平成28年9月定例会で伊藤浩士議員が代表質問

1 未来のいちはらについて

(1)「2026年いちはらの姿」について

2018ito

 いちはら未来会議や地区別報告会などにおいて、市長自ら2026年のいちはらの姿について

市民との対話を行ったが、市長は、これらの市民の意見や提言を踏まえ、改めて未来をどのような思いで描いていくのか、伺います。

小出市長 市民クラブを代表しての伊藤議員のご質問にお答えをいたします。

私は、先般、新総合計画基本構想のたたき台「2026年のいちはらの姿」について、直接市民の皆様にご報告を申し上げる、「いちはら未来会議中間報告会」や、町会長との「地区別報告会」を開催いたしました。

報告会にご参加いただいた皆様には、現状や課題など、本市の「今」について、再度、ご理解交通など、幅広いをいただき、その上で、地域資源の活用や産業振興、子育て・教育やコミュニティ、都市基盤や分野について、多くのご意見やご提言をいただきました。

特に、地区別報告会においては、それぞれの地域における課題や、それを乗り越える方策について、町会長の皆様と熱く議論を交わさせていただきました。

私は、これらの報告会を通じて、市原市の未来に対する市民の皆様の思いが、より一層、高まりを見せていることを、直接肌で実感をいたしました。

このたびお示しした、基本構想たたき台におきましては、このような市民の力「市原力」を原動力として、多様な主体の連携により、人と地域の活力が向上し、新たな誇りと価値を創生するまちを目指しております。

今後は、基本計画や個別計画の策定において、これらの目指すべき将来の姿を具現化するための確かな施策を構築し、「夢つなぎ 人きらめく 未来創造都市 いちはら」の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

 

 

(2)新総合計画策定における今後の進め方について

 今後、基本計画などで具体的な施策を組み立てていくに当たり、どのような考え方で進めていくのか、特に、それぞれの地域において、公共資産や学校のあり方なども含め、さまざまな分野を総合的に捉えた、地域全体のまちづくりを考える必要があると思うが、見解を伺いたい。

 

小出市長 新総合計画策定の今後の進め方について、お答えをいたします。

今後は、基本構想と平行して、基本計画の策定を進め、目指すべき都市像を実現するための具体的な施策の検討に取り組んでまいります。

私は、その施策の中心となるものは、人であり 地域であるものと考えております。

人が活躍し、地域の活力や魅力、新たな価値を 生み出す、そのような人と地域が主体のまちづくりを進める施策を構築してまいります。

そのためには、コミュニティや福祉、教育・文化、安心・安全、都市基盤整備など、これまで個別の  分野として進められてきた施策を、より密接に連動させることが必要であり、相互に実効性を高めて いくことが重要であります。

また、公共資産マネジメントについては、持続可能な地域づくりに向けて、健全な行財政運営を推進すべく、総合的な視点からしっかりと取り組んでまいります。

これらに対応するために、新総合計画では、「計画群の総合化」を図り、基本計画と各分野における個別計画を連動させ、目標の共有や連携を確実に進めてまいります。

これにより、人と地域が主体のまちづくりへ  に向けて、各施策をパッケージ化し、分野を越えて取り組む、総合行政によるまちづくりを推進してまいります。

 

 

(3)広報広聴機能の強化について

市の広報を強化していくことは重要と考えますが、7月から就任した広報担当主幹は、広報力強化について今後どのような役割を期待し、その力を活かそうとしているのか伺います。

 

企画部長 広報広聴機能の強化について、お答えいたします。

 人口減少や高齢化が進む中、交流人口や定住人口の増加を目指して、様々な施策や事業を進め、それらの取り組みを戦略的にプロモーションしていくことが何よりも重要だと考えております。

その第一歩といたしまして、今年度から広報広聴課内にシティプロモーション推進室を設置し、その取り組みを進めているところでございます。

しかしながら、戦略的なプロモーションを展開するためには、行政の視点に加え、民間企業などによる新たな発想も取り入れていく必要がございます。

そこで、民間企業で培った広報の企画やマーケティング実務の経験を有し、市原市を内外に発信するための新たな広報戦略を打ちだせる人材を7月から広報担当主幹として採用しております。

担当主幹は、大手広告代理店に長く勤務し、プロモーションのノウハウを熟知しており、これまでの行政の視点では見いだせなかったセールスポイントの発掘や企画など、シティプロモーションへの取り組みを強力に推進する役割を担うものであります。

