取り組んでおります。
2点目は、職場外研修であります。
各業務に関する専門研修の受講と他の自治体職員との交流によるネットワーク作りを目的として、千葉県自治研修センターや市町村アカデミー等の外部機関に職員を派遣しております。
また、中央省庁への派遣や千葉市との人事交流などを行っており、専門性の向上や発想力の強化に努めております。
今後とも、職員一人一人が、専門知識や技能を積極的に習得し、さらなる市民サービス向上を図れるよう、人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

職員が持ちえていない専門知識などを補完するため、専門性のある外部の人材を任期付職員として登用し、困難な行政課題に対応することも有効と考えるが、本市のこれまでの取組とその効果を聞くとともに、今後の拡充について見解を伺いたい。

総務部長 本市では、民間企業などで培った高度の専門的な知識経験や優れた識見を行政運営に活用するため、平成28年度に法務、広報、産業連携の3分野において、平成29年度に地域防災の分野において、任期付職員を採用いたしました。
この効果ですが、主に3点ほどあげられます。
1点目は、任期付職員が持つ専門性や先見性、創造性が十分に発揮され、スピード感を持って、それぞれの分野で成果を挙げております。
2点目は、民間企業や弁護士活動などで培った幅広い知識と経験を活かし、困難事例への総合調整の役割を果たしながら、部局横断的に仕事を進め、総合行政の推進に大きく貢献しております。
3点目は、これらの任期付職員と共に働く職員が、様々な専門的な知識やノウハウを学び、自己の能力開発につなげる効果も出てきており、新たな組織文化の形成にも効果が現れつつあります。
今後につきましても、これまでの成果を十分に踏まえつつ、市の戦略的な施策や重要課題への対応について、積極的な登用を進めてまいります。

4 働き方改革について
本市職員の時間外勤務時間の状況はどうなっているか、また、1か月あたりの時間外勤務が80時間を超える職員はいるのか、その実態について伺いたい。

総務部長 平成28年度の状況ということで、お答えいたします。
はじめに、平成28年度における本市職員の1人当たりの時間外勤務の平均時間数でありますが、年間で127時間、ひと月に換算しますと10.6時間となっております。
このような状況につきましては、平成28年3月に策定した「市原市行財政改革大綱」では、「年間1人当たりの時間外勤務の平均時間数を120時間以下」とする目標を掲げており、昨年度の実績は、この目標には達していないため、引き続き、時間外勤務の縮減に取り組んでいく必要があると考えております。
次に、1か月あたりの時間外勤務が80時間を超える職員数でありますが、平成28年度実績では、年間延べ人数として104人、ひと月に換算しますと8.7人となっており、前年度に比べ、約60%増加しております。
この主な要因といたしましては、平成28年度は、総合計画の策定や事務事業の総点検、あるいは、いちはらアート×ミックスなど、本市の行政運営における今後の方向性を定める業務やイベント準備が集中したことがあげられますが、多様化・高度化する住民ニーズへの対応など、行政を取り巻く環境の変化も複雑に絡み合っているものと考えております。
今後とも、職員の健康を確保し、公務能率の向上を図るため、引き続き、時間外勤務の縮減に取り組んでまいります。

長時間労働の是正が官民を通じて重要課題となっている中、本市における時間外勤務の縮減への対策について伺いたい。

総務部長 変革と創造による総合計画がスタートし、本市の新たな未来を切り拓くため、その原動力となる職員の働き方もこれまでの延長線上ではなく、多様かつ柔軟な改革を推進し、組織風土や各種人事制度を大きく改革することで、より一層の市民サービス向上につなげることが求められております。
働き方改革を目指すためには、まず、組織全体の生産性を向上することが重要であると考えております。
具体的には、仕事のやり方・進め方の見直しを行い、事務の効率化・簡素化を図ることで時間外勤務を縮減するとともに、併せて、働きやすい職場環境づくりを推進することで、職員の健康の確保や仕事と家庭の両立を図るものであります。
また、働きやすい職場環境が整備されることで、より多くの公務員志望者が「市原市で働きたい」と思うきっかけとなると期待するとともに、多様な人材が活躍できる組織風土を醸成することで、より柔軟かつ先見的な発想が、効果的に施策に反映されるものと考えております。
なお、今年度の取組といたしましては、定員管理に係る基本方針において、従来の総職員抑制という方向性から、職員のモチベーションを高め、一人一人の資質向上に向けた人材育成と部門間連携の強化により、組織全体の生産性の向上を目指すといった方向性へ見直したところであります。
今後の取組としまして、今年度、防災庁舎への移転を予定しており、職場環境を見直すなど、働き方改革の大きなチャンスと捉えておりますことから、総務部内にプロジェクトチームを設置し、生産性向上や働きやすい職場環境の整備、組織風土改革など、本市の働き方改革の具体的な取組に着手してまいります。