具体的には、プロモーションのノウハウを全職員に浸透させるための取り組みや、市の魅力発信に重要な役割を担うプロジェクトへの企画立案段階からの参画などに従事し、本市の広報戦略の構築を図ってまいります。

 

 

 市政の疑問を解消し、市民の信頼を得るには、広聴機能を更に充実させ、市民の声を広く、数多く聞く必要があると考えるが見解を伺う。また、市民の声を広く聞くための手段としてスマートフォンの活用も考えられるが、併せて見解を聞く。

 

企画部長  広聴機能の強化ということで、お答えさせていただきます。

 

今後のまちづくりを進めていくためには、市民の皆様が望まれていることをしっかりと把握し、市政に反映させていくことが重要でございます。

そのためには、市民の皆様からのご意見を広く伺う広聴業務は、今後さらに充実させていく必要があるものと考えております。

このため、本年の10月からは、『市長への手紙』でいただいたご意見等のうち、市民の皆様と広く共有する必要があるものにつきましては、市からの回答と併せてウェブサイト上で公表し、市政への理解や透明性の確保に努めてまいります。

また、ご提案のございましたスマートフォンの活用につきましては、アンケート調査などに活用することで多くの方のご意見を短期間で集めることができるという効果が見込まれますので、広聴機能の強化という観点から、今後検討してまいります。

 

 

2 国家戦略特区制度について

(1) 国家戦略特区制度の活用について

 国家戦略特区が全国で指定されており、地域活性化につながると考えられるが、市原市としてこの制度を活用していくのか、市の見解を伺いたい。

 

企画部長 国家戦略特区制度について、お答えいたします。

国では、成長戦略を実現するため、民間の事業活動などを制限している規制を、特定区域に限って緩和し、経済社会の構造改革を図る、国家戦略特区制度を設けており、産業競争力を強化するなど、地域の活性化をめざしております。これは、さきほど議員のほうからお話があったとおりであります。

この政策は、現行のシステムを変えてでも、この事業を実現したい、現状を打開したいなど、活力あるまちづくりにかける地方の思いや現場の声に対し、国から規制緩和と合わせて、金融、税制そういった面で、支援が期待できるものでございます。

県内では、千葉市の幕張新都心において、住宅地区におけるマンションを利用した民泊や、公道で催しを開く際の路上カフェ設置などの事例がございまして、訪日外国人の利便性の向上や、賑わい創出の効果が見込まれております。

本市においては、国家戦略特区制度とは異なりますけれども、平成16年に、千葉県との連携により、京葉臨海コンビナート活性化特区として、国から構造改革特区に認定された経緯があり、規制緩和によりコンビナートの持続的発展につながったものと考えております。

国家戦略特区制度においても、規制緩和を必要とする民間事業者が具体的になり、その内容が地域の活性化につながるとともに、本市のまちづくりの方向性と合致する場合には、施策の展開に活用することを検討してまいります。

なお、その際には、内閣総理大臣の認定を受けるために、提案から区域計画の認定に至るまで、国家戦略特区法に基づく手続が必要となりますので、国や千葉県と十分協議してまいります。

 

※答弁を受け、国家戦略特区について以下2つの提案をさせてもらいました。

①常に発生件数で県内上位になっている交通事故に対応するために、現在内閣府で行われているSIP戦略的イノベーションプログラムの項目にも入っているもので、街全体の道路網をICTで管理し、安全な道路交通の実現に加え、高齢者移動の活性化、渋滞緩和、災害対応に貢献できる運転支援技術及び次世代交通システムの実証実験。

 ②政府はCO2 を含む温室効果ガスの排出量を2050年までに80%削減する目標を設定しています。そのような中、資源エネルギー庁は主要エネルギーにおいて、石油に代わるものとして水素に大きな期待を寄せています。そして水素の保有量が東日本最大と言われる臨海工業地帯を有する市原市は国、県から現在注目されており、水素の利活用に関する実証実験。

 

 

(2)低炭素化社会について

低炭素化社会に向けた、これまでの市の取組みについて伺いたい。

 