5 観光振興について
去る4月8日から5月14日までの37日間、南いちはらの里山を舞台に開催されました、「いちはらアート×ミックス2017」の成果はどうであったのか、伺います。

経済部参事 去る5月14日に閉幕しました、いちはらアート×ミックス2017の成果でございますが、地域や関係団体など、多くの方々が参画した、市原型の芸術祭として開催し、市内外から多数の皆様にご来場いただいたところであります。
地域住民がボランティアで受付案内に協力いただいたのをはじめ、市内小学生の絵画展示、中学生によるウエルカムボードの作成や作品となる蝶々づくり、地域で活躍する作家や団体等による作品展示や体験型ワークショップの開催、さらには、地域の商業者による飲食や土産品の提供など、これまで以上に多くの市民に参画していただき、芸術祭の魅力向上にもつながりました。
また、今回の芸術祭では、これまでの現代アート作品の展示等に加え、小湊鉄道100歳企画との連携、地域の飲食店とともに実施したスタンプラリー、地元神社や能楽等の伝統文化と協力したイベントの開催などにより、住民と来場者の交流機会の創出と本市の持つ様々な魅力の発信につながったものと考えております。
現在、来場者数等につきましては、確認・集計作業中でありますが、多くの皆様に関わっていただいた今回の芸術祭は、各会場で前回を上回る賑わいも見られました。
今後、関係者や市民の声を十分聞きながら、総括報告書として取りまとめ、様々な視点から、芸術祭の成果について検証を行ってまいります。

今年度策定された「市原市観光振興ビジョン」では将来を見据え、観光を通じて、地域振興・経済振興につなげていくための方向を明確にしたと思いますが、今回の芸術祭の効果も踏まえ、今後どのように展開していくのか、見解を伺います。
経済部参事 今回のビジョンでは、「誰もが 訪れたくなる おもてなしのまち いちはら」を将来像に掲げ、「観光地として選ばれる市原市」、「地域自ら稼ぐ力を持つ市原市」、「住んでよし、訪れてよしの市原市」という3つの視点に立ち、観光入込客数を、現在の350万人から、10年後には、500万人とする目標として、策定いたしました。
この目標を達成するため、南市原の里山をはじめ、今回の芸術祭においても活躍いただきました、おもてなしの心を持って迎えてる地域の皆さまとともに、地域の特性を活かした「体験・交流型」のプログラムを作るなど、観光客のさらなる誘致につながるような魅力ある受け皿づくりに、重点を置いてまいります。
次に、新たな取り組みといたしましては、日本一の数を誇り、本市の貴重な観光資源であるゴルフ場と連携し、昨年度から、ふるさと寄附の返礼品といたしまして、20のゴルフ場がゴルフプレー券を作ったところ、現在まで約2900万円の寄附金が集まると同時に、ゴルフ場客の増にも、つながっております。
今年度は「ゴルフの街いちはら ゴルフ場巡り33」事業や「ゴルファー・スタッフ育成」事業などを展開し、ゴルフ場利用者のさらなる増加とスタッフの確保につなげてまいります。
また、この秋には、君津市、大多喜町との3市町による広域連携事業といたしまして、秋の里山をめぐる「房総さとやまGO」の運行を実施し、新たな観光ルートの創出に向けた実証実験を行ってまいります。
さらに、本市を訪れる観光客の利便性の向上のため、小湊鐵道養老渓谷駅の公衆無線LANの設置をはじめ、多言語化に対応した観光案内看板の新設等の環境整備にも取り組んでまいります。
併せて、本市観光振興の中心的な役割を担う組織である市原市観光協会は、今年度から本社機能を市役所に移転するとともに、人員の増強を図るなどの経営改革を進めているところでございますが、観光振興ビジョンの推進に向け、今まで以上の連携強化を図ってまいります。
今後は、市原市総合計画にも掲げている「世界に一番近いSATOYAMA」の地理的優位性を生かし、地域振興・経済振興に結びつくような観光施策を展開してまいります。
2 財政運営について
(1)使用料について
公共施設の使用料を引き上げてきたが、子どもが利用する場合の使用料について、未来への投資及び人の活躍の観点から、何らかの支援や配慮がいただけないものか、見解を伺います。