環境部長 低炭素化社会に向けた、これまでの市の取組みについてお答えいたします。

市では、低炭素化社会の実現に向け、家庭への再生可能エネルギーの導入を促すため、平成18年度から住宅用太陽光発電システム設置補助制度を設けております。

この制度により、昨年度末までに1,841件のご家庭で、約7.7メガワットの太陽光発電設備が設置されております。

今年度からは、家庭用燃料電池システム(エネファーム)や、定置用リチウムイオン蓄電池システムなどの省エネルギー設備5品目に対しても、補助対象としたところでございます。

さらに、太陽光発電設備等を備えた公共施設にはモニターを設置し、電力の見える化を図ることで、環境学習への利用や、節電意識の向上に努めているところでございます。

また、福増クリーンセンターでは、「二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備推進導入事業)」を活用し、今年度7月からごみ焼却に伴う廃熱で作られた蒸気を利用した発電機を設置し、施設全体の電力を賄うとともに、余剰電力を電力会社へ売却しております。

市内の事業者に目を向けますと、臨海部には国内最大級のバイオマス発電所が稼動しているほか、焼却処理施設において発電と熱供給をしている事業者などもございます。

このように、市民や事業者と一体となり、低炭素化社会の実現に向けて、取り組んでいるところでございます。

 

今後どのように取り組むのか伺いたい。

 

環境部長 今後の取り組みについて、お答えいたします。

国が地球温暖化対策推進法に基づき策定した地球温暖化対策計画では、温室効果ガスを2030年度までに2013年度比26%削減、その後2050年度までに80%削減するという中長期的な目標が示されております。

この達成のためには、様々な分野で徹底した省エネや、再生可能エネルギーを導入することが求められております。

 例えば、環境分野での未来の環境を考え、今の生活の中で賢い選択をしようというクールチョイスの推進や、交通分野での過度に自動車に頼らないモビリティ・マネジメントやエコドライブ、農林業分野でのバイオマス活用など、都市計画、経済部門などと連携した取り組みが示されております。

 本市といたしましては、これら国などの施策方向を参考にしながら、現在策定を進めている『(仮称)新市原市環境基本計画』で、本市の特性を活かした低炭素化社会へ向けた施策の方向性を明確にした上で、『市原市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)』を見直し、低炭素化社会の実現に向けて、着実に取り組む考えでおります。

 

 

3 防災庁舎建設について

 (1)ホスピタリティあふれる防災庁舎について

 本市の防災庁舎における来庁者用の案内サインの計画は、来庁者の視点から、分かりやすいものになっているのか。見解を伺いたい。

 

総務部長 ホスピタリティあふれる防災庁舎について、お答えいたします。

庁舎に設置する案内サインについては、誰にでもわかりやすく、来庁者を正しく目的の場所に誘導できることが重要であります。

現在、サインの設置方法や、デザインの統一性、わかりやすさ等を含めた表示内容について、事業管理支援業務(コンストラクションマネジメント)受託者とともに、検討を進めているところであります。

今後は、庁内の検討会議を活用し、各部署の意見や要望等を取り入れ、案内サインの計画を取りまとめてまいります。

 

防災庁舎では、障がい者への対応について、どのような配慮がされているのか。また、身障者駐車場における車椅子利用者に対して、どのように配慮されているのか、併せて見解を伺いたい。

 

総務部長 障がい者への対応について、お答えいたします。

障がい者への対応といたしまして、バリアフリーの観点から、安全に庁内を移動できるよう、防災庁舎の各入口までの段差を極力なくしたほか、点字ブロックや、音声ガイドを設置するとともに、車椅子の通行を考慮し、広い通路幅を確保しております。

また、記載台や受付カウンターは、高さの高いものと低いものを併設いたします。

次に、身障者駐車場における車椅子の乗降については、左右への昇降スペースの確保に加え、車両後方に設置するスロープやリフト昇降のために必要となるスペースを設け、より安全に乗降できるよう配慮しております。

庁舎までの動線の安全確保につきましては、正面玄関脇に身障者駐車場を設置することで、動線を短くするとともに、車道との分離、段差の解消、雨天時の雨濡れ対策を図っております。

 

上階に急病人等が出た際の緊急対応として、エレベータでストレッチャーが利用できることが必要と思うが、対応されているのか。

 

総務部長 ストレッチャー対応のエレベータについて、お答えいたします。

防災庁舎に設置するエレベータにつきましては、現在、ストレッチャーを収容できる仕様となっておりません。

現庁舎においても、高層階で急病人が発生した場合、搬送に苦慮しておりますことから、今後、仕様の変更について、具体的に検討してまいります。

 

受動喫煙防止の観点からも、防災庁舎に喫煙スペースを設けることも検討すべきかと思われるが、見解を伺いたい。

 

総務部長 受動喫煙防止対策について、お答えいたします。

健康増進法第25条では、多数の方が利用する施設の管理者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう、努めなければならないと規定されております。

来庁者や職員の受動喫煙を防止するため、現庁舎では、指定場所以外の喫煙を禁止しておりますが、喫煙場所付近では、煙や臭いが漂うことなどが問題となっております。

このようなことから、防災庁舎においては、完全分煙を念頭に、防災庁舎の構造の検証を行いながら、屋内外の喫煙スペースの設置場所や方法等について、今後、検討してまいります。

 

 

4 安心・安全のまちづくりについて

(1)7月15日の豪雨被害について

今回の7月15日の豪雨は、気象状況が急変する中で、短時間で膨大な雨量を記録したが、この状況に市はどのような体制で対応したのか伺いたい。また、この豪雨による市内全体の被害の内容と件数、また被害の発生した地区について伺いたい。

 

総務部長 7月15日の豪雨被害について、お答えいたします。

 

はじめに、豪雨による市の配備体制につきましては、気象庁が午前10時23分に発令した大雨・洪水警報に伴い、午前10時30分に災害関係部の主幹、課長補佐等による46名体制の風水害1号配備を発令した後、災害対応に関連する5つの部局による担当者会議を開き、情報連絡活動が円滑に行える体制を整え、災害発生に備えたところであります。

さらに、午前11時18分には、市原市付近で解析雨量時間100ミリという千葉県記録的短時間大雨情報が気象庁から発表され、これらの気象情報と市役所への被災通報受付状況などを勘案し、午前11時55分に体制を強化するため、129名体制の風水害2号配備を発令いたしました。

その後、午後1時5分に市原市に土砂災害警戒情報が発表されたことに伴い、災害対策本部設置に備え、288名体制の風水害3号配備体制を経て、 午後2時に土砂災害の危険度が高まったことから速やかな意思決定を図るため、職員の3分の2の人員をもって対処する風水害4号配備体制とするとともに、災害対策本部を設置し、この豪雨への対応を図ったところであります。

次に、本市が8月26日までに確認した被害内容、被害の件数及び発生地区につきましては、床上浸水について9棟であり、五井地区1棟、市原地区6棟、三和地区2棟の被害がありました。

また、床下浸水につきましては20棟であり、姉崎地区2棟、五井地区14棟、市原地区1棟、三和地区3棟の被害がありました。

次に、道路冠水につきましては130箇所であり、その多くが姉崎地区、五井地区、市原地区、三和地区の市街地で被害がありました。

次に、民家のブロック塀等の倒壊につきましては、8件であり、姉崎地区1件、五井地区1件、市原地区1件、三和地区3件、南総地区2件の被害が確認され、また、道路法面等の崩れは29箇所であり、姉崎地区2箇所、五井地区4箇所、三和地区14箇所、南総地区9箇所の被害がありました。

最後に、河川につきましては、有秋地区の片又木川、南総地区の内田川、水沢川及び三枝川において、主に自然護岸の崩れの被害がありました。

 

(2)雨水排水対策について(公共下水道における市街地の雨水計画について)

市街地における道路側溝の流末である、公共下水道の雨水計画の考え方と整備状況及び今後の対応について伺いたい。

 

都市部長 最初に、公共下水道の雨水計画の考え方についてお答えいたします。

公共下水道の雨水計画につきましては、市街化区域内における内水排除を目的に、市原市下水道基本計画に基づき進めております。 

特に本市の特徴といたしまして、五井、姉崎、八幡などの市街地においては、地形上の問題に加え、急速な宅地化の進展により、雨水の調整能力が低下し、浸水被害の発生が懸念される地区が多いことなどがあげられております。このため、昭和40年代後半より、雨水ポンプ場や雨水幹線等について、計画的に整備をしているところでございます。

次に整備状況ですが、現在、松ヶ島ポンプ場を始めとした雨水ポンプ場5施設が稼働しており、市街化区域内における雨水整備率といたしましては、平成27年度末で49.5%となっております。

今後の対応につきましては、浸水被害の著しい地区など、緊急性や優先順位などを十分に勘案した中で、特定財源の確保とともに計画的な事業の実施に努め、安心・安全なまちの実現に向け取り組んでまいります。