小出市長 平成28年度での一連の使用料の改定につきましては、施設を利用する皆様に負担を強いることになりましたが、これは、今後、増大していく施設の老朽化対策と、施設を利用しない方との負担の公平性の観点から、必要不可欠な改革と位置づけ、実施してまいりました。
また、引き上げを行う一方で、現行制度では、子ども料金の設定や、利用者に配慮した減免制度を設けるなど、施設の特性に合わせた規定を設けております。
私は、将来を担う子どもたちへの投資として、また、人の活躍の原動力となる「人の育成」の観点から、子どもに対する政策を早期に実行し、その実りをもって、子どもたち自身が未来を力強く切り拓いていけるよう、この4月に子育ち支援に係る施策を総合的に網羅する「市原市次世代育成支援行動計画」をスタートとさせました。
子どもたちが公共施設を利用する場合の使用料の取り扱いについては、次の世代の市原を担う子ども達の健全な育成と「人の活躍」につながるよう、子どもたちへの想いを政策の形として早期に打ち出して、実行してまいります。

(2)基金について
本市の平成28年度末現在の基金の種別と残高をお示しください。基金の運用はどのような考えのもと行われているのか。1年間の運用収入額と利回りはどのくらいか。

財政部長 1点目の平成28年度末現在の基金の種別と残高につきましては、年度間の財源調整などを目的とする財政調整基金の残高が約53億3千万円、緑化基金や文化基金など特定事業の財源積立てを目的とする基金が8種類あり、この残高は合わせて46億5千万円、その他、定額資金の運用を行っている土地開発基金が5億円となっております。
2点目の、基金運用の考え方につきましては、平成17年4月からのペイオフ全面解禁を契機に「市原市公金保全対策基本方針」を定め、これに基づき、元本の保全を最優先とした中で、可能な限り有利な運用を行うことにしております。
具体的な運用は、支払い資金である歳計現金が一時的に不足した場合を考慮し、満期前の解約でも元金が保証される大口定期預金の運用と、国債などの債券運用を行うことにしておりますが、平成27年度以降では、国債の運用利回りが大口定期預金の利率と同程度まで下落していることから、大口定期預金のみ運用し、国債等による債権運用は行っておりません。
3点目は、1年間の運用収入額及び利回りについてでございますが、平成28年度における運用収入額は約215万円となり、利回りに換算しますと平均で0.02%となってございます。

基金の一括運用とそれに基づく長期的な運用などにより資金管理の多様化を図り、多くの運用収入を上げる取組が必要と考えますが、見解を伺います。

財政部長 日銀のマイナス金利政策の影響により低金利が続く中、ご指摘のように基金の運用成果を挙げている自治体もございます。
基金の運用方法につきましては、地方自治法では、特定の目的に応じ、確実かつ効率的に運用しなければならないと規定されておりますが、原資が市税であることを考慮しますと、より安全で慎重かつ確実な運用が求められる一面がございます。
他方、市税ゆえに少しでも多くの運用益を得るよう有効な運用に努めるべきという両面の考えがあると認識しております。
このことから、基金の運用につきましては、安全性を確保しながら、より効率的な運用を図ることを基本としつつ、他市の運用事例も研究し、健全財政に資する運用に取り組んでまいりたいと考えております。

本市の公共施設整備基金の残高では来るべき大型施設の整備更新に対して十分ではないと危惧しています。例えば福増クリーンセンターの更新事業など具体的な目的を掲げた基金の創設についてどのように考えるか、見解を伺います。

財政部長 基金は条例の定めるところにより設置し、設置した目的のためでなければ、その積立額を使用することができないものとされております。
これは地方自治法の規定でございます。
このため、特定施設に限定した基金を創設した場合には、当該事業における計画的な財源確保が容易になる一方で、限りある財源の中、その他の公共施設整備に係る財源確保に支障が生じる恐れもございます。
従いまして、現在は多様な観点から公共施設の整備、改修及び維持補修などに必要な資金需要へ柔軟に対応できるよう、公共施設整備基金により一括して管理を行っているところでございます。
ご指摘にありました大型施設の資金需要への対応につきましては、財政運営上極めて重要な課題と認識しておりますことから、今後の公共資産マネジメント計画の推進状況などを勘案しながら、基金管理のあり方を検討してまいります。

(3)未利用財産の活用について
公有財産は市民共通の財産であり、そのポテンシャルを最大限に発揮できるよう運用し、市の財源確保につなげるべきと考えます。そこで、未利用財産の有効活用について、先ずはこれまでの市の取組み状況と売却や貸付の数年間の実績について伺います。

財政部長 本市では、厳しさを増す財政状況を踏まえ、歳入の確保を目的に、将来的にも利用する見込みがなく処分可能な土地については、計画的な売却を進めております。
また、処分が困難な土地については、千葉県や民間事業者などに有償で貸付を行っております。
ここ数年の売却の実績については、平成25年度に56件を売却し、売り払い収入は
約7千6百万円、平成26年度に38件を売却し、約1億8千8百万円、平成27年度では50件を売却し、約1億6千3百万円、平成28年度は29件を売却し、約1億円の売り払い収入となっております。
また、貸付につきましては、主な貸付先であります千葉県に対して、以前は無償で貸付けていた土地についても、昨今の厳しい財政状況をご理解いただき、順次有償化を進めてきております。
その結果、貸付額は年々増加しており、平成25年度に63件を貸付け、収入額は約1千5百万円でしたが、平成28年度は74件の貸付で、収入額は平成25年度の1.5倍の約2千2百万円となっております。

未利用地は、売却はできなくても貸付による有効活用は可能だと考えます。全国に目を向ければ、先進的な事例もあると思いますので、本市においても、工夫次第で更なる推進が図れるものと考えますが、当局の見解を伺います。

財政部長 今後の中長期的な財政運営を見据えますと、新たな貸付など財源対策は重要な取り組みになってまいります。
ご指摘の未利用地の貸付については、これまでも計画的に実施しておりますが、より効果的な取組みにより、一層の推進が必要であると考えております。
このため、現在、公有財産の適正な管理及び活用を目的としたガイドラインの策定を進めており、この中で、効果的な未利用地の貸付に関する庁内統一的なルールについて、検討しているところでございます。
未利用地の貸付については、今後、長期的な視点に立った財源対策としても有効な対策になりますので、公有財産のマネジメントの観点からも、庁内関係部局と連携して、有効に活用できるよう取り組んでまいります。

(4)入札契約制度について
本市における業種別の落札率の状況と、その入札結果をどのように分析しているのか伺います。

財政部長 本市の平成28年度における業種別の落札率につきましては、建設工事が、92.5%、清掃、警備などの委託業務は、84.5%、測量・コンサルタント業務は、64.6%、物品調達は、85.5%となっております。
この落札率については、本市をはじめ市川市や船橋市など県内12市で構成する契約事務連絡協議会の平均値と比較しますと、物品調達は、平均値とほぼ同じですが、建設工事の落札率は、平均値より1.6ポイント低く、同様に委託業務は、3.4ポイント、測量・コンサルタント業務は、
14.4ポイント、それぞれ低い結果となっております。
次に、入札結果の分析でございますが、本市では、建設工事につきましては、地方自治法施行令等の規定により、設計金額が5千万円未満の工事に最低制限価格を設定しております。
また、設計金額が5千万円以上の工事及び総合評価落札方式による工事については、低入札の調査基準価格などを設定しており、価格競争に一定の歯止めを加えることで、契約の内容に適した履行が確保されているものと考えております。
一方で、委託業務の落札率は、県内他市と比較しますと低い状況になっておりますが、この要因としては、業務の効率化や諸経費の節減など、事業者側の経営努力が反映されたものと考えております。

平成27年12月における財政部長の答弁は、財政面への影響や他市の状況等を見極めながら検討するとのことでしたが、改めて、委託業務に最低制限価格制度を導入することについて、見解を伺います。

財政部長 最低制限価格制度については、公共事業の低価格受注による品質低下や下請企業へのしわ寄せなど、企業の健全な発展を阻害する要因を防止する観点から、地方自治法において、認められている制度でございます。
委託業務に関する最低制限価格制度につきましては、県内の契約事務連絡協議会の会員市の中では、半数近くの5市が実施しており、また、首都圏の政令市及び中核市では、全ての自治体が実施しております。
このうち半数以上の自治体では、清掃や警備業務など、委託料に占める人件費の割合が高い業務を対象に限定したものとなっております。
本市の考え方でございますが、委託業務へ最低制限価格制度を導入することは、入札にあたっての行き過ぎた価格競争を防ぐことができ、業務の品質や安定した履行体制の確保、企業の健全経営や労働者の雇用環境の向上に繋がるものであり、特に、経営基盤の弱い市内の中小企業にとって、
この効果は、大きいものと考えております。
一方で、財政面への影響を検証しますと、平成28年度の入札実績をベースに、仮に全ての委託業務を対象として、予定価格の75%を最低制限価格に置きかえて試算しますと、契約額で約5千2百万円の増加が見込まれることから、導入にあたっては、財政負担の増加を抑制するための一定の制限が必要になると考えております。
このような状況を踏まえ、現在、市の入札制度を審議する入札契約事務審査委員会において、協議を進めているところですが、市内企業の受注機会が多く、また、人件費の割合が高い委託業務につきましては、来年度からの最低制限価格制度の実施に向け、検討を進めてまいります